2014年11月25日

【私社長ではなくなりました】安田佳生



第1章 満員電車からの脱出
第2章 営業カバンからの脱出
第3章 劣等感からの脱出
第4章 アポ取りからの脱出
第5章 資金繰りからの脱出
第6章 引け目からの脱出
第7章 社長からの脱落

著者はワイキューブの元社長。
ワイキューブと言えば、かつて豪華なオフィスで有名になったのを記憶している。
そして著者自身も、『千円札は拾うな。』という本を出していて、読もうと思っていて読まずに来てしまったことをよく覚えている。
そんなワイキューブが、いつの間にか倒産していたようである。

タイトルを見れば、そんな倒産会社社長の“敗戦記”である事がわかる。
“優良会社の社長の本だから有益”かといえばそんな事はなく、“倒産会社の社長の本だから無益”などということも当然ながらない。
むしろ倒産会社の社長の本の方が、数は少ないだろうし、学ぶべき点もあるはずだと思い、手に取った次第である。

内容は、と言えば、子供時代から社会人になりリクルートを経てワイキューブを設立し、そして2011年3月に民事再生手続きに至るまでのものとなっている。
ご本人は、元々「他人と同じ事を良しとしない」子供だったようである。
高校を卒業し、アメリカの大学へ行く事を決意したのも、「明日の仕事が決まっていないことよりも、明日からの満員電車が決まっていることの方が怖かった」と語る。
そんなところに起業家としての片鱗が伺える。

しかし、せっかく行ったアメリカの大学も、アメリカ人を好きになれず友だちもできなかったらしい。
そして、今では信じられないくらいいい加減な就活で、リクルートに入社する。
地道な営業活動が嫌で、コツコツと営業の電話を掛けて売上を積み上げるやり方を嫌い、大型注文を取る。
動機は不純でも、そこに創意工夫があれば良しである。

各章のタイトルも、「〜からの脱出」となっているが、著者のモチベーションの基本が“嫌なことはやりたくない”というものだった事から、そうした積み重ねの歴史だったのだろう。
オフィスに金をつぎ込んだのも、劣等感から逃れるためだったという。
それはそれで良いのだろう。
そしてこの著者に共感できるところは、社員を大事にしているところである。

自分が営業の電話を掛けたくないからと言って、社員にやらせる事に引け目を感じ、営業の電話をやめる。
利益は社員の給料に回す。
2年目以降の社員にグリーン車の利用を認める。
社員専用バーや社内のカフェに専属のパティシエまで雇っていたという。
「自分だけ良い思いをしたくない」という考えは素晴らしい。

だが、“給料を上げてもパフォーマンスは上がらない”という事実に直面。
結局、福利厚生は利益を生むことはなく、このあたりが行き詰った遠因だったのだろう。
ワイキューブは中小企業向けの採用コンサルティング事業を展開。
売上はピークで46億円だったというから、立派なものである。

しかし、リーマン・ショックが世の中から採用ニーズを奪う。
ワイキューブも利益を蓄積していれば何とか危機を乗り切れたかもしれない。
しかし、銀行からの借り入れが膨れ上がっており、自由を奪われる。
こうなると、徐々に首が締まってくる。

当事者でないから詳細はわからないが、倒産に至る経緯には参考になるものがある。
社長の考え方も大事だが、やはり利益をどう残し、どう使っていくのか。
そのバランスも重要だろうと思う。
物語として読んでも面白く、ビジネスの参考にしても良いと思う。
もって他山の石としたい一冊である・・・
    
    
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2014年11月22日

【「お金持ち大家さん」への道】高橋誠一



ステップ1 「導入」なぜ「お金持ち大家さん」が「個人年金」になるのか
ステップ2 「理解」「お金持ち大家さん」がローリスクである理由
ステップ3 「準備」さあ、あなたも「お金持ち大家さん」を始めましょう
ステップ4 「実践」物件選びのコツと陥りやすい落とし穴
ステップ5 「活用」二棟目、三棟目の物件へはこうして進む

個人的に不動産投資には興味を抱いている。
一応、始めるとしたら自分なりの“尺度”を持っているつもりである。
ただ、「自己資金」がないので、なかなか実行できずにいる。
その間、少しでも知識を仕入れようと、関連しそうな本は手に取るようにしているが、この本はそんな一冊。

最近は少なくなったが、一時期休日ともなるとよく利回り5%程度のワンルーム投資を勧める電話がよくかかってきた。
そんな条件の悪い話に手をだすつもりはまったくなかったが、こちらも十分な知識を持っていないといけない。
そんな中で、この本における著者の主張には、頷けるものがある。

この本の前に、『「お金持ち大家さん」になろう!』という著書があったらしいが、そこでは、
・大都市の駅から徒歩15分以内の立地で中古のアパートかマンションを探す
・2,000万円程度の自己資金と借入金で購入する
・物件探しやリフォーム、賃貸管理については信頼できるプロに任せる
と主張していたようである。
中古は「利回り」の点で有利であり、自己資金は借入リスク軽減のために必要。
いずれも自分の考えにあっており、著者の主張に同意できる理由である。

最低自己資金を2,000万円とする理由も、利回り6〜8%を確保するためと明快。
先に挙げたワンルームマンション投資では、「全額借入=自己資金がいりません」と手軽に始められる事を強調していたが、それは大きなリスクの裏返し。
その意味でも、自己資金を強調する意見には大きく賛同できる。

不動産投資では何より重要なのは、「借り手がつくか」ということ。
その点、著者は「入居者はこうやって物件を選ぶ」と、入居者目線に立った考えを披露してくれている。
もっとも重要な点は「駅までの距離」であり、「ベストは徒歩10分以内」としている。
こうした考え方も頷ける。

解説に加えて、実際の相談例を漫画を交えて説明するなど、全体的にわかりやすい。
我田引水的なところも多いが、もともとこうした書籍を通じて自分のビジネスに誘導しようという意図があっての事だからしかたあるまい。
そうだとしても、内容が良ければ問題はないわけで、その点では良心的な本と言える。
要約すれば、「失敗しないコツは自己資金と利回り」との主張がこの本の主張する肝の部分。
それはまさにその通りであると思う。

不動産投資を考えている人は、へんな勧誘の文句に耳を傾ける前に、この本を読んだ方が良いだろう。
そうはっきりと言える一冊である・・・
  
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2014年11月21日

【インバスケット的「根回し」仕事術】島原隆志



Chapter.1 根回しは仕事のできる人の「行動特性」
Chapter.2 当たり前だけどできない根回しの基本5則
Chapter.3 根回しコンサルタントの華麗な日常
Chapter.4究極の根回し術

著者は「インバスケット」を研究している第一人者。
最近著者の『同じ条件、同じ時間で10倍仕事ができる人、10分の1しかできない人』を読んだばかりであり、それが良かった事から2冊目に手を出した次第である。

そして今回は「根回し」。
「仕事が10倍できる」と上著で語った著者であるが、「根回し」はその反対にあるようなマイナスのイメージがあるが、実はよくよく考えてみると、仕事ができる人ほどうまく根回ししているような気がする。
根回しは決して悪い事ではなく、物事がスムーズに進めるためのテクニックかもしれないが、それを裏付けるのが本書である。

根回しなどしなくても正論を主張すれば問題ないように思われるが、「自分が正論と思っていることも、立場の違う相手からすれば異論になる」という主張には、ハタと気付かされるものがある。
確かにその通りだろうと思う。
そして誰にとっても、自分の意見は常に「正論」なのである。

そうした意識の変化があると、あとは比較的受け入れやすくなる。
根回しといってもやみくもにやれば良いというものでもない。
「優先順位」も重要な要素であり、これを間違えると根回しも効果はない。
「トラブルの際に上司に一報を入れる」という行為も、実はれっきとした根回しである。
言われてみればその通りであり、そう考えると普段から知らず知らずのうちに根回しをしていたりするものなのかもしれない。

また、根回しの相手も重要。
キーパーソンを外した根回しは当然ながら効果がない。
相手には相手の事情があり、それを押さえておくことも重要。
休暇を取るにしても、きちんと回りに知らせて頼んでおけばスムーズにいく。
インバスケットらしく、途中からは架空のストーリー形式で根回しの具体例を学んでいく形となるので実に分かりやすい。

お詫びの際の「YOUメッセージ」。
これは主語を「YOU」にしてお詫びすればうまくいくというもの。
遅刻した時、遅れた理由をもっともらしく説明するのは「Iメッセージ」。
相手の立場に立つのが「YOUメッセージ」。
根回しもそうしたところを押さえないといけない。

一読して根回しは、実に奥が深いと感じる。
否定的なイメージを持つ事なく、きちんと理解できれば、相手のことを考えた仕事ができると感じる。
これからは、「根回し」を前向きなことと捉え、うまく活用していきたいと思わせられる一冊である・・・
    
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2014年11月16日

【東大現代文で思考力を鍛える】出口汪



序章  東大が投げかける、受験生へのメッセージ
第1章 常識に縛られない思考を作る4問
第2章 現代の問題系を理解する4問
第3章 芸術と文化の見方を学ぶ3問

東大の入試に出された現代文を紹介するというちょっと珍しい一冊。
と言っても受験指南書ではなく、あくまでも東大の入試問題に使われた現代文を取り上げ、それを解説することで面白さを味わってもらおうというもの。
理系の人からは敬遠されるかもしれないが、こういうのが結構好きな自分としては、食指が動いたという次第である。

はじめに「東大の現代文ほど、面白いものはない」と著者は語る。
「東大の現代文入試の問題は、東大がその年の顔として、まさにメンツを懸けて探してくる文章である」と聞くと、確かにそうなのだろうと思う。
「この世界で生き抜くための、そして人生をより豊かにする教養が、ふんだんに盛り込まれている」というイントロの解説は、その先を期待させるものである。

そしていよいよ現代文が各種採りあげられる。
構成は、「作者の紹介」→「当該現代文(問題分)」→「著者の解説」→「実際の問題1問」→「補講(補足説明)」という形になっている。
中心はやはり「当該現代文(問題分)」なのであるが、それだけだと理解が難しい。
著者の説明で、なるほどと思うのである。

紹介される作者は、福永武彦、木村敏、小池昌代、大森荘蔵・・・とせいぜい何とか名前だけ聞いた事があるという程度で、大半の人は知らない。
どれもお固い文章かというとそうではなく、固いのから柔らかいものまである。
ただ、例えば「木村敏『異常の構造』」など、そもそも普段まず間違いなく読む事はないだろうというものばかりである。
どれも大学入試以来ではないかと思うくらい“異分野”の文章である。
それがかえって良かったと個人的には思う。

そして各文章には、実在の問題が1問ついている。
国語の問題によくある「文中の傍線部分の意味はどういうことか」というような問いである。
ずばり正解というのはなかなか難しかったが、だいたい近い線いっていたというのもあり、まあ世の中に出てから磨かれた文章読解力だろうかなどと思ったりしてみた。

最後に補講の部分では、さらに深く学びたい人へ向けて関係する作品を紹介してくれている。
哲学や詩集や小説などいろいろあるが、いくつかはそのうち読んでみようとメモしておいた。
人によって感じ方は違うかもしれないが、さらに深く学んでみたいという気にさせられる。
「思考力を鍛える」というタイトルに嘘偽りはないが、この本だけで十分というわけではない。
これをきっかけにして、思考力を鍛えたいと思わせられる一冊である。
   
   
   
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2014年11月11日

【武田信玄 火の巻】新田次郎



新田次郎による『武田信玄』シリーズの第3弾。

前作では、川中島で上杉景虎を破り、上杉の脅威はここでは減っている。
そして変わりに関東と駿河が信玄の視野に入ってくる。
この時代、天下に号令をかけるには京に上る必要がある。
既に織田信長は京に向かっており、信玄も西に目を向ける。

かつては同盟を組んだ関東の北条と駿河の今川。
冒頭では北条の要請で信玄は松山城を攻める。
しかし、信玄の力が及ぶのを嫌った北条は、単独で松山城を降伏させる。
武田と北条に不信感が募る。

一方、桶狭間で義元が討たれた今川は、氏真が跡を継ぐ。
西進を目指す信玄は、今川討伐を検討するが、信義を重んじる嫡男義信はこの方針に反発する。
信玄・義信親子の対立は深まり、義信は傅役の飯部兵部に父信玄の追放を依頼する・・・

かつて信玄は実父信虎を追放した。
しかし、これは信虎が人心を失っていた為、成功したこと。
家臣から支持されている信玄の追放に、他の家臣が賛同するわけもなく、クーデターは失敗する。
義信は信玄の命によって幽閉される。
一方、湖衣姫の長男勝頼は初陣を飾り、こうして信玄の後継者が決まる・・・

武田信玄は有名であっても、その実績は詳しく知らない。
ここで語られるエピソードも、したがってすべて新鮮である。
当時は、“常備軍”がなく、兵士は農閑期に戦争に出ていたという。
田植えのために兵を引いて領地に帰ったというエピソードも、現代の“常備軍”的な発想からすると、意外な発見である。

また兵士も“混合部隊”である。
武田・北条・今川・徳川・上杉など大名の直系軍だけでなく、近くの小豪族が大大名に兵を率いて加わったりする。
そうした勢力は、しばしば“寝返り”のリスクがあり、戦場では最前線に置かれた事も多かったという。
そうした本筋から離れたエピソードも興味深い。

北条と対立する武田。
一方、勢力を伸ばした徳川は、北条と通じている。
後に豊臣秀吉が小田原を攻めるが、徳川家康が北条に上洛を説得したのは、この頃からの結びつきかと改めて思う。
いよいよ物語は最終巻へ。

ラストが楽しみである・・・
    
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2014年11月10日

【成果が出ないのはあなたが昔の「燃費の悪いアメ車」な働き方をしているからだ】林總



著者は公認会計士であり、経営コンサルタントでもある方。
著作も多く、過去に『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』や、『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!』などを読んでいて馴染みがある。
最近では、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?不正会計編』を読んでおり、少し前には『50円のコスト削減と100円の値上げはどちらが儲かるか』なんかもある。
割と好みの作家かもしれない。

タイトルからは想像もつかないが、この本は病院を舞台としたビジネス小説。
主人公は医師の三郷大介。
国家試験に合格したあと、母校の東部大学病院に勤務する。
そしてある日、隣町にある佐原病院に転勤となる。

佐原病院は理事長兼院長の佐原巌一郎がワンマン経営を行っている。
経営は赤字であるが、院長は高額の役員報酬を取っている。
院長は赤字脱却のためコンサルタントを招き、売上増とコスト削減を進めようとする。
しかし、医療の質を高めたい大介と対立する。
嫌気のさした大介は、辞意を胸にロンドンの学会へ出席すべく、機上の人となる。

機内で知り合ったのは、経営コンサルタントの西園寺。
話の流れから佐原病院の経営に話が及び、そこで大介は西園寺からドラッカーの言葉を借りながら病院経営について学んでいく。

病院というところは、普通の事業体と違って営利を追求していくだけで良いというものではない。
そしてもちろん、赤字で良いというわけでもない。
そんな“非営利組織”がどうすべきなのか、がこの本のテーマとなる。
個人的にも興味深い。

医者のような知識労働者もドラッカーによれば「生産性は質を中心に据えなければならない」という。
ただ量だけこなしても患者が治らなければ意味はない。
肉体労働は“量”であり、知識労働は“質”。
当たり前と言えば当たり前。
その知識労働は資本財として考えねばならないのに、肉体労働同様「コスト」と考え、コスト削減の対象としてしまったことで日本企業はエレクトロニクス技術において中国・韓国の後塵を拝している。

佐原病院は、総合病院の看板を降ろし、“専門化(専門病院化)”し、平均入院日数の短縮とベッド稼働率の向上を図っていく。
ストーリー自体は面白くもあるが、どうも物足りなさがある。
それはこうしたビジネス小説にありがちな話であるが、話が総論的になってしまい、具体的なケースがイメージできないのである。
致し方ないのかもしれないが、もう少し具体的だったら参考になって良かったと思う。

結局のところ、営利組織も非営利組織も組織の目的は「顧客満足」に他ならないとするところはその通りだろう。
そして財務的成果である利益は、「前提であって目的ではない」とする。
「病院だから赤字でも良い」「営利事業だから利益だけ追求していれば良い」というものではないということだろう。

話が総論的であるがゆえに、ある程度専門的な知識を有している者からみれば物足りない。
素人向けと言われればそれまでだが、果たして素人の人には面白い内容かと言われれば、どうだろうか。
そもそもであるが、タイトルにある「燃費の悪いアメ車的な働き方」って何だろうか。
この本を読んでも今イチよくわからなかった。
そんなところも含めて、全体的に残念な印象の一冊である・・・

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2014年11月07日

【世界初をつくり続ける東大教授の『自分の壁』を越える授業】生田幸士



第1章 競争せずに「その他大勢」から突き抜ける方法
第2章 成功するために必要な独創のつくり方
第3章 「バカ」を学ぶと頭は良くなる
第4章 人は誰でも天才になれる
第5章 「違う力」で生き残ろう

著者は、ロボット工学を専門とする東大教授。
その東大教授が、自身の成功の元となった「バカ」を語った一冊である。

著者は主に医療分野で画期的なロボットを開発してこられたようである。
そしてその秘訣は、「バカ」になること。
ここで言う「バカ」とは、学力の話ではなく、「どれだけバカバカしいことを考え、それを実行に移すことができるか、つまり周囲の批判や嘲笑を気にすることなく、まったく新しい発想を提言することができるか」だと言う。
平たく言うと、「常識に囚われない」ことなのだろう。

実際、新しい発明というものは、従来の思考の中からは生まれにくいかもしれない。
著者はその始めとして、たとえば「どうすればもっといいノートパソコンができるか?」と考えるのではなく、「自分はどんな世の中を実現したいのか?」「いま世の中には、なにが不足しているのか?」と将来のあるべき姿から考えていくことだと言う。
本物のアイディアとは、コンセプトのあとからついてくるものらしい。

著者は自らの研究方針を2点決めている。
@新発想・・・すでに存在する技術を「知恵」でつなぐ
A新原理・・・従来と原理的に異なる「新技術を発明」する
その方針に沿って、具体的に研究を進めるにあたっては、「現場の情報は相手から『そこまで聞くか』と言われるくらい100%切り取る」事が重要だという。
そこでは、『質問力』が重要なのだと言うが、やはりここでも『質問力』というキーワードが出てくる。

『質問力』を磨くには、「聞きながら仮説を立てていく」ことと、「自分ありきの発想にならない」ことが大事。
「他者ありき」で考えるのがいいとのこと。
このあたりは、なかなか参考になる。
「いい研究とは、10人中8人が反対する研究である」という言葉は、日本人には耳が痛いかもしれない。

「突き抜ける」ために必要な事は、
・頭で考える
・手を使う
・人を使う
こと。
一言で言えば、頭にあるアイディアは手を使って可視化してみて、人に相談してその頭を利用するということなのだろう。

さらに発想を独創的に変えるには、
・違う「テーマ」を考える
・違う「方法」を考える
・違う「結果」を考える
という指針が必要とのことである。

こうした発想を磨くため、著者は自分のゼミで「バカゼミ」をやっているという。
誰でも持っている「バカの壁」を突破するために、バカバカしい研究テーマを真剣かつアカデミックに追求するらしい。
その一例として、おならの匂いを消す肛門埋め込み型フィルターの例を挙げている。

日本人はどうしても「横並び」が好きで、「出る杭は打たれる」社会である。
自分はかなり“天の邪鬼”だと思っているから、そのあたりはつくづくと実感する。
そしてそうした横一列の中からは、独創的な発想は生まれてこない。
著者の主張する「バカ」については、実にスムーズに理解できる。
そして「棚にあるぼた餅は何もしない人のところには落ちてこない」という言葉がいたく気に入ってしまった。

自分は研究者ではないが、こうしたものの考え方には実に共感できる。
自分自身そうありたいと思うし、子供もそう育てたいと思う。
発想力を育てるという意味では、参考になる一冊である・・・
   
   
   
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