2011年08月28日

【掃除道】鍵山秀三郎



第1章 掃除の変遷
第2章 掃除の基本と心構え
第3章 「日本を美しくする会」誕生
第4章 掃除で何が変わったか(企業経営編)
第5章 掃除で何が変わったか(学校教育編)
第6章 掃除で何が変わったか(地域社会編)
第7章 掃除で何が変わったか(海外編)

掃除によって自分が変わる、周りが変わるという事はもうあちこちで語られている。
最近でも 「なぜ『そうじ』をすると人生が変わるのか?」や、 「半ケツとゴミ拾い」などの本も読んでいる。
だが、その元祖ともいうべきなのがこの本の著者。
イエローハットの創業者として有名である一方、トイレ掃除を始めとして掃除においても有名な方である。
その元祖の本も一度は読んでおくべきだろうと、手に取った一冊。

掃除を始めたのはなんと創業時からだと言う。
たった一人で始め、最初の頃は社長がトイレ掃除をしているその横で平気で用をたす社員もいたという。
10年を過ぎた頃から一人二人と手伝ってくれる社員が現れ、20年になる頃にはほとんどの社員が手伝ってくれるようになったという。
なんと根気よく続けた事だろう。

やがて社風が変わり、20年を過ぎるとまったく関係ないところから掃除研修にくるようになる。
30年過ぎて日本全国に「掃除に学ぶ会」ができて、全国的な運動に発展していく。
何事も極めれば凄い事である。

しかしそれにしても、その徹底ぶりは凄い。
トイレの便器も基本的に素手で掃除するという。
驚くべき事に、「掃除に学ぶ会」を中国でやった時の事、誰も流さない糞尿を素手で押し込み、水で流してみせたという。
(その前に「何で次の人のために流さなければならない」と言って、流さない中国人のメンタリティの方が凄いのだが・・・)

そして掃除の効果も、企業の業績改善に始り、暴走族の更生、問題校の改善等様々な効果が確認されている。
それゆえに、「掃除に学ぶ会」が全国に広まっているとも言える。
「掃除をする姿勢は謙虚になれる姿勢」と説くが、まさにそうなのかもしれない。
一見、信じがたいようであるが、これだけあちこちで効果が主張されているのだから、それはそれで事実なのだろう。

良いと言われている事は素直に取り入れたいと思うし、せめて今度身の周りから掃除を初めてみようかと思わせらる一冊である・・・


    
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2011年08月27日

【壬生義士伝】浅田次郎



先日読んだ 「一刀斎夢録」
新選組の斎藤一を主人公としたものだが、「浅田次郎と新選組」といえばこの「壬生義士伝」は無視できない。
映画は観た事があるものの、小説は「いつかそのうち」と思っていたので、勢いで手に取った次第である。

主人公は南部藩の足軽武士吉村貫一郎。
盛岡にある南部藩で二駄二人扶持の足軽組付という立場は、けっして楽ではない。
それでも文武両道に優れ、学問と剣術の両方を指導できるという有能な武士であったが、不作によって藩財政も逼迫する中、彼の生活も困窮を極める。
そして3人目の子供が最愛の妻に宿り、たとえ生まれたとしても、その冬は一家5人では越せないとわかった時、家族を養うために脱藩する。

物語は新選組隊士として鳥羽伏見の戦いに敗れた吉村貫一郎が、傷ついた体で南部藩の大阪蔵屋敷に転がりこむところから始る。
切腹を言いつけられた吉村貫一郎が、奥座敷で死を前に一人語り始める。
その一人語りと、後年吉村貫一郎について彼を知る人物たちを訪ね歩いて、聞き集めた証言で彼の人生を描いて行く。
「永遠の0」でも、戦死した祖父の姿を生き残りの証言で描いていったが、同じ形式である。

妻と子供たちを心から愛する吉村貫一郎は、家族と一緒の生活だけで満足する男であったが、その家族のために脱藩する。
表向きは、「尊王攘夷」に加勢するためであったが、とにかく稼ぐためであり、その挙句、当時勢いのあった新選組に参加する。
そして守銭奴と陰口を叩かれながら、自分はボロを纏いながらも家族に稼いだお金をすべて送り続ける。

証言者は同じ新選組の生き残りや、教え子などの関係者なのであるが、中には斎藤一も登場する。
語り口は 「一刀斎夢録」そのまま。
この時すでに 「一刀斎夢録」の構想は出来ていたのかもしれないと思わせられる。
剣の達人同士である吉村と斉藤のやり取りはなかなか面白い。

冒頭で吉村貫一郎の運命はすでにわかっているのだが、そこに至る過程が本人の独白と関係者の証言で語られる。
武士とは誠に窮屈なもの。
本音は隠して、武士道という建前で生きなければならない。
そしてその建前こそが武士たちの手足を縛る。
「家族を養うのが男の務め。それを立派に果たした男を殺さなければならなかった武士道っていったい何なんです」という言葉が胸に残る。

後半ではそんな父を思う息子嘉一郎が登場する。
脱藩者の息子として肩身の狭い思いをしながらも、やがて自分も大義のために身を捧げようとする。
せめて息子は生かしたいという関係者の思惑とは逆に、なぜか死に急ぐ嘉一郎。
その秘めたる嘉一郎の本心がまた胸に迫る。
この親にしてこの子ありと感じさせられる。

独白は南部訛りで語られる。
それがまた朴訥とした吉村の人柄をよく表す。
「お申(も)さげながんす」
「お許しえって下んせ」
まるで直に聞いているかのごとく、妙に心に残る。

読みながら随所で胸が熱くなり、目頭も熱くなる。
まさに「義士伝」というタイトルにふさわしい吉村親子の真摯な生き様に、読み終えてもなおしばし呆然とする。
浅田次郎の本は何冊も読んでいるが、これはベストな一冊だと思う・・・


        
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2011年08月26日

【日本一心を揺るがす新聞の社説】みやざき中央新聞 水谷もりひと




感謝 勇気 感動の章
優しさ 愛 心根の章
志 生き方の章

みやざき中央新聞というローカル紙があるらしい。
と言っても実は立派な全国紙でもあるらしい。
そんな全国紙で掲載されているコラムが感動的、と話題になって書籍化されたのが本書。
「それは朝日でも毎日でも読売でもなかった」という副題が何とも言えない。

ページをめくるとそれぞれの章のテーマに沿った内容のコラムが4ページにまとめられている。
読んでいくと、確かになるほどねと思うような事が書き連ねてある。
ローカル紙ゆえに、テーマは実に身近だ。

感動した本や映画の紹介もある。
「アバウト・シュミット」、「山の郵便配達」。
本の紹介もある。
「ひとさし指から奏でる♪しあわせ」、「賢者の書」、「生きてこそ」。
そのうち観て読んでみたいと思わせられる。

「小学校1年生の子供が学校で出された宿題は『抱っこ』」という話もなかなか心が温かくなる話。
サンパウロで受けた太平洋戦争の授業の話。
結婚式の帰りに、式で歌えなかった歌を電車の中で歌いだしたおじいさんの話。
ちょっとくすりとさせられたり、ほろっとさせられたりの話がいくつもある。
手軽に読めてしまうのだが、こんな話が載っているみやざき中央新聞に、ちょっと興味を持った。
今度は本家に目を通してみたいものだ・・・

      
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2011年08月17日

【フォールト・ラインズ 「大断層」が金融危機を再び招く】ラグラム・ラジャン


                    

第1章 金がなければ借りればいい
第2章 輸出による経済成長
第3章 逃げ足の速い外国資本
第4章 脆弱なセーフティネット
第5章 バブルからバブルへ
第6章 金が万物の尺度になったとき
第7章 銀行を賭ける
第8章 金融改革
第9章 アクセスの格差是正
第10章 蜂の寓話ふたたび

著者はIMFにおいて史上最年少でチーフエコノミストに就任したという実績を持つエコノミスト。
サブプライムローン問題に代表される金融危機を事前に警告した少数のエコノミストである。
そのエコノミストが、サブプライム・ローンを主因とする金融危機はどうして起きてしまったのか、今後くり返さないためにはどうしたらよいのか、をわかりやすく解説したのが本書の内容となっている。

教育の機会不均等から所得格差が生じ、その不公平感を解消するために持ち家を取得しやすくする政策が行われた事。
それには低所得者でも利用しやすいローン制度が必要であった事。
つまり借金による消費拡大を支持する政治的環境が整っていた事。
日本・ドイツそして中国と輸出によって国力を伸ばしてきた国は、アメリカの消費が頼りであった事。

そうしたものに加え、「逃げ足の速い外国資本」、「脆弱なセーフティネット」といった問題が加わる。
さらに利益を出した場合はたくさんの報酬が得られ、損失を出した時にはほとんど罰を受けないという金融機関のあり方が、「犬でも審査を通りそうなほどだ」とまで言われた審査基準に繋がる・・・

内容的にはかなりお堅い内容なのであるが、読み進んでいってもそれを感じさせない。
金融危機と一言で言っても、その原因は決して一つではないという事がわかる。
様々な要因が、そこには組み合わされている。
第10章で紹介されている「蜂の寓話」という本を書いたバーナード・マンデビルというオランダ人の本の一節は、実に意味深い。

「奢侈は貧者を百万人雇い
 唾棄すべき見栄がさらに百万人を雇う
 そねみや虚飾は産業界の手先
 食べ物も家具も服もおろかしくきまぐれ
 そんな馬鹿げた奇妙な悪徳が商業の車輪を動かしている」
まさに資本主義の本質を表している。

現代の経済問題を整理して理解するには、良い本であると言える・・・

      
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2011年08月07日

【こちら葛飾区亀有公園前派出所】石田衣良他



第1章 幼な馴染み 大沢在昌
第2章 池袋⇔亀有エキスプレス 石田衣良
第3章 キング・タイガー
第4章 一杯の賭け蕎麦 柴田よしき
第5章 ぬらりひょんの褌 京極夏彦
第6章 決闘、二対三!の巻 逢坂剛
第7章 目指せ乱歩賞! 東野圭吾

このタイトルを見かけて一瞬あれっと思う。
あまりにも有名な「こち亀」はいいのだが、漫画のコミックではなく、書籍になっているからである。
しかも目次を見ると、ズラリと並んだのは有名ミステリー作家のお歴々。
両さんと有名作家のコラボというものらしいが、もの凄い違和感を覚えつつページをめくった。

中味を見れば、なるほど両さんが登場する。
第1章では新宿鮫の鮫島が登場する。
どうやら有名作家が、それぞれ自分の小説の主人公と両さんを共演させているようである。
正直言って新宿鮫は読んだ事がない。
それだけでなく、石田衣良のIWGPも京極夏彦も逢坂剛も、である。
なので各主人公の事を知らないから、ちょっと損したかもしれない。

それでもこち亀は読んだ事があるので、大原部長や中川や麗子や寺井などのキャラクターもすぐ浮かぶし、作家の先生もみなさん十分に知っているようで、描かれるキャラクターもまったくコミックそのものである。
唯一読んでいる東野圭吾の章では、得意のキャラクターが出てこなかったのが残念。
加賀刑事でも湯川先生でも登場させてほしかったと思うのだ。

それにしてもこち亀ももう30年以上連載されていて、少年誌では断トツの記録なのだという。
素人的にはよくネタが続くなぁと感心するのだが、原作者の秋本治からすると、こち亀は「おもちゃ箱」なのだそうで、「毎回両さんたちを使ってどう遊ぼうか楽しみなのだ」という。
なるほど、そんなものなのかもしれない。
それにしても「継続は力なり」である。
こんな作品まで生まれてしまうのである。

コミック同様、遊び心で読むのがいいかもしれない。
ちなみに、この本は「こち亀」を知らない親父が気まぐれに買ったものであるが、さすがに「こち亀」を知らないとあんまり面白くないようだ。
これは「こち亀」を知っている人たちの「おもちゃ箱」と言えるのだろう・・・

      
   
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2011年08月06日

【大前研一洞察力の原点−プロフェッショナルに贈る言葉】大前研一


     
第1章 答えのない時代に必要なこと
第2章 基本的態度
第3章 禁句
第4章 考える
第5章 対話する
第6章 結論を出す
第7章 戦略を立てる
第8章 統率する
第9章 構想を描く
第10章 突破する
第11章 時代を読む
第12章 新大陸を歩く
第13章 日本人へ

大前研一と言えばその著書は100冊を越えているらしい。
私ももう何冊も読んでいるが、この本は過去の発言を集めた、いわば「大前研一名言録」とでも言うべきもの。
ツイッターで発表したら好評で、それが書籍化へとつながったのだと言う。
それで一冊の本になってしまうわけであるから、大変なものである。

中味については、名言をそれぞれテーマに分けて記載する形をとっている。
一言一言については良い悪いもない。
さすが日本一の経営コンサルタントの言葉だけあって、けちのつけようがない。
ただ読み手がそれをどう受け取るかは、その時々の置かれた状況や過去の経験や諸々の事どもによって変わってくるかもしれない。
以前は何とも思わなかった言葉が、あとで触れるとずしりと応える、なんて事はままあるだろう。

「面白い仕事と面白くない仕事というのはない。面白い仕事のやり方と面白くない仕事のやり方があるだけだ。」
かつてこの言葉に触れ、考え方を変えた記憶がある。
今は常に意識している。
周りを見渡してみると、この言葉を教えてあげたくなる人たちがいる。

「人生を変えられるタイミングは何度でもある」
文脈によっては同じ言葉でもニュアンスが変わる事がある。
この言葉は違う文脈で使われているが、取り出してみて、この言葉だけにしてみると胸に残るものがある。

「私の辞書に明日まで待つという言葉はない」
確かにその通りだし、その言わんとしている事はよぉくわかる。
だが日常生活では明日まで待ちたい事だらけだ。
明日まで待ってうまくいったりする事があるから尚更だ。
特に交渉事で相手に決断を迫る場合は、拙速は必ずしも得策ではない。

「そもそも“discuss”という言葉は、否定を意味する“dis”と、恨むと言う意味の“cuss”が合体した言葉です。要するに反対したり反論したりしても『恨みっこなし』というのがディスカッションの本来の意味なのです」
日本人はこれが理解できていないから、ディスカッションが不得手なのだろう。

「幕末の改善を江戸幕府のペースに任せていたらどうなったか。彼らも改革をやるつもりだった。しかし幕府側の言う『最大の努力』というペースでは、日本はおそらく欧米列強の植民地になっていたでしょう」
今の日本の政治家にこれほど聞かせたい言葉はない。

「私が息子たちに強調したいのは、『自分に対する責任、家族に対する責任、社会に対する責任、日本人として日本と言う国に対する責任−この4つの責任だけは自覚していろ。あとは自分の好きな事をやれ、自分の人生は自分で決めろ』ということだ」
子供たちにも意識させたい事だ。

数え上げればきりがない。
こうした言葉をヒントとしていかに自分の血肉に変えるか。
それをできるのは自分自身しかいないわけで、そうした一助にするために一読するのもいいかもしれない・・・

      
posted by HH at 22:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月02日

【一刀斎夢録】浅田次郎



浅田次郎の最新刊。
この人もいろいろなジャンルを描いているが、時代劇モノはただでさえ個人的に好きなので、迷わず手に取った一冊である。

明治天皇が崩御し、明治から大正へと時代が移る頃。
陸軍の梶原中尉と警視庁の榊警部は全国大会で優勝を争うライバル同士だが、榊が5連覇している。
そんな榊警部から梶原中尉は、榊警部が最も影響を受けたという警視庁OBのある剣術師範の話を聞く。

その人の名は斎藤一。
幕末に名を馳せた新選組の副長助勤の斎藤一であった。
警視庁では人斬り斎藤一の名前は禁忌であり、誰が名付けたか、斎藤一をひっくり返し一刀斎とあだ名していた人物であった。

興味を惹かれた梶原中尉は、榊から一刀斎の住まいを聞き出し、訪ねて行く。
そして酒を片手に一刀斎の話を聞く。
一刀斎の語る話。
それは幕末、新選組が旗揚げをした年から始る一刀斎の激動の人生。
それから連夜にわたって、語られる一刀斎の回想。
それが物語の中心となる。

新選組と言えば、沖田総司や土方歳三、近藤勇などが有名であるが、斎藤一も実在の人物。
新選組最年少で、剣の腕前は沖田総司と永倉新八と並び、最強の剣士の一人であったとされている。
剣の奥義は、「1に先手、2に手数、3に逃げ足の早さ」だと説く、その剣はまさに真剣をベースとしたもの。
「どんな名人でも斬られればしまい」という哲学に裏打ちされた実践の剣。
それは道場での剣術とはまったくの別物。
そんな人斬り剣術の実践の日々。
歴史とともに、新選組とともに、一刀斎は月日を過ごす。

浅田次郎と新選組と言えば、吉村貫一郎を主人公とした壬生義士伝がある。
何か新選組に対する思い入れがあるのだろうか。

また、一刀斎が語る言葉もいい。
「剣とは技であり、術である。しかるにその技と術を極むれば、その先は道となる。」
こういうさり気ない言葉を使える作家というのも凄いところだ。

物語は浅田次郎らしい余韻を残して終わる。
フィクションも交じっているのだろうが、実在の人物たちが登場し、リアリティに富んでいる。
続きは各々が想像して下さいという形だが、一刀斎の話を聞いた梶原中尉のラストの先を想像するのは楽しい。
上下巻、一刀斎の走り抜けた時代を味わってみるのも面白い。
お勧めの一冊である・・・



      
posted by HH at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 浅田次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする