2014年01月21日

【サムスンの研究】日本に根付くグローバル企業研究会 読書日記396



第1章 サムスンを変えた「新経営」
第2章 技術進化経営
第3章 人材第一経営
第4章 ブランド戦略
第5章 社会貢献活動
第6章 サムスンと日本

今や青息吐息の日本の家電メーカーを尻目に、巨大な存在感を示している韓国サムスン・グループ。サブタイトルに「卓越した競争力の根源を探る」とあるように、そんなサムスンの成長の原動力を探った本である。

内容は、「はじめに」で説明されている通り、サムスンのリーダーたちの証言と専門家の分析から構成されている。サムスンのリーダーたちとは、関連各部署における責任者たちである。

サムスンの創業は1938年と古い。しかし、本格的な躍進は、1993年に打ち出した「質重視」の経営を目指す「新経営」宣言以降のようである。中心となった李健熙(イゴンヒ)会長が強烈な危機感から、「安かろう、悪かろう」の量重視の経営からの脱却を図ったものである。

韓国は1997年にIMF危機に見舞われるが、そこでも「新経営」の看板を維持。「他者に先駆け、世界で初めての製品を市場に投入し、世界標準を確立し、その市場分野を支配する」事を目指す。半導体メモリー分野で世界一位、世界で初めてCDMA方式を採用した携帯電話機を事業化し、2003年には売上世界3位となり、翌年には液晶ディスプレイで世界トップレベルとなる。

「新経営」は1993年にスタート。全役員をフランクフルトに集め、「家族以外はすべて変えろ」と要求したという。そして大事な事として、「経営の根本は人間にある」という考え方から、人間性を強調したサムスン憲法が制定される。

特徴的な制度として、「地域専門家制度」というものがある。入社3年目以上の課長代理クラスの社員から毎年200〜300人の優秀な人材を選び、世界各国に派遣。何か仕事をしたりする事もなく、給料をもらいながら自主的なプログラムに沿って言語・習慣・文化等を学ぶという。これによって、その国に精通した社員として働く事が出来るのだと言う。なかなか太っ腹な制度である。

人材育成についてはかなりのページが割かれ、その他にマーケティングなどから社会貢献活動に至るまで、幅広くサムスンの事例が紹介される。惜しむらくは、2005年出版と古い本だと言う事。まあその後の発展も凄いから、この時点で既に芽吹いていたとも言える。

某講座の課題図書として手に取ったが、「サムスンはこんな事をやってトップに立った」と知るには良い本であろう。今は、束になってもサムスンに追いつけなくなってしまった日本の家電メーカーであるが、是非こうした「敵の研究」も行って、巻き返してもらいたいと思わずにはいられない一冊である・・・
   


posted by HH at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする