2015年07月23日

【東大名物教授がゼミで教えている人生で大切なこと】伊藤元重 読書日記566



序章  人生にも戦略があっていい
第1章 「読む」「書く」「話す」力を鍛える
第2章 発想力を鍛える
第3章 効率を上げ、仕事の質を高める
第4章 現場からめいっぱい学ぶ
第5章 ロールモデルを探せ−私の20~30歳代

著者はタイトルにもある通り、東大教授。
専門は経済のようであり、専門の著書も多数あるようであるが、この本においては経済のことは脇に置いておいて、ゼミで学生相手に語っている話が中心のようである。

はじめに、「人生にも戦略があっていい」と語られる。
ただ、人生は想定外の連続。
その中で何を大切にするかというと、「レイバー」「ワーク」から「プレイ」への変化だという。
レイバー=肉体労働、ワーク=事務仕事であるが、プレイとはやりがいのある仕事ということのようである。
なるほど、興味をそそられるイントロである。

著者も他の多くの人と同様、「読書」の効能を訴える。
速読などは必要なく、ただし、気がついたことを自分の言葉でメモすることを勧めている。
「自分の言葉で表現できたもののみが、自分の血や肉となっている」とする。
ランダムにメモしたら、今度はそのメモを再度読んでまたメモをつくる・・・
書くことはまた最良のインプットだというが、こういう考え方は新鮮である。

ゼミで重視しているのが、「人とのインタラクション」。
自分一人で考えるだけでなく、ディスカッションやディベートを通じて新たな気づきが得られる。
これは、何となく日頃実感していることでもある。

また、一方で、1日30分一人になってひたすら自分の仕事について考えることも大事だという。
著者は歩く時間をそれに充てているようである。
それゆえに、「ウォーキングエコノミスト」と呼ばれているらしい。

「プロの議論は疑ってかかれ」というのも、近頃強力に実感している。
プロはその世界のプロであるがゆえに、固定観念に固まってしまっているところがある。
素人だから、気づくこともあると、著者は自らの経験を例に挙げて説明する。
昨年、異業種に転職した私も、日々「プロ」相手に異文化を吹き込んでいるところである。

最後のロールモデルについては、教師よりむしろ仲間の方が刺激が大きいということを語る。
少人数制を極めていっても、ある程度のところで頭打ちになる。
それは「仲間からの刺激がなくなる」かららしく、著者もこれまでに大きな影響を受けた友人・同僚の例を挙げる。
自分の子供たちの教育を考えるにあたっては、大いに参考になる。

「人生で大切なこと」と大上段に振りかぶったタイトルであるが、その内容には全く同意である。
タイトルに偽りはない。
十分に一読の価値はある。
自分もそろそろこうした「語る言葉」を持ちたいと思うところである。
そういう意味でも、大いに参考にしたい一冊である・・・