2010年06月27日

【最悪】奥田英朗

      
短編集 「マドンナ」で、40代の悩める中年サラリーマンを見事に描き出した奥田英朗の長編である。

登場人物は3人。
町工場を経営する川谷、銀行に勤めるみどり、定職につかずフラフラしているチンピラの和也。
そんな彼らに接点はなく、3人の日常生活が並行して進んで行く。

「最悪」というタイトルに表わされるごとく、彼らの人生はひどい具合に展開される。
川谷は下請けの下請けにあたる小さな鉄工所を経営する。
タイ人と自閉症気味の二人の社員を抱え、一人何役もこなしながら朝から晩まで働き続ける。
元請けからの理不尽な扱いに加え、後から引っ越してきた住人たちとの騒音問題、足を引っ張る社員に家族の問題。
読んで行くうちにこちらの気分までもがふさぎ込んでしまうくらい悲惨な状況が展開される。
人はこうして追い込まれていくものなのだと実感する。

みどりは銀行というこれまた理不尽な職場で苦労を重ねる。
休日も社内行事に駆り出され、おかしな顧客に気に入られ、家族の問題に悩む。
まるで銀行に勤めていた経験でもあるのかと思わせられるほど、一昔前の銀行内の姿が描かれる。

和也は恵まれない家庭環境で育ち、学歴もなく職もない。
パチンコとバタフライナイフ片手のカツ上げで、日々の生活費を稼ぐ。
パチンコ屋で知り合ったタカオとトルエンを盗んで売り捌いた時にドジを踏み、ヤクザに脅されるようになる。

そんなまるで関わり合いのない3人の赤裸々な日常生活が、600ページを超える長編の大半を占めている。
そしてとうとう3人の人生が最後の事件で絡み合う。
長々と語られた3人の生活は、その事件への布石。
その事件で3人がなぜそういう行動を取ったのか、それを理解するにはストーリーの大半を占める3人の生活が欠かせない。
そして読みながら「どうなってしまうのだろう」と心が先へと急いてしまう。

読み終えて考えるのは人間の運命だ。
彼らに起こった出来事は、自ら招いた必然なのか運命なのか。
他の結果はあり得なかったのか。
自分だったらどうしただろうか、どうするべきだろうか。
いろいろと考えさせられる。

フィクションとはいえ、まるで体験してきたがごとくリアルな描写。
その発想はどこから湧いて出てくるのだろう。
そんな事をついつい考えてしまう。
これは読んでおいて損はない小説である・・・




最悪 (講談社文庫)

最悪 (講談社文庫)

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/09/13
  • メディア: 文庫



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2010年06月26日

【たった1通で人を動かすメールの仕掛け】浅野ヨシオ

   
   
最近はすっかり電子メールも日常生活の一部となった。
手紙と違って堅苦しい形式はないし、即届くしで便利この上ない。
しかし、その一方で相手の事を考えない一方的なメールもあったりして、そのマナーは難しい。

著者はそんな電子メールをうまく使い、28年間彼女がいなかったのにネットで婚活を始めるや、たった3ヶ月で結婚を決める。
また100人を超えるビジネス書作家、有名起業家らとの交流を実現したという。
その最大の武器となったメールの活用術を紹介したのがこの本である。

紹介されている事はそんなに難しい事ではないので誰でも手軽にできる。
いわゆるちょっとした工夫というモノだ。
メールのタイトル
行間を空ける工夫
相手に印象付けるキラーワードを挿入し、自分の名前もフルネームで入れる
今日の出来事を入れ、自分の顔写真を最後に挿入する

敬称の三段活用「“様”→“さま”→“さん”」なんかは私も知らず知らずのうちに利用していたが、紹介されていて思わず嬉しくなってしまった。
その他写メの活用や返信メールの書き方なんかはなるほどと思わせられる。
本を出すくらいだから本当によく工夫されている。

しかしながらそんなテクニックよりもやっぱり相手に対する思いやりが、当然ながらすべてのように思われる。
著者が言いたかったのもそんな事のような気がする。
相手がいかに関心を持ち、喜ぶか。
その気持ちでやってきた事がすべてのように思われる。

「一通入魂」
まずはそこから試してみたいものである。

    

たった1通で人を動かすメールの仕掛け (青春新書PLAY BOOKS)

たった1通で人を動かすメールの仕掛け (青春新書PLAY BOOKS)

  • 作者: 浅野 ヨシオ
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: 新書



     
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2010年06月23日

【野村の革命】野村克也

    
   
元楽天イーグルスの野村監督の最新刊である。
もう何冊本を出しているのだろう。
プロ野球選手が本を書くのは珍しい事ではない。
すでに何人もの選手が本を出している。
しかし、それはたいてい1冊かそこらだ。
大概それで書き尽してしまうのだろう。

そんな中で、数多くの著書がある野村監督は異色だ。
いろいろと勉強したと本人も述べているが、そうした勉強の下地があるからこそ、これだけの本を出しているのだろう。
まあ欠点を言えば、あちこちで同じエピソードが出てくるし、また自慢話も多い。
そういうものに反感を持つ人がいても不思議ではない。

ただ、全体として語られている事はやっぱりどこか頷く事が多いし、自慢めいていてもそれをしなければ語る事のできないエピソードもあるから、謙遜されると我々には知ることのできずに終わる話も出てきてしまう事になる。
個人的にそれらの事は読んでいてまったく気にならない。

数々のエピソードとともに、現役・元様々な有名選手が登場する。
楽天の山崎・田中をはじめとした現役選手、王・長嶋・江夏・森・清原・大魔神佐々木ら往年の名選手、川上・鶴岡らの名監督など。
現役27年、監督25年のキャリアの成せる業である。

野村監督はやみくもに練習だけして成功した選手ではない。
常に勉強し、観察し、考え、そして練習してきた人である。
捕手というポジションがいかに奥が深いかがわかる。
データを分析し、打者を観察し、投手のその日の調子を考え、配球を考える。
「根拠のないサインは出すな」という信条にそれは繋がる。

基本的に野球の話なのであるが、それ以外にも通じる考え方はいたるところに入っている。
最後の桑田との対談も興味深い。
野球ファンであったら尚更、なくても読んでおきたい一冊である。



野村の革命

野村の革命

  • 作者: 野村 克也
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2009/11/27
  • メディア: 単行本



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2010年06月20日

【会社蘇生】高杉良

     
    
経済小説の大家、高杉良のタイトル通り会社の再生を扱った小説である。
仕事柄密接なテーマだけに興味を持って手に取った。

舞台となるのは老舗商社の小川商会。
放漫経営から戦後三番目の負債額を抱えて倒産。
会社更生法を申請する。
保全管財人に選ばれたのは弁護士の宮野英一郎とそのスタッフ。
宮野弁護士の活躍で小川商会が再生していく様子を綴ったドラマである。

実はこの本が出版されたのは昭和62年。
舞台となった小川商会の倒産は昭和59年とかなり古い。
法律も当時は会社更生法であったが、今は主流が民事再生法となっており、いささか時代の差を感じさせられる事は確かである。
しかし、だからと言って、この本の内容が揺らぐものでもない。

ただあまりにもきれいにまとまり過ぎているような感じがしてならない。
登場人物たちはみんな会社更生法に詳しい。
しかし、実際には法曹関係者以外には一般的に詳しい人はいない。
そんな重箱の隅をつつくような真似はしたくないのだが、実際の現場を知っているだけに違和感を覚えるところが少なくない。

主人公の宮野弁護士はあまりにも良い人過ぎるし、作られ過ぎたドラマという印象がどうしてもしてしまうのは私だけであろうか。
しかし、実際の再生の現場ってこんなものなのだという事を知るにはいい小説かもしれない。
実際、小川商会となっているが、実在している大沢商会の実例を下敷きにしているだけに、満更創作物語という事もない。
たぶんいろいろと取材を重ねたのだろうし、実話だと思えばかえって面白いと思う。

この時期に再販されるのも意味のある事なのだろうし、高杉良らしい経済小説といえるのではないだろうか・・・



会社蘇生 (新潮文庫)

会社蘇生 (新潮文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/03
  • メディア: 文庫



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2010年06月18日

【世界一愚かなお金持ち、日本人】マダム・ホー

     
    
著者は日本で育ち、現在は華僑と結婚してアメリカに住む投資家・通訳家だという。
100以上の不動産に投資して成功をおさめ、それを元に投資下手な日本人に向けて書かれたのが本書である。

「日本人のサラリーマンの半数以上が将来に不安を抱え、せっせと貯蓄に励んでいる。しかし世界一高い識字率を誇る教育大国の日本人が、世界一低い金利には疑問を感じず、文句ひとつ言わずに銀行にお金を預ける姿は、海外から見ると実に不思議というほかない。」
という一文が背表紙にある。
実に手厳しい。

そうした日本人に対し、私はこうして財産をつくりましたというのが本書である。
しかし、そこにはそのまま鵜呑みにできないものもある。
第一に著者は不動産投資で成功した。
その不動産投資といっても日本とアメリカでは税制、銀行のシステム等だいぶ違う。
賃借人の権利も日本では強い。
著者が日本で同じ成功を収められるかというとかなり怪しい。

それに「せっせと貯蓄に励む」と馬鹿にするが、日本の銀行は簡単に潰れるアメリカの銀行と違って信用度が高い。
「銀行に預けるよりも」と考えるアメリカとは異なり、まず「銀行に預ければ安心」という背景がある。
金利がいくら高くても、円高になれば吹っ飛ぶし、逆にマイナスにもなる。
低金利でもマイナスよりマシという考え方だってある。

国民性・社会システムの違いを一概に「おかしい」というのはいかがなものかと思わざるを得ない。
アメリカ人は不動産の評価が上がれば、ローンを借り換えて(評価額に応じて追加借入をするという意味)、差額で消費財を買う。
そんなキリギリス生活の果てがサブプライム問題で世界中の顰蹙を買った。
そんなアメリカでの成功体験を鼻高々に語られてもなぁと正直思う。

それでも「本物のお金持ちになる人の賢いお金との付き合い方」は参考になった。
1. じっと貯めてから大切に使う
2. 自分が働くのではなく、お金に働かせる
3. 「投資」と「投機」の違いを知る
4. 「投資」と「仕事」の違いを知る

また、「約束を守る」なんてところは当たり前のようだがやっぱり重要だという意見は傾聴に値する。
「信用こそがお金のなる木」というのもそうなのだろう。
批判するだけでは読んだ価値もない。
こうした部分だけは学びとしてメモしておきたいところである・・・



世界一愚かなお金持ち、日本人 (ディスカヴァー携書)

世界一愚かなお金持ち、日本人 (ディスカヴァー携書)

  • 作者: マダム・ホー
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2008/01/13
  • メディア: 新書



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2010年06月14日

【まほろ駅前多田便利軒】三浦しをん

     
   
帯に「第135回直木賞受賞作」とある。
正直言ってだからどうだという気もするが、やっぱりそれなりに評価されたわけで、それを読んで自分がどう感じるのか、そういうところに興味を惹かれた。
しかしながら結論から言えば、「よくわからない」という事につきる。

そもそも直木賞の選考基準て何なのだろう。
ストーリーなのか、文章(表現力)なのか、はたまたその組み合わせか。
わかる人にはわかるものなのか、素人には判然としない。
といってつまらない本というわけでもない。

「まほろ駅前」という言葉にまず面食らう。
ページをめくると、舞台は東京西部にある架空の街、まほろ市だと言う事がわかる。
そのまほろ市で便利屋を営むのが主人公の多田。
そういうわけで、タイトルの「まほろ駅前多田便利軒」となっているわけである。

ストーリーは多田が便利屋としてまほろ市を走り回り、そこかしこで出会う人々や事件を描いていくものである。
そこで重要な役割を果たすのが、多田の高校の同級生でもあり、ふとしたきっかけで多田と再会したことから一緒に仕事を始める行天である。

この行天が変わっている。
高校時代ただの一度しか言葉をしゃべらなかったとされ、その一度というのがアクシデントで小指の先を切断してしまった時というから面白い。
熱心に仕事をするわけでもなく、ただ衣食住を確保するためだけに多田のところに転がり込んだ行天。
そんな二人の珍騒動。

依頼人たちも様々で、それがゆえにストーリーもあれこれと展開して面白い。
いつも掴みどころなく飄々としている行天に、時に苛立ちを覚えたりするものの、追い出すこともなくともに暮らす多田。
不思議といえば不思議な二人であり、不思議な感覚のストーリーである。
そんなストーリーがやっぱり受賞の決め手だったのだろうか。

多田の不思議な相棒行天。
この本はそんな彼自身であるかのようにふわふわとした感覚の本であるように感じた。
やっぱりよくわからない・・・

     
   

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫



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2010年06月13日

【同和と銀行−三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録】森功

     
旧UFJ銀行と東京三菱銀行が合併してまもなく、関西で「飛鳥会事件」が世間の耳目を集める。
部落解放同盟の飛鳥会支部長だった小西邦彦が、業務上横領罪で逮捕された事件である。
それと同時に注目を集めたのが、旧UFJ銀行と小西の関係。
それは通常の銀行と顧客との関係をはるかに越えたものであった。
その銀行側の担当者であった岡野に取材し、実態にせまったのが本書である。

実は旧UFJ銀行(大元は旧三和銀行)では、特に関西地域において舞台となった淡路支店はかなり有名であった。
東京にいても、「特殊な取引をしているらしい」という噂は耳に入ってきていた。
もっともそれが警察沙汰になるような事だとは、東京にいる人間にはわからなかったが・・・
そんなわけで興味をもって手に取った一冊である。

銀行の歴代の担当者の中でも最も小西と親しかった岡野。
田舎から出てきて銀行に就職し、高卒のハンデにも負けず順当に出世する。
そして淡路支店に配属となる。
(淡路といっても淡路島とは何の関係もない、大阪市内の淡路駅前にある支店である)
そこで小西の担当となる。

最初の引き継ぎ挨拶で検査入院中の小西を訪問した岡野は、当時の支店長とともに病室前で2時間待たされる。
そこからしてすでに異常である。
要件だけ伝えて切られる電話。
その解釈を巡って慌てふためく支店内。
異様なほどに小西に気を使う銀行の様子が生々しい。

やがて壁を破って小西の懐に入り込んだ岡野は、うまく銀行と小西との橋渡しとして立ち回るようになる。
のちの裁判では、「小西に脅された」となっている銀行であるが、どうやら「持ちつ持たれつ」の部分もあったようである。
その背景には「同和問題」というアンタッチャブルな世界が控えているようでもある。

誰が悪いという事を指弾するものではなく、ただ淡々と取材で明らかになった事が綴られていく。
「事実」を知りたかった者にはそれで十分。
事件の内幕モノはその事件に興味を持つ者であればそれだけで十分。
そういう意味で貴重な一冊と言える本である。

     
 


同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック)

同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック)

  • 作者: 森 功
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/09/04
  • メディア: 単行本



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2010年06月08日

【象はポケットに入れるな】ジョーンズ・ジョフリン/トッド・ミュージグ

     
   
サブタイトルに『「人生時間」を3つに分ける成功術』とあるように、一言で言えば仕事術(プライベートも含む)に関する本である。
何とも奇妙なタイトルであるが、原題は「Juggling Elephants」であり、象でお手玉をするというような意味らしい。
つまりそんな出来もしない事をやろうとする愚かさを表しているのである。

ここでは例えとしてサーカスが使われている。
サーカスと言っても日本でお馴染のものとはちょっと異なり、アメリカ人なら誰でも一度は観た事があると言われるほど米国では有名な「リングリングサーカス」というものらしい。
3つのリングを使ってそれぞれでパフォーマンスをする形式のサーカスのようである。

3つのリングで並行してパフォーマンスが繰り広げられ、リングマスターの采配によって各々のパフォーマンスが仕切られるようである。
ここではリングを「仕事」「家族」「人間関係」とそれぞれに分け、いかにしてそれぞれのリングで最適パフォーマンスを行うかを説くのである。

主人公のマークはかつて常に仕事に追われて余裕をなくし、家族サービスも自分自身の事も常に心ここにあらずでおざなりにし、それがまた仕事への悪循環として跳ね返るという生活を送っていた。
ところがある時、サーカスのリングマスターに出会い、サーカスのリングをコントロールするが如く、3つの生活のリングを適切に管理する事を学び、成功者となる。

そして一人娘がかつてのマークと同じ苦しみを味わい、父に助けを求めてくる。
そんな娘に対して、マークはかつて自分が身に付けた方法をノートを通じて教えていくという形式で物語風に進行していく。

「リングマスターは同時に3つのリングすべてに立つ事はできない」
つまり目の前のリングに集中すべし。
「リングマスターはリングに呼び入れる前に必ず次のショーを確認する」
「どのショーも目的にかなっていないといけない」
などと、ショーを成功させめための秘訣が語られていく。

それらがうまくできれば、「仕事」「家族」「人間関係」がうまくいくとなる。
しかしなぁと読みながら思う。
書いてある事は確かにその通り。
だが問題はそれをどうやるかだ。
お話形式の喩え話は確かにわかりやすいが、現実に直面すると具体例がイメージしにくいという欠陥がある。
明日の自分の仕事でどう活かすか、という問題だ。

残念ながらこの本を読んでもそれは解決しそうにない。
そう言ってしまえば身も蓋もない。
この本をヒントにして考えてみるしかない。
批判するばかりではなく、心掛けてみようと思う・・・



象はポケットに入れるな!

象はポケットに入れるな!

  • 作者: トッド・ミュージグ
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2007/12/20
  • メディア: 単行本



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2010年06月03日

【親指の恋人】石田衣良


親指の恋人〔文庫〕 (小学館文庫)

親指の恋人〔文庫〕 (小学館文庫)

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/10/06
  • メディア: 文庫



    
    
石田衣良の長編。
私にとっては石田衣良の長編は2冊目になる。
冒頭でニュースが二人の若者の心中を伝える。
その二人がこの物語の実は主人公である。

主人公の死が始めにわかってしまうと興ざめかというとそうでもない。
この先どうなるのだろうとわくわくして読む小説もあれば、どういう顛末で結末に至るのかを楽しむ小説もある。
この物語は後者の、昔懐かしい「刑事コロンボ」型なのである。

主人公の澄雄は外資系企業の社長を父親に持ち、六本木ヒルズにある月額家賃300万円の家に住む大学生。
実の母親は澄雄が小学生の時に自殺し、今は父親と若い継母と3人で暮らしている。
一方、澄雄と心中する樹利亜は澄雄と同じ20歳ながら、トラック運転手で借金まみれの父親と狭い公営住宅に住み、パン工場と出会い系サイトでサクラのバイトをしている。

二人の育った環境は180度違うものの、母親に死なれているという事と、父親を嫌っているという共通点がある。
気まぐれで澄雄がアクセスした出会い系サイトで二人は出会い、やがて互いに惹かれ合うようになる。

現在日本では年間で3万人以上の自殺者がいる。
これだけ世界でも恵まれた国では驚くほどである。
暮らしていくのは確かに大変かもしれないが、それでも我が国では発展途上国に比べたら天国のような暮らしを送る事ができる。
なのになぜみんな自ら命を絶つのだろうか。

そんな一つの答えがこの小説にはあるような気がする。
自分たちの力ではどうしようもない運命。
次々に訪れる不幸。
生きてさえいれば、という言葉が空しく空回りする世界。

そうか、人はこうして死を選ぶのか。
一つの答えを見せられたような小説である・・・


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2010年06月02日

【新幹線ガール】徳渕真利子

    
   
アルバイトとして新幹線のパーサーになり、やがて正社員になったあと、300人のパーサー達の中でダントツで売り上げトップになったというのが著者。
そういえば「1年で駅弁売上を5000万アップさせたパート主婦が明かす奇跡のサービス」もそうだったが、個人的にこの手の成功体験本は好きである。
どんな分野であれ、成功者には何がしかの創意工夫のあとがあり、それは自分にとっても何らかのヒントになるからである。

アルバイトから始めて、やがて300人からいるパーサーの中で売り上げトップになった、それも平均値の3倍の数字というから、それだけでも興味深い。
そうして読み始めた本書ではあるが、少々予想とは異なった内容であった。

始めの方はアルバイトとして新幹線のパーサーになるまでの著者の短い履歴。
(なんといっても23歳−当時−なのである)
一流ホテルに就職したという経験が、パーサーになってからも確実に生きているのであろう。
そして挫折して退職。

いよいよパーサーとして勤務するのだが、そこから先はパーサーの紹介のような内容。
それはそれで興味深いのであるが、はっきり言ってそれはパーサーならば誰でも書ける話。
肝心の営業成績1の秘訣となると、ようやく最後になって「本人にもわからない」と。
何だか拍子抜けしてしまった。

とはいえ、思い当たる節をいくつか披露してくれてはいるものの、結局は「この仕事が好きだ」という事に尽きるらしい。
好きな仕事を楽しんでやる、というのは確かに良いことだ。
たぶん、ダントツの実績の裏には本人にさえよくわかっていない秘訣があるのだろう。
それは笑顔かもしれないし、その場の雰囲気なのかもしれない。

並はずれた実績だから、何もないというよりも、文字で表現できないという事なのだろう。
期待していたところだけをみると、期待はずれとなってしまうのだが、どんな仕事であれ熱意をもってやる事はやっぱり大事な事なんだという事なのだろう。
当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、それをこの本での学びといたしたい・・・



新幹線ガール

新幹線ガール

  • 作者: 徳渕 真利子
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本



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