2012年08月14日

【10人の法則】西田文郎

 


著者の名前はどこかで目にしたと思っていたら、本棚で『No.1理論―ビジネスで、スポーツで、受験で、成功してしまう脳をつくる「ブレイントレーニング」』を発見した。
メンタル・トレーニングの本なのだが、なかなか良かったので取っておいたのだ。
そしてこの本もメンタル・トレーニングの第一人者である著者らしいメンタル・トレーニングの著作である。

「10人の法則」とは、一言で言ってしまえば「あなたが感謝すべき(10人の人に)感謝を伝えなさい」と言うもの。
えらく簡単であるが、よくよく考えてみるとかなり難しい気がする。
だから、効果があるのかもしれない。

スポーツメンタルの指導経験から、本当にデキる人間、優秀な人間は、「自分はまだまだ」だという謙虚な気持ちを持っているという。
自分の思う目標に届いていないからこそ、「まだまだ」と思えるのだという。
世の中をナメていると必ず「返報性の原則」によってしっぺ返しを喰うという。
謙虚になって師となる人を探しに行きなさいと著者は説く。

謙虚になって感謝しても理屈で終わってはダメだと言う。
理屈で終わるとは、「感謝しなければいけない」「感謝すべきだと思っている」の意味で、ほとんどが「感情に落ちていない」のだと。
感情に落とす事が、実は大事で、その方法が「10人の法則」である。
人は感謝すると嬉しくなるし、嬉しくなると感謝する。
それが感情に落とす事なのだと。

その他、「金持ちになりたければ10人の金持ちと付き合え」、「やる気のある人間になりたかったら10人のやる気のある人と付き合え」、「年収2,000万円のサラリーマンになりたければ、年収2,000万円のサラリーマンと付き合え」という考え方もへぇぇと言うところだ。
そういう人たちと接することによって、「それが特別な事」だと感じなくなり、知らず知らずのうちに作り出している意識の天井を取り除いてくれると言う。

なるほど、メンタル・トレーニングの専門家らしく、それらしく思えてくるような内容。
手軽に読めるし、何かと不平不満に明け暮れている人が読むと良いような本である。
折に触れてこういう系統の本を読むのもいい事だと思う・・・

    
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2012年08月13日

【日本人はなぜ株で損するのか?】藤原敬之



第1章 ファンド・マネージャーとは何か?
第2章 株式運用の基本とは?そして独自の運用とは?
第3章 情報をどう処理すべきか?
第4章 株価とは何か?
第5章 日本人はなぜ投資が下手か?
第6章 日本人とは何か?

著者は長年ファンド・マネージャーとして実績を積んで来られた方。
サブタイトルに「5000億円ファンド・マネージャーの京大講義」とあるように、この本は
京都大学で著者が行った講義に、当日時間の関係で割愛した部分とさらに補足説明を加えたものとなっている。

単なる株の解説本というものではなく、投資全般にわたる主として考え方の解説とも言える内容。
広く哲学にまで内容はおよび、一つの道を極めるという事はこういう事なのかと思わせられる。
著者は農林中金に就職し、そこで国内・米国株式の運用に携わった事からこの世界に入り、やがて野村アセットマネジメント、クレディスイス投資顧問、日興アセットマネジメントと渡り歩いている。
プロ野球選手くらいの年俸を稼ぐらしいが、それもなるほどと頷ける内容である。

株式運用の限界として、「株式を運用対象から外せない」という事が語られる。
つまり相対的に見て株での運用が不利ならば、株の運用をやめれば良いわけであるが、それは自己否定になってしまうのでできない。
そうすると、株式全体が下がっている時にも、一緒に下がる事も自分の常識になると。
「金魚鉢が落下していても中の金魚はそれに気がつかない」という喩はわかりやすい。

具体的な運用手法は専門的になるので、詳しくない人には眠くなるばかりである。
ただ情報整理の仕方については参考になる。
コツは細分化と集中化だと言うが、毎朝日経新聞を切り抜き、それを149の項目に分けてバインダーに保存しているという。
独自のスクエア・ブロック・ルーズリーフと言うノートを作り、大事だと思うことはすべて手書きで書き写しているという。
こうした工夫は何の世界であれ、為になるものである。

日本人はなぜ投資が下手か。
それは「今」に最高の価値を置くからだという。
将来の具体的ビジョンを持ち、それに向けて努力していくという事を欧米人は自然にしているそうである。
翻ってみれば、確かに政治から会社の仕事などにおいても、「いずれ何とかなる」「とりあえず」という言葉は身の周りに氾濫している。

投資の話のはずが、話は思想にまで及ぶ。
されど投資とはそういうものだとも思う。
本格的に投資を始めるという事は、政治・経済・哲学・心理学とあらゆる事柄を学ばないといけない。
著者もたくさんの本を読み、勉強しているようであるが、「学問は最高の道楽だ」という最後の言葉が印象的である。

学ぶところの多い一冊と言える。

    
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2012年08月12日

【時生】東野圭吾 



東野圭吾作品はたくさんあって、なかなかすべて読むのは大変であるが、折にふれては読むようにしている。
これは2005年の作品。

タイトルにある「時生」とは主人公の名前。
主人公の名前には、ストーリーに関わる大きな意味も込められている。
宮本拓実と麗子の夫妻には難病の息子がいる。
その息子時生は、治療の手立てもなく、今病院のベッドでまさに最後の時を迎えようとしている。
そしてその時、拓実は麗子に語りかける。
「実は20年以上前に時生に会っている」と。
それは拓実が麗子と知り合う前の1979年の事だった。

こんなイントロでストーリーは始る。
また最初から引き込んでくれるものである。
そして舞台は1979年へと飛ぶ。
当時拓実は23歳。
定職も持たずブラブラしていて、それで将来はでっかい事をやるという夢を見ている。
そんなある日、拓実の前に一人の青年が現れ、トキオと名乗る。

当時の拓実には千鶴という恋人がいるが、ある日突然姿を消してしまう。
事件に巻き込まれた可能性がある事から拓実とトキオは千鶴の行方を追う。
ストーリーはこの事件を中心に、現代とはおよそ別人のような拓実の姿を追っていく。
トキオとの関係、拓実と千鶴の関係、そしてやがてやってくる時。

あれこれと想像を働かせながらストーリーを追っていくと、いつのまにか時間は経過してしまう。
これも読み始めると止められない東野作品の特徴だ。
最近はガリレオや加賀恭一郎モノが人気だが、こうした人気シリーズ以外の作品ももちろん面白い。

最後に心を温かくさせてくれるところもまた良いところである。
東野圭吾ファンでなくても読んで面白い一冊だと思う・・・

   
posted by HH at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 東野圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月11日

【学校じゃ教えない「子供のアタマ」を良くする方法】松永暢史



序章   [アタマがいいこと]は幸福への手段
第1章 親にしかできない子供の[アタマを良く]する方法
第2章 学校が教えてくれない、[アタマが良くなる]能力開発のキモ
第3章 勉強ができるようになるための[学力]向上法
第4章 学校はなんのためにあるのか?

著者は子供の能力開発に尽力しているコンサルタント。
かつて 「できるだけ塾に通わずに受験に勝つ方法」という著作も読み、この分野ではその話には傾聴に値するところがあると個人的に考えている方である。
できる事ならアタマの良い子に育ってほしいと思うのは、どの親でも共通しているだろう。
どうしたら我が子のアタマが良くなるのだろう。
そんな問いにこの本は一つの答えを与えてくれる。

学校では勉強は教えるものの、アタマが良くなる方法は教えてくれないと言う。
言われてみれば確かにその通り。
「10回書いて漢字を覚える」
「ひたすら九九を暗記する」
これじゃ我が子は賢くならないと言う。
それはそうかもしれないが、九九をひたすらやる事はアタマの良し悪しに関わらずいい事だと個人的には思う。

勉強に関して大人が子供に最も与えてはならないのは、「自分はできない」というコンプレックスだと言う。
これは同感だ。
難しい問題が解けると、次に難しい問題に当たっても「これもできるんじゃないか」と向かっていける。
これは自分の経験からもよくわかる。

遠くの私立中学に通わせる事はオススメできないと言う。
これは何となく意識としてもっている。
電車通学はせめて高校生からだろう。
そんな基本的な考え方が同じなのも、この本を受け入れやすいところだろう。

記憶術はそれなりに参考にはなるが、それよりも「子供に直観力を持たせる4カ条が参考になった。
・子供にはなるべくいろいろな体験(試行錯誤)をさせる
・スポーツは有効
・キャンプに連れて行き自然体験させよ
・ダジャレを侮るなかれ
キャンプは親である自分が苦手だからどうしよう・・・

その他作文の重要性、国語力の重要性、読書の重要性、暗算力の重要性が語られる。
これらはすべてスポーツにおける基礎体力なのだろう。
基礎体力なくしていきなりプレーしてもうまくはできない。
言うまでもない事だが、改めてそう思う。

良い学校に入れるために、塾へ入れて一安心、という親は多いのではないだろうか。
今の親は、もうすでに自分の受験体験を持っているはず。
自分がやらなかったくせに、子供に無理にやらせようとするのは滑稽な事。
まずは大事なものは何かをしっかりとさせないといけない。

そういう意味で、参考になる一冊と言えるだろう・・・
    
    
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2012年08月07日

【謎解きはディナーのあとでA】東川篤哉



第一話 アリバイをご所望でございますか
第二話 殺しの際は帽子をお忘れなく
第三話 殺意のパーティにようこそ
第四話 聖なる夜に密室はいかが
第五話 髪は殺人犯の命でございます
第六話 完全な密室などございません

「謎解きはディナーのあとで」シリーズの第2巻。
身分を隠して国立警察署に勤務する宝生グループの令嬢麗子。
そして上司である風祭モータース御曹司の風祭警部。
そして麗子に影のように付き添う執事兼運転手の影山。
前作からのメンバーそのままで今回も事件に遭遇する。

パターンは大概同じ。
事件現場に駆けつけた風祭警部と宝生麗子のお決まりのやり取り。
風祭警部のとんちんかんな推理を宝生麗子が軽くいなす。
それにしても、どうして風祭は警部になれたのだろうか、とふと思うも、「でないと盛り上がらないから」という簡単な結論に落ち着く。

家に帰って豪華なディナーのあと、くつろぎながら宝生麗子は謎に包まれた事件のあらましを執事の影山に語って聞かせる。
すると影山がたちどころに事件の真相を推理してしまうのである。
毎度おなじみのパターンで、推理自体も感心するほどのものではないが、このライトタッチの雰囲気が、心地良さを感じさせてくれる。

推理自体はそれほどのものではない。
東野圭吾などとは比べ物にならない。
それでもディナーのあとの一時に(お金持ちのお嬢様ゆえにディナーなのである)、ちょっと聞いただけでそこまで推理できるか、と突っ込みを入れたくなってしまうのであるが、それを許したくなる柔らかい雰囲気がある。
むしろ、それほど精緻に事件を語れる麗子の解説能力の方が凄い気がする。

今回の事件もおきまりのパターンを踏襲。
しかしながら、第三話は旧友たちとのパーティ会場での出来事で、人は死なない。
いつもいつも殺人事件ではなく、こういう趣向もいい感じだ。
しかし、第六話は風祭警部が最後にどうして出て来たのか理解できなかった。
なんとなくもやもやが残ってしまった。
わかった人がいたら教えてもらいたい気がする。

気軽に読めるライトテイストのストーリー。
リラックスして読むにはちょうどいい。
コメディとミステリーが絶妙にブレンドされて、良い味わいのシリーズである。

     
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2012年08月05日

【仕事が夢と感動であふれる5つの物語】福島正伸



著者は経歴を読んでも漠然としていてよくわからないが、他人の成功を応援することを生きがいとしている方のようである。
各地で公演活動を行い、そしてその中で出会った方々の5つの話を中心にしたのが本書である。

最初の話は、倒産した乗馬クラブで引き取り手のない馬車馬を引き取った女性の話。
周りの誰もが無謀と言う中、引き取られなければ処分するだけという運命の馬を引き取り、執念で事業へと結びつけていく。
2つ目は家族に支えられて、飲食事業で成功に至った日本一のパパの話。
3つ目は毎日一つずつ元気になる言葉を紹介し、職場に明るさと成功をもたらした部長の話。
4つ目は神輿担ぎで気難しいご近所さんの心を動かして、地域に溶け込んだ飲食店店長の話。
5つ目は存続の危機に立たされた鉄道を、周囲に菜の花を植える事で菜の花鉄道として復活させた人の話。

以前読んだ同じ著者の【どんな仕事も楽しくなる3つの物語】は読みながらウルウルしてしまったが、この本に納められている5つの話も似たようなところがある。
この手の話が好きな向きにはそれだけで満足かもしれない。

この本の、というより著者が継続して発信しているメッセージは、「叶えられない夢はない」という事。
どんな夢でもやれる事をすべてやれば、すべてやり尽くす前に実現してしまうと言う。
本書に添付されている講演を納めたCDでも述べられているが、なかなか耳の痛い言葉である。

「夢」などと大きく構えてしまうとなかなか手の出しにくいところもあるかもしれないが、「身の周りで取りあえずやってみたい事」と置き換えてみれば案外可能になっていくのかもしれない。
5つの話はどれも普通の人ではできないような事を一発で実現したわけではなく、諦めずにやり続けた事が成果に結びついている。
凡人にも可能性を示してくれている。
そういう意味で元気の出る一冊と言えるかもしれない・・・



   
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2012年08月04日

【サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件】山口義正



プロローグ 旅先の告白
第1章   潜行取材
第2章   震えながら待て
第3章   黒い株主
第4章   怪僧登場
第5章   偽りの平穏
第6章   野村証券OBたち
第7章   官製粉飾決算

昨年世間を賑わせたオリンパス事件。
この本は、事件を掴み世間に初めて公表したジャーナリストが、その経緯を綴ったものである。

そもそものきっかけは著者のオリンパスに勤める知人深町(仮名)からの告白。
「売上高が2〜3億円しかない会社を300億円近くも出して買っている」という内容に、初めは著者も本気にしない。

しかし、知人深町から調べるようにという要請を受け、著者は腰を上げ始める。
深町からは社内情報が次々と寄せられる。
ヒューマラボ、アルティス、NEWS CHEFが問題となった3社。
なぜか買収の発表もされていない。

奇妙なコンサルティング会社が登場する。
次々に寄せられる社内資料には極秘の取締役会資料も含まれるようになる。
さらに公開買付で買収した英子会社ジャイラスの資料も著者を驚かせる。
そしてついにはオリンパスの自己資本がすべて吹っ飛ぶほどのインパクトである事がわかってくる。

著者はフリージャーナリストであり、記事の発表媒体を持たない。
伝手を辿ってメディアに接触する。
そして最終的に月刊誌のファクタに掲載が決まる。
事件は英国人のマイケル・ウッドフォードが社長に就任し、そしてすぐに解任された事から世間の知るところとなる。
我々一般人が知るのはこの時から。

世間を賑わす大騒動となるも、初めは月刊誌で掲載されていたらしいが、それは知らなかった。
個人のアンテナには限度があるから仕方がないが、こうした水面下のストーリーは興味深いものがある。

フリージャーナリストという職業も、こういう仕事をすると面白いのだろうが、いつもそううまくはいかないだろう。
事件そのものは、やがて著者の手には及ばない司直の捜査へ行く。
本のタイトルは、マイケル・ウッドフォード元社長の、「日本人はなぜサムライとイディオット(愚か者)がこうも極端に分かれてしまうのか」という言葉から取られているという。
体制側と反体制側と言った方が正しいような気もする。
組織となった時の日本人の特色なのかもしれない。

この本は、世間を騒がせた事件の水面下の話という事で多少興味が持てる本である。
ただ当事者ではないので、結局事件の首謀者たちの考えなどはわからない。
そこはやはり限界があるのもやむを得ないだろう。
まあたまにはこういう本もいいだろうと思うのである。

     
posted by HH at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする