2012年09月30日

【決断する力】猪瀬直樹



T 即断即決で立ち向かう
U “想定外”をなくす思考と行動
V リスクをとって攻めに転じる

東京都の副知事猪瀬直樹氏の最新刊。
ツイッターでその存在を知って手にしたのだが、「ソーシャルネットワークを使った情報収集・発信そして即断即決」というのは、今氏が一番強調したい事のようである。
「決断する力」とタイトルにはあるものの、氏の即断即決事例を紹介している趣もある。
こうした即断即決は何よりも危機においてその効果を発揮する。
前半部分では、震災時の対応が語られているが、それはまさにその最たる例だろう。

震災時の例は印象的である。
いくつかあるが、例えば千葉の市原市でのコンビナート火災。
状況を見て、ただちに消防艇の派遣を指示する。
本来なら千葉県から総務省経由で東京都に派遣要請が来る事になっているのだが、臨機応変で手続きを飛ばす。
そして1時間後に要請が来た時にはもう消防艇は現場に向かった後である。
役人の手続きに従っていては、これだけ対応が遅れるという好事例と言える。

危機の時には手続きを踏んで進む平和時のプロセスでは間に合わない。
日本のお役所は機能しない。
そんな事をまざまざと実感させられる。
ホームページがパンクすれば、すぐさま自分のツイッターで情報を発信する。
見も知らぬ被災地でのSOSをツイッターで知り、救助を向ける。
ソーシャルネットワークが威力を発揮する。

もともと猪瀬氏は石原知事に抜擢されて副知事になったものの、それまでの慣習である現場上がりの副知事と違って部下もいない。
ならばと自分で新しい役割を見出していく。
「決断する力」というタイトルではあるが、一方では東京都の現状説明でもある。
知らない事ばかりでそうした部分は興味深い。

例えば東京都は東電の株主でもあり、その立場からの意見も出てくる。
本には書かれていないが、株主総会では東電病院について意見表明していた事と重なってくる。
東京の水は美味しく、そのインフラ技術とマネジメント力をパッケージにして世界の水道事業に応えていくというプランは、なかなか興味を惹かれる。
こういう人が副知事でいる効果は大きいと思う。

ツイッター名言集にも目を惹かれた。
「若者は隣の秀才を目指すな、天才(変人)になれ。自分の世界をつくるためには秀才以上の努力が必要。なぜならすぐに点数という結果はもらえない。自信がない人間は努力が足りないだけ。何を努力したらよいか知っていればすでに天才。責任感、使命感のない夢は持続しない。」
「仕事ができる、とは、仕事が速い、という意味。決断はスピード、実行もスピード。それが人の信用の基準。わかる人にはわかる合言葉。いつも心掛けていること。」

いろいろな面で、読んでおいた方が良い一冊だと思う。
     
     
【猪瀬直樹の本】
「日本人はなぜ戦争をしたか〜昭和16年夏の敗戦」
      
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2012年09月27日

【プータロー、アフリカで300億円、稼ぐ】石川直貴



CHAPTER 1 授業料目当てで始めたアフリカン・ビジネス
CHAPTER 2 夢を求めて、タンザニアへ
CHAPTER 3 西部アフリカでのさらなる飛躍
CHAPTER 4 再び東へ

著者は現在アフリカで41の企業経営に携わり、その売上高は総額で300億円にのぼるという人らしい。
1981年生まれだと言うから現在31歳。
そんな著者が、アフリカン・ビジネスを始めた経緯から現在に至るまでを語った一冊である。

一読して思う事は、人生とは運といかにそれをタイミングよく掴むという事が大事かと思わせられる。
著者がなぜアフリカン・ビジネスに携わるようになったかと言えば、まったくの偶然。
留学していた韓国の大学で、友人のコネを使ってアフリカに中古車を送るビジネスをやった事。
始めはほんのこずかい稼ぎの感覚だったものである。
そして何と3,000万円を稼いでしまう。

そして日本に帰り、タイトルにある通り就職せずにプータロー生活を送る。
ブラブラする毎日を送ったあと、韓国で知り合った友人と再びアフリカに中古車を送るビジネスを始めようとする。
これがきっかけ。
目の前にあるチャンスに飛びつくか否か。
自分だったらどうだろうと思うと、まずやらないだろうと思う。
そこが違うところかもしれない。

始めはタンザニアへ。
慣れている自動車販売から始める。
友人とタンザニアへ乗り込んでいくも、始めからうまくいくはずもなく、資金はたちまち底をついて残金4万円まで追い込まれる。
窮地を救ってくれたのは人間関係。
やはりどこでもそれは言えそうである。

アフリカでのビジネス経緯の説明が続いていくが、合間合間に垣間見るアフリカの様子も興味深い。
アフリカでビジネスをするという事は、「いつトラブルに巻き込まれてもおかしくない状況におかれる」事だという。
日本の飼い慣らされたサラリーマンには無理かもしれない。

アフリカで生き残るのに大切な事は、「既成概念を打破する事」。
こんな指摘も興味深い。
日本から遠く離れたアフリカの地で、体当たりで生き抜いている著者の姿が本から浮かび上がる。
そこには「逞しさ」が透けて見える。
良い大学を出て、良い会社に就職するだけが人生ではない。
改めてそんな事を思わせられる一冊。
一気に完読した・・・


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2012年09月23日

【東大生が本気で考えた!勝ち抜くための株の本】東京大学株式投資クラブAgents



第1部 勝ち続けるための株式投資のキホン
 第1章 マクロな視点でジャンルを選択する!
 第2章 ミクロな視点で個別銘柄を分析する!
 第3章 株価の動きでタイミングを決定する!
第2部 東大Agents流株式投資の実際

著者は東大生のみからなる株式投資クラブ、東京大学株式投資クラブAgents。
そこのメンバーが、株式投資の基本解説をし、さらに実際の銘柄研究例を解説したのが本書。

第1部は初心者向けとも言える株式投資の基本。
情報ソースの種類、業種や銘柄ごとの特性、経済指標、為替と株価の関係、決算書の見方、EPS・PER・PBR・ROEやROAといった株式投資指標、そしてチャート。
初心者であれば、よく整理されていてちょうど良いかもしれない。

第2部では実際の研究事例となる。
日頃彼らがどうやって銘柄研究をしているのか。
仲間内での発表と質疑応答形式で、ここは非常に参考になる。

最初に取り上げられているのは鳥越製粉。
製粉業界の現状、部門別の売上構成、財務内容分析、そして株価の予想ストーリー。
次の古河電池では、それに加えて株価推移のシナリオを作り、ターゲットプライスとロスカットプライスを設定する。
事後の検証結果と踏まえ、こういう投資が王道なのだろうと思わせられる。

このやり方を続けてそれで必ず勝てるというものではないだろうが、少なくとも王道であるだけに、こういうやり方もよく知っておく必要はあるだろう。
株式投資の基本として、押さえておきたい一冊である・・・
    
     
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2012年09月17日

【生き方の流儀】渡部昇一/米長邦雄



第1章 『人間における運の研究』その後
第2章 生涯現役の人たちの共通項
第3章 若くして学べば壮にして成すあり〜青少年期の過ごし方〜
第4章 一歩抜きんでる人の仕事の流儀
第5章 いかにして財を為すか
第6章 夫婦のあり方〜家庭の流儀〜
第7章 老・病・死に対して〜老いの流儀〜
第8章 一流への流儀

上智大学名誉教授の渡部昇一と将棋の名人米長邦雄の対談本である。
ともに昭和の時代を生き抜いた先人であるが、そんな二人の対談から、何かこれからの生き方のヒントをつかめやしないかと手に取った本である。

第1章は運について。
運というものは、どうしたら手に入れられるかは誰もわからない。
しかし、それは確実に存在する気がする。
それを手繰り寄せる方法があるわけではないが、ヒントはある。

一つ気に入ったのは、「消化試合こそ全力投球する」という考え方。
「一見無駄に見える事が必ず役立つ」という考え方にもつながるが、渡部教授の体験談を読んでいると、やっぱり世の中はそういう風にできているのかもしれないと思えてくる。
「ある日ある時、天の一角から幸運が舞い降りてくる」
要はその時、どれだけ準備できているか、という事なのだろう。
多くの人が同じような事を言っている。
それはそれが真実だと言う事に他ならない。

歳を取れば暗記力は衰えると一般に信じられているが、それはそうでもないらしい。
渡部教授の話は要は意欲の差だと言う事を伝えている。
そうだとしたら、心強い。
老後のボケが何より一番恐ろしい気がしているからだ。

「一歩抜きんでる人の仕事の流儀」としては、「楽しんでやる」という事が語られる。
好きこそものの上手なれという事だろう。
「努力してやったらダメ」と言うが、そこはやっぱり真理なのかもしれない。
夫婦のあり方として違和感を感じたのは、「積もる話はお墓の中で聞かせてもらう」という部分だろう。
ここは完全に男の目線であり、どうなんだろうと正直思う。

「後悔先に立たず」という事は、誰もが知っているが、誰もそこから逃れる事はできない。
未来がわからない以上仕方のない事であるが、それならそれで、「後悔しない」ようにする事はできるかもしれない。
そんな事を考えると、「ではどうしたら後悔しないでいられるか」という問題に行き当たる。
この本にはそのヒントがあるような気がする。

何せ人生の先輩の語る言葉である。
そこには自らの経験という裏付けがある。
誰にでも当てはまるというものではないだろうが、参考にはなるのである。
時にそうした観点から、先達の言葉に耳を傾けるのも良いかもしれない。

そんな参考になる一冊である・・・
     
      
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2012年09月15日

【プリズム】百田尚樹



百田尚樹の本は出版されれば一も二もなく読む事にしているが、これはその新刊の一つ。
主人公はある金持ちの家に家庭教師として雇われた主婦梅田聡子。
出版社に勤める夫と結婚して、不妊治療の傍ら気分転換を兼ねてのアルバイト。
採用されて通う事になった岩本家。
その豪邸の庭で、一人の男と出会う・・・

こうして出会ったのが、もう一人の主人公とも呼ぶべき男。
しかし、彼には村田卓也、岩本広志、宮本純也、タケシ、セイイチ、ヒロコという名前と、そしてそれぞれの異なる性格を持っていた。
いわゆる多重人格というやつである。

今度のテーマはそういうわけで、「多重人格」。
映画などでしかお目にかかった事はないが、実際はどうなんだろう。
そう言えば昔、「『24人のビリー・ミリガン 』ダニエル・キイス著」という本を読んだ事がある。
精神世界に疎い私としては、少々理解しにくいところがある。
しかし、読み進むうちに詳しくなってしまうのが、百田尚樹。
この本もまたそうである。

戸惑いながらも卓也に惹かれていく聡子。
しかし、卓也はいつも変わらず卓也でいるわけではなく、人格はころころと変わり、そして人格が変わるとともに、まったく別人と化してしまう。
そして変わるのは性格だけではなく、基礎代謝や薬物反応や運動能力その他の医学的テストでも違いが出るのだと言う。

そうした複雑な相手と付き合いが進んでいく聡子。
レベル的には、百田尚樹トップ3( 「永遠の0」 「影法師」 「BOX!」)までにはいかないが、そこそこ楽しめると言ったところだろうか。

毎回違うジャンルで楽しませてくれるという部分では衰えがない。
タイトルは光を屈折させるプリズムから取っている。
様々な人格を内面に抱え込んだ多重人格の男を、光をあてると角度によって違う色に見えるプリズムに喩えるのはなかなかの妙である。
百田尚樹ファンなら読んでおいても損はない一冊である・・・
    
     
      
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2012年09月11日

【半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かるのか】柴山政行



第1章 不況でもリストラせずに儲かる会社は何が違うのか
第2章 客より店員が多いデパートや、半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かるのか
第3章 不況でも、ブランド店や化粧品会社が倒産しないわけ
第4章 書店や出版社、マンガ喫茶はどうやって儲けているのか
第5章 プロ野球選手の年俸は、なぜあんなに高いのか
第6章 Jリーグ選手や力士は給料をいくらもらっているのか

サブタイトルに「お金は裏でこう動く」とあるが、一見わかりにくい経済の仕組みを面白おかしく解説した本である。
そう言えば、過去にも『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 』(光文社新書)とか、 『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字 』(光文社新書)などの本があったが、これもその類の本である。
著者もやはり会計士だし、それらしいと言えばそれらしいのだろう。

第1章は不況でも儲かる会社として、日本電産を取り上げている。
さすがに著者が会計士とあって、始めは手堅く企業の話から入っているのだろうか。
第2章では、いよいよタイトルにある「半分売れ残るケーキ屋がなぜ儲かる」のか、そのカラクリを解いていく。
この手の話もあちこちで読んでいると、モノは変われども新鮮味という意味では薄れてくる。
「二匹目のどじょう」と言った印象がぬぐえない。

しかしながら、二匹目でも変わったどじょうであれば面白いのもまた事実。
プロ野球選手で、「打率3割と2割5分の差は、年間でヒット25本で、年収は5,000万円」というのは面白い事実だし、東北楽天が97敗しても球団経営は黒字だったというところもまた興味深い。
身近なところでデータを集めてみたら、こうした話はいくらでもあるような気がする。
まぁトレビア系の話が好きな人には、面白い本かもしれない。

経済は苦手という意識の人がいたら、こういう本を読んで苦手意識を和らげてみるというのは面白いかもしれない。
むしろ、そうした人にはお勧めできる本なのだろうと思うのである・・・

       
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2012年09月06日

【新月譚】貫井徳郎



普段からいろいろと書評には目を通し、面白そうだと思ったものは片っ端から読みたいリストに入れている。
しかし時間が経つと、何でその本を読みたいと思ったのかいつの間にか忘れてしまっている事がある。
この本はそういう経緯で手に取った本である。

主人公は女流作家の咲良怜花。
優れた作品を多数発表しながら、突然断筆。
驚くほどの美貌の持ち主であるが、なぞの人物。
そんな女流作家を新米編集者が訪ねる。
密かに執筆を依頼しようとの腹積もりだった。
何度かの訪問の後、気を許したのか、咲良は自分自身の身の上を語り始める。
それは思いもよらぬ一人の女性の人生だった・・・

こうして始る女流作家の人生回顧。
まだ本名の後藤和子だった時代。
およそ美人とは縁遠い容姿。
せっかくの勤め先も先輩の意地悪で退職。
就職活動である中小企業を訪ねると、若い社長木之内徹に気に入られてあっさり再就職。
それが運命の出会い。
そこから語られる木之内との付き合い。

やがてショッキングな出来事があり、作家への道へと歩み出す。
作家としてデビューしてからの和子の生活。
実はここがこの本で一番の収穫だったかもしれない。
読書好きなら誰でも一度は自分でも本を書いてみたいと思うだろう。
和子もそんな一人。

そんな和子が執筆を決意し、やがて出版社の新人賞に応募。
編集者の目に留まり、やがて二人三脚で執筆活動が始る。
こうした作家としての生活は、実際のそれなのだろうが、外部の人間には知りようがない。
それが津々浦々綴られているものだから、非常に参考になった。
そうか、作家になるとこんな感じなのか、と。

経験を積まないと良い作品が書けないのでは、とは何となく感じるが、その問いに対する答えもある。
構想はどんなところから得て、どんな感じで書いているのか、等々。
まぁ個人によってヒットポイントは違うのだろうが、ストーリーとは別にこんなところを楽しんだ。

和子=咲良のとても普通の人にはわからないような恋愛。
本人の立場に立ってみればそういう恋愛もあるのかもしれない。
しかし書いているのは男性作家。
女性が読んだらどんな感じがするのだろうかとも思うが、男が読む限り違和感なく、そして面白い。
やっぱりそれなりの地位を築いた作家は凄いものだと素直に思う。

560ページの大作だが、読み応えのある作品である・・・


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2012年09月05日

【部下はなぜ、あなたをそんなに嫌うのか?】小山昇



第1章 楽しくなければ会社ではない
第2章 「教える」以上に「育てる」こと
第3章 「人」を管理する職場は暗い
第4章 信頼されるリーダーの仕事術

著者はダスキン事業などを手掛ける兜髄野の社長。
ダスキン事業と言うよりも中小企業支援事業の方が有名な気がするし、社長も本業より著作の方が有名なのではないかと言う気がする。
そんな方のビジネス書。

刺激的なタイトルの本だが、今の時代管理職が成果をあげられない最大の理由は、「部下のうまい使い方を管理職が知らないから」だそうである。
そしていきなり、「部下と親友になれ」「部下を全力で楽しませよ」と始る。
最初から戸惑う人もいるかもしれないが、「楽しくなければ人は長続きしない」という部分はその通りだし、部下に嫌われる上司はお客様にも嫌われるという部分は当たっているところも多い。

部下とのコミュニケーションの重要性は今さら説くまでもないが、著者はその昔手帳に「誰にいつ声をかけたか」をメモして公平に万遍なく声をかけていたという。
くだらない事のようだが、こういう事をマメにしていれば、コミュニケーションは嫌でも深まる気がする。
そして実際、それで業績の上がった部署もあるのだと。
なるほどと思うところである。

面白いのは「部下には目に見える形で恩を売れ」というところ。
その例として、著者は娘さんの大学進学に際して、授業料を現金で手渡したというエピソード。
100万円を越える現金を渡され、そんなお金を見た事もなかった娘さんに、その重みは伝わったそうだが、それはそうだろうと言う気がする。
いずれ我が子の時に実践してみようかと思う。

その他、内容は人材育成、職場づくり、仕事術とわかれ、それぞれ具体的なノウハウが語られている。
特に職場づくりについては、個人的に参考になった。
管理職とは、「人を管理するのではなく、(その人がする)仕事を管理する事」という定義はなるほど、である。
部下に対する個人的な好き嫌いの感情のある人は考えた方が良い部分だろう。

語られている事はどれもなるほどと思う事ばかり。
しかしながらふと、「この人の会社の社員さんはみんなこんな風に管理されていて成果が上がっているのだろうか」とふと意地悪な気持ちになる。
著者が会社で好かれているのかどうかはわからないが、そんな事を考えてみてもしかたない。
書かれている事はもっともであり、参考にもなる。
素直に実践してみる価値はありそうである。
何事も前向きに学ぶ意欲のある人には一見の価値ある一冊だと思う・・・

      
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2012年09月01日

【2015年までは通貨と株で資産を守れ!】中原圭介



第1章 世界経済はどうなる?
第2章 欧州経済はどうなる?
第3章 米国経済はどうなる?
第4章 新興国経済はどうなる?
第5章 2015年までの資産運用

著者は私も日頃からウォッチしているエコノミスト。
解説もわかりやすいので、経済問題をフォローするには最適な方だと考えている。
本書が書かれたのは2012年の年頭。
8ヶ月経過していて、例えばフランスの大統領選などは終わっていたりするが、それでも内容的には十分現状に即している。
それにタイトルからすると資産運用の本に思えるが、実はそれは第5章のみで、第1章から第4章までは現在の経済情勢である。
この本の有益なところは、そこの部分だと思う。

しばらく前まで欧州の財政危機がアメリカや日本などの株安をもたらせていたが、それは「不均衡」と「連鎖」というキーワードで説明される。
最大の要因が、「マネー経済と実体経済の不均衡」。
マネー経済とは金融政策によって生み出されたもので、それは現在実体経済を大きく上回っている。
それは例えば米国が巨額の赤字を生み、国債を発行する事でそれを埋めている事に象徴される。

米国は中国から安い商品を大量に買い、中国はそれで得たドルで米国債を買う。
他国とも同様で、米国の巨額の貿易赤字が世界の成長を支えており、その世界の成長が米国の赤字を支えるという循環。
その連鎖が危機を募らせる。
2012年の世界経済を取り巻く3つのリスクは、「欧州の財政危機とそれに伴う財政再建」「米国の雇用回復の遅れと住宅価格の低迷」「インフレが定着した新興国の成長減速」だと言う。

欧州問題と言えばギリシャ問題が話題となっていたが、そもそも欧州の経済はどういう仕組みになっているのか。
ドイツは、そしてECBはどういうポジションにあって、どういう動きをしているのか。
ニュースだけを見ていてもなかなか本質は理解できない。

そしてやはり影響力の大きな米国経済。
QE3とは何なのか。
オバマ大統領のやっている事、そして再選はあるのか、共和党大統領が誕生するとどうなるのか。
実はアメリカ国内にはTPPに反対するグループがあって、それはなぜか。
バブルによって救われ、そしてそれによってまた危機を招く実情。

新興国は、中国・ロシア・ブラジル・韓国と米国や欧州の経済復活に大きな役割を担うも、あわせて抱えるインフレという爆弾。
資本主義と言うシステムが限界に近付いていると著者は指摘する。
国家と企業が分離し、成長率が低下するなかで、その指摘はなんとなくぼんやりと感じてきた疑問をクリアーにする。

今後は円安に向かうと著者は予見する。
それによって恩恵を被るのは海外売上比率の高い企業だと言う。
それはそれで参考になるが、やはりメインは第1〜4章の部分だ。
ここがわかれば、経済ニュースを見てもその本質が理解できる。

どうやら目の前に開けているのはバラ色の未来というわけではないようだ。
それはそれで仕方ないが、せめてそれに対してどう対処していくか。
それについての基礎知識をこういう本で補っておきたいものである。
今後も著者の発言は ブログ等で注目していきたいと思う・・・

     
posted by HH at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・経済・株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする