2015年08月30日

【巨大な夢をかなえる方法】



ジェフ・ベゾス
ラリー・ペイジ
ジェリー・ヤン
ディック・コストロ
ジャック・マー
シェリル・サンドバーグ
イーロン・マスク
トム・ハンクス
メリル・ストリープ
マーティン・スコセッシ
チャールズ・マンガー

サブタイトルに「世界を変えた12人の卒業式スピーチ」とある通り、これはアメリカの各大学で行われた卒業式における著名人のスピーチ集である。
アメリカの大学の卒業式は、かなり大がかりなイベントのようで、卒業生本人はもとより、家族も揃って参加するもののようである。
そしてそこでゲストとして招かれた人のスピーチが、注目されているようである。

そんな卒業式での著名人のスピーチを集めたのがこの本。
ビジネス界を中心に映画界の著名人が登場する。
卒業式のスピーチと言えば、かつてスティーブ・ジョブスが行ったスタンフォード大学でのスピーチがあまりにも有名だ。
その内容は、これから社会へ羽ばたこうとしている若者以外にもインパクトのあるものだった。
そんなことが記憶にあって、期待をこめて手にした一冊である。

最初に登場するのは、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス。
子供の頃、祖母をやり込めてしまったエピソードから、知識を振り回せば良いということではないという事を語り、そしてニューヨークで金融機関に勤めている時に、アマゾンのアイディアを思いついたことを語る。
たぶん高給取りだったのだろうが、そのアイディアに賭けて起業する。
こういう思い切ったことは、特に日本人には躊躇する人が多いかもしれない。

アリババグループの創業者ジャック・マーも、失敗を恐れてはいけないと語る。
「冒険には失敗がつきもの」
「人生は何かを達成するためではなく、何かを経験するためにある」
冒険せずに成功などありえないということは、よく理解できる。

アリババは、ビジネスがうまくいっている時にあえてビジネスモデルを破壊するということをしてきたらしい。
「屋根を直すとしたら、日が照っているうちに限る」という言葉は説得力がある。
・根気強く努力を続ける
・常に楽観的に考える
・変化を歓迎する
そんなメッセージは自分にも当てはまる。

サルマン・カーンの話は若者にはいいだろう。
自分の50年後を想像してもらう。
死を前にして人生を振り返る。
成功したこと、そしてやっておけば良かったと思う事。
そこにランプの魔人が現れ、50年前に戻してやると言う。
希望に満ちて社会に出ようとしている瞬間に戻れるならと想像する。
そして今がその瞬間だと語るのであるが、自分もそんな想像をしてみたいと思ってしまった。
80歳の自分から見たら、今の自分にもまだまだ可能性があるだろう。

たぶんスピーチはたくさんあると思うし、ここに採り上げられているのはその中でも選りすぐりのものだと思う。
だけど全部が全部良かったというわけではない。
トム・ハンクスやメリル・ストリープのは、あまり心に響かなかった。
まぁ実際に聞くのと読むのとはまた違うし、人それぞれの経験によっても響き方は違うだろう。
自分に合ったものを探してみるのもいいかもしれない。

自分だったらどんなスピーチをするだろう。
著名人でも成功者でもないが、その時語る言葉が持てるようにこれからも行動したいと思う。
そういう意識になれた一冊である・・・

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2015年08月27日

【ブラックオアホワイト】浅田次郎



浅田次郎の作品は、目につくたびに手に取るようにしている。
感動モノはいくつもあったし、そうでなくても読んで損したということがないからだろう。
もちろん、ほどほどというものもあるから、常に面白いというわけではないが、まぁ好みにあっていると言える。
この物語も、ほどほどの範囲だ。

“私”は都築君とともにいる。
都築君は、祖父から3代にわたる商社マンだった男だが、今は引退して親の残した資産で悠々自適に暮らしている。
そんな都築君が“私”に語る不思議な夢の話。

最初の話はスイスのとあるホテル。
まだ若かりし頃の都築君がホテルに着き、なかなか寝付けぬ夜、バトラーに硬い枕を要求する。
バトラーは白と黒の二つの枕を持ってきて、都築君に尋ねる。
「ブラックオアホワイト?」

「ホワイト」と特に理由もなく枕を選んだ都築君は、枕を変えた途端、深い眠りに陥る。
夢には恋人と(といっても実在の恋人ではない)死んだ祖父が登場する。
ちょっとスリリングな逃避行とビーチでの甘い逢瀬。
満足して目覚めた都築君は、次の晩、今度は黒い枕を選択する。
そして同じような夢なのに、今度は恐ろしい展開に悲鳴とともに目覚める。

その後、商社マンとして世界各地に出張した都築君は、パラオ、ジャイプール、北京、そして京都とそれぞれの地で、白と黒の枕で夢を見る。
白い枕の時は良い夢を、そして黒い枕の時は怖い夢を。
パターンがわかってくれば、白い枕だけを選んでも良さそうだが、そこは巧みに黒い枕が入ってくる。

夢と現。
どちらが夢で、どちらが現か。
都築君の夢の話にいつのまにか引き込まれていく”私”。
それは” 読む私”も同様である。
不思議系の物語が多い浅田次郎だけに、どこか不思議の雰囲気が漂う。
そして、何だか夢を見ているような気分で物語は終わる。

特段大きなインパクトがあるというほどではないが、読んでいるひと時を楽しむことはできる。
やっぱりそこは浅田次郎ならではの世界が感じられる一冊である・・・

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2015年08月26日

【世界のトップを10秒で納得させる資料の法則】三木雄信



ケーススタディ1 業務処理報告書
ケーススタディ2 売上報告書
ケーススタディ3 要因分析レポート
ケーススタディ4 プロジェクトマネジメント型会議議事録
ケーススタディ5 プロジェクトマネジメントシート
ケーススタディ6 パレート図
ケーススタディ7 回帰分析
ケーススタディ8 プロセス分析シート
ケーススタディ9 プレゼンテーション
ケーススタディ10 企画書
特別付録     資料作成のツボ

著者は元ソフトバンクの社長室長を務めた人物。
孫正義の下で働き、忙しい孫氏に短時間で説明する経験を幾度となく積み、その時の経験から身につけた資料作成のコツを披露したのが本書である。
何事も極めれば本が書けるということであるし、本が書けるくらい極めないといけないということである。

始めの業務処理報告書では、資料作成のコツと言いながら、実は問題のとらえ方を述べている。
英会話学習塾のチラシによる集客を例に、「群管理」という概念を説明し、累積ではつかめない問題点を時系列化によって浮き彫りにすることを解説してくれる。
要因分析レポートでは、「数値化すると人は動く」とし、因果関係を数字で表すことによって、トップに対するPR効果が高くなることを解説してくれる。

個人的に参考になったのは、「パレート図」である。
モデム障害の例を取り、数多くのクレームで混乱していた現場において、問題点4つを改善すれば、クレームの8割をなくすことができると分析するところである。
問題が生じると、目の前の一つ一つの処理に追われてしまうが、こうした分析手法を使うと、大きなポイントを押さえられ、短期間で状況を改善できる。
何かに応用できそうである。

肝心の資料作りで参考になったのは、プレゼンテーションである。
ワンスライド・ワンメッセージ・ワンイメージの原則
メッセージは20文字以内
メッセージを裏付ける数字
など、基本はシンプルということかと感じる。

最後の企画書も、同じ企画について2種類の企画書を比較させることで、わかりやすさが格段にアップされる例が解説される。
ここでも「枚数が多い企画書」≠「良い企画書」とされる。
何となく枚数が多いと仕事をした気になりやすいものであるが、改めてシンプルが一番と感じる。

よくよくタイトルを見れば、「資料の法則」とある。
何となく「資料作り」というイメージでいたが、そうした事務的なことではなく、広く資料を作る過程で問題を解決する考え方のレクチャーといったところである。
あまり大げさに考えることはなく、それなりに参考にはなる。
いいところは、学びたいと思う一冊である・・・

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2015年08月23日

【考えよう、そして行動せよ。】福川伸次



序章  課題先進国から課題解決先進国へ
第1章 日本、その成長と停滞の軌跡
第2章 高まるグローバルリスク
第3章 日本社会の持つ強さと弱さ
第4章 二番手思考を超えよう
第5章 人間価値主導の経済社会を
第6章 日本から世界を変えよう
第7章 【特別対談】
    「考動」できる人づくりが勝利を呼んだ
    今ある仕事がなくなっても、次の仕事を生み出す力を
    「時には踏みならされていない道を行け」

著者は元通産事務次官、現東洋大学理事長。
個人的に親しくさせていただいていることもあって手に取ったもの。
著者のこれからの日本人に対するメッセージをしたためた一冊である。

サブタイトルに「ジャパナビリティが世界を変える」とある。
この「ジャパナビリティ」とは、「日本にある古くから大切にしてきた社会の底力」だという。
具体的に言うと、「人々の間の信頼、異文化への寛容、匠の技に象徴される探究心、自然を愛する心、慎み深さなど、他国にはない社会的魅力」ということである。

そんなジャパナビリティに加え、著者はさらに日本が目指すべき社会を「知徳創発」という言葉で表している。
「人間として知力が豊かで、徳をたたえ、これらの上に創造力を高め、世界に発信し、貢献しよう」というものである。
非常に言葉豊かな表現である。

日本の現状分析において、著者はまず問題点として「自己決定能力が乏しい」という点を挙げている。
それは政治や企業のトップに垣間見ることができる。
また、イノベーション力の弱さも指摘している。
それらは「内向き志向」という形でも現れていて、具体的には海外留学生の減少が挙げられている。
二番手思考から脱却し、「複眼的思考」をもって、「課題解決先進国」を目指さないといけないとする。

著者は言葉を巧みに操る。
19世紀の「パックス・ブリタニカ」、20世紀の「パックス・アメリカーナ」と続く21世紀は、「パックス・コンソルティス(協調の秩序)」とする。
もはやどこかの強国が世界の秩序をリードするという時代は遠のいた感がある。
国際協調秩序というものが重要になってきており、その中で日本はいかに振舞うべきであるかが問われている。

日本社会には強みがあり、そして弱みがある。
「自助共助の精神」「異文化への寛容性」「自然と共存する環境思想」などの強みに対し、「横並び意識」「論理的思考の弱さ」「戦略的、システム的思考力の欠如」「国際展開に消極的」「コミュニケーション能力が低い」といった弱さである。
特に二番手思考を脱していくには、「論理的思考(ロジカルシンキング)」と「クリティカルシンキング」が不可欠だと説いている。
これは個人的にも同感で、自分自身も常に意識していることである。

そして必要なのは「志の高さ」だという。
吉田松陰は、「志を立てることがすべての始まりである」と説いたが、それは今でも当てはまる。
企業においてもトップレベルの企業を目指すべきとする。
人間価値主導の経済社会を成功させるために、人間力を高める必要性も説く。

著者の提言は、実にエネルギッシュである。
一般論として同意して終わるのではなく、自ら意識して我が事としてとらえたい。
そう思わせられる一冊である・・・

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2015年08月16日

【マーケット感覚を身につけよう】ちきりん



序 もうひとつの能力
1 市場と価値とマーケット感覚
2 市場化する社会
3 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
4 すべては「価値」から始まる
5 マーケット感覚を鍛える5つの方法
終 変わらなければ替えられる

著者は人気ブロガーで、ブログばかりに留まらず、これまでも何冊か本を書いている方。
やっぱり内容が自分にとってプラスになることが多いため、ブログも本も注目しているところである。
そしてまた新たに一冊。
だが、この本、今までの著者のどの本よりも強烈なインパクトを残してくれた。

キーワードとなるのは、「価値」。
誰にとってどんな「価値」があるのか。
これがわからないと、世の中で成功するのは難しく、そしてこれこそがマーケット感覚である。
この本は、そんなマーケット感覚を理解し、そして身につける方法を提起している。

たとえで説明されているが、企業に入って10年も経つ人が、語学を学んだり資格を取ったりして自分の価値を上げようとする姿は、「足元にある金塊に目もくれず、あちこち探し回る幼児や動物に似ている」とされる。
10年も勤めていれば、何か売れる価値を身につけているはずで、そうではないと言うのなら、それは「価値ある能力に気付く能力がない」のだという。
この冒頭部分だけで、注目メーターが一気に上がってしまった。

今世の中では、「市場化」ということが起こっている。
特にインターネットの発達により、地方の特産品が全国で買えるようになり、就職も結婚もその波にさらされている。
性格が良いイケメンだが、年収だけが低い20代男性が、結婚紹介所で200連敗している事例を取り上げ、戦うマーケットを間違えていることを説明する。
こういう事例は日常的にありそうだ。

価格は需給で決まり、したがって需給が崩れた弁護士などの難関資格職業で稼げない例が発生している。
英語よりもインドネシア語をマスターした方が、今後引っ張りだことなる可能性がある。
市場は常に変化しており、必要なのは知識ではなくマーケット感覚。
言われてみれば、その通りであり、なぜ気がつかなかったのだろうかと思う。
このあたり、自分もマーケット感覚を磨かなければならないと思う。

そんなマーケット感覚を磨く方法として、著者は5つ挙げている。
@ プライシング能力を身につける
A インセンティブシステムを理解する
B 市場に評価される方法を学ぶ
C 失敗と成功の関係を理解する
D 市場性の高い環境に身を置く
タイトルを見ただけではピンとこないが、詳細は本を読んだ方がいいだろう。

岩盤規制の最たるものと思われていた羽田空港と成田空港の規制が、仁川空港を経由した地方から海外への旅行ルートができたことで、規制緩和し羽田空港も国際化せざるを得なくなった。
これからは、どんな職業でも不変安定という保証はない。
一生一つの専門性だけで、安心ということもない。
一つ一つの説明が強烈である。

これからの親は、子供に対し、変化を恐れるよりも楽しめと教えないといけないとのこと。
その通りであると思うし、自分自身も変化の中に身を置かないと、やがて世の中の動きに「替えられて」しまうことになる。
これで十分ということはなく、この本に書かれているマーケット感覚を磨いていかないといけない。

いつもたくさんの本を手当たり次第読んでいるが、久しぶりに心にヒットする本に出会ったと思う。
己の生き方に大いに参考にしたいところである。
常に手元に置き、何度も読み直したいと思わせられる一冊である・・・

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2015年08月15日

【いつか、すべての子供たちに】ウェンディ・コップ



原題:One Day,All Children…The Unlikley Triumph of Teach for America and What I Learned Along the Way

01 卒業論文
02 宇宙の法則を止める
03 理想だけでは不十分なとき
04 新しいアイディア
05 暗黒の年月
06 大きな決断
07 トンネルの向こうに灯りが見えた
08 上昇軌道
09 ティーチ・フォー・アメリカの評価
10 ビジョンを実現する
11 この先の10年

著者は、アメリカの非営利団体TEACH FOR AMERICAの代表者。
大学4年の時、ティーチ・フォー・アメリカのコンセプトを思いつき、実現に向けて奔走。
そして見事に成功して現在に至るが、そんな立ち上げからの経緯を綴った一冊。

プリンストン大学の4年生だった著者は、日本でも多くの学生がそうであるように、進路について悩んでいた。
そんな時、同級生の中でもインナーシティ(低開発地域)の出身者が大学で課題をこなすのに、東部の私立高校出身者に比べてはるかに苦労しているのを見て、同じ国にありながら、どこで生まれるかによって受けられる教育の中身が変わるという矛盾に気づく。

一方で、仲間とともに行ったセッションで、参加していた学生がみな「もし可能なら自分が公立校で教えたい」と語るのを聞き、「トップクラスの大学から学生を集め、卒業後の2年間、都市部や地方の公立校で教えてもらう」というアイディアを思いつく。
そしてそれを卒業論文のテーマとし、500人の学生を集めて研修を行い、全国の5つか6つの地域に送り込む計画を立てる。
費用は250万ドル。

普通の感覚だと、「できる範囲で始める」「無理のない範囲で始める」といった選択肢を取りそうなものであるが、著者は始めから大きく打って出る。
「緊急性や国家的な重要性は伝わらない」
「国中のもっとも優秀な新卒者を動かすためにも、大規模でなければならない」
と考えたためで、このあたりの狙いの良さと度胸の良さは感嘆に値すると思う。

そして論文を30ページの企画書にまとめ、大富豪のロス・ペロー他モービル石油、デルタ航空、コカ・コーラなど30社のCEOに送ったという。
この行動力も凄い。
そして卒業すると、ニューヨークに引っ越し、活動を進めていく。
その時、既にモービル石油から立ち上げ資金として26,000ドルを確保していたとはいえ、それ以外の保証など何もない。
若さゆえという一言では片付けられないエネルギーだと思う。

貧困地域で育った小学校4年生は、他の地域で育った小学校1年生程度の学力であるという状況を何とかしたいと思うのは人情だ。
そうした心に響く理念に共感して、仲間が集まってくる。
そして非営利ゆえに、苦労の大半は資金調達(寄付の依頼)となる。
いつ資金が尽きるかと毎週のように心配しながらの日々は、創業の苦労と同じ。
そんな日々を抜け出し、ようやく安定していくが、そこには資金の出し手を捕らえる心に響く理念があるからだろう。

人は誰でも「お金のために働きたくはない」と思うだろう。
だが、そうはいっても現実的にお金は必要であり、稼げれば贅沢もできる。
投資銀行やコンサルティング会社という高級取りになれる可能性が手の届くところにある立場で、それを捨ててどうなるかわからないものに進む勇気は誰にあるものではない。
揺るぎない信念を持って何かに進んでいく姿を見るのは、勇気を与えられるものでもある。
自分にも何かできるのではないかと思いたくなる。
著者のように大きなチャレンジでなくとも・・・

中に挿入されている子供たちを教える若い教師たちの姿がすべてを物語る。
精神的に老けこむ前に、一読しておきたい一冊である・・・

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2015年08月11日

【ザ・ラストマン】川村隆



序章  「自分の後ろには、もう誰もいない」ザ・ラストマン−「この覚悟」を持っていますか
第1章 大事なときに「何を決めるか」「どう決めるか」リーダーに求められていること
第2章 「きちんと稼ぐ」ための思考習慣「独りよがり」にならないために
第3章 意思決定から実行までの「シンプルな手順」自信をもってビジネスをするために
第4章 いつも前向きに「自分を磨く」人 自分を鍛える、部下を鍛える
第5章 「慎重に楽観して」行動する9カ条 成果を丁寧に出すための羅針盤
第6章 私たち日本人に必要な「意識」とは何か グローバル感覚とダイバーシティ

著者は元日立製作所の会長。
日立製作所が7,873億円という巨額の赤字を出したあと、会長兼社長に就任し、見事業績をV字回復させたという実績の持ち主。
そんな著者が、持論を語った一冊。

タイトルにある「ザ・ラストマン」とは、「最後に責任を取ろうとする意識のある人」とのこと。
著者が、まだ若かりし頃、上司に言われた「ラストマンになれ」という一言が、その後の著者の信念になっていったことから、この本で著者がもっとも強調したいこととなっている。

それは確かにその通りだろうと思う。
大企業で働いていると(あるいはどんな組織であろうと)、「決断の下せない上司」というのが、誠に始末に困る上司であることは間違いない。
「右も正しいが、左も正しい、もう少しデータを集めて検討しよう」などといつまでもぐずぐずされていたら、部下はかなわない。
「俺が責任を取るから右へ行け」と言われた方が、部下はありがたい。
そこは素直に同意できる部分である。

著者が日立製作所の社長に就任要請を受けた時、既に日立での役割は終え、子会社のトップを務めていたという。
年齢的にも69歳であり、本来であればそのまま役割を終えていたのだろう。
ところがそこから呼び戻されたのは、詳しいことは書かれていないが、大赤字を計上する中、「ラストマン」として文字通り頼りにされたのであろう。

そんな著者が日立本体に復帰し、まずはスピードアップを図る。
当時は「日立時間」というのがあって、「何時間もかけて議論し先送りするという決定を下していた」状態だったという。
これも、「決断できない組織」の典型だ。
そこで著者は、復帰にあたり「会長兼務」を条件とし、意思決定する人数を6人に絞ったという。

一方で、著者は「カメラの目」と表現しているが、外部取締役を増やし、「第三者の意見」というのを取り入れる工夫をする。
人は誰でも自分は常に正しいと思っているもの。
それを外部から客観的に見てもらおうという意識は、誰であっても持っていたいものである。

著者が結果的に日立の再生をなしえた原因は、5つのプロセスだという。
@ 現状を分析する
A 未来を予測する
B 戦略を描く
C 説明責任を果たす
D 断固、実行する
何のことはない、誰でも思いつきそうなシンプルなものだが、それは結局、大事なことは原則はみな同じということなのだろう。

またトップは、「慎重なる楽観主義者」であるべきという言葉も心に残る。
コップに半分水の入っているのを見て、それをどうとらえるかという有名なたとえがあるが、著者は、「水が半分も入っているけれど、コップいっぱいになればもっといい」と考える人が良いとする。
非常に分かりやすい。

読書の重要性は、他の多くの人が説くのと同様。
随所に現れる考え方は、そんな読書の賜物だと思う。
そして最後に残された言葉がまた良い。
“Remember,the best is yet to come”
著者のほん欠片ほどでもいいから、同じ意識で行動したいと思わせられる一冊である・・・

  
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2015年08月08日

【我が闘争】堀江貴文



第1章  田舎の優等生
第2章  パソコンと思春期
第3章  ダメ人間
第4章  起業前夜
第5章  新米社長
第6章  上場
第7章  M&Aという選択
第8章  プロ野球界参入
第9章  ニッポン放送買収
第10章  衆議院議員選立候補
第11章  ライブドア事件

元ライブドア社長堀江貴文の自伝。
昨年、『ゼロ』という本を読み、また日頃ツイッターでのつぶやきを目にしているが、何となく以前のイメージが変わってきていて、個人的に興味を持つようになっていたことから、手にした一冊。

『ゼロ』が自らの半生を振り返りつつ、自分の考えを語る内容であったが、こちらは完全なる自伝。
長野刑務所で服役していた時に書き始めたものだという。
服役前は「24時間働いていた」というから、服役でもしない限り世に出なかった本なのかもしれない。

ホリエモンは、福岡県八女市というところに生まれる。
ナイターにビールという典型的な昭和サラリーマンの父と激情型の母とを両親に持つ。
もともと頭は良かったようで、百科事典を読みふけっていたというエピソードからも、それはうかがえる。
周囲とは頭のレベルが違って合わなかったらしいが、それはその後のイメージとあまり変わらない。

初期のパソコンと出会い、夢中になってプログラミングを覚える。
家を出て東京に行きたくて、親を説得するには東大しかないという理由で東大を受験。
ものすごい集中力で勉強し、合格してしまう。
東大時代、ほとんど授業には出なかったようだが、なかなか凄い生活ぶり。
「人の気持ちなんて分かるわけないじゃないですか!」
といういかにも、”らしい”発言だが、同じセリフを親に向かって吐いた経験のある我が身としては、よ~く理解できるところである。

そしてプログラミングのアルバイトの熱が入りすぎ、やがて個人で仕事を請けるようになる。
そのまま彼女と東大の知人とで「オン・ザ・エッヂ」を創業。
彼女のお父さんに出資してもらったらしい。
その後の展開は、実際のそれのように流れるように進む。

メディアの注目を集め始めた頃の後半戦は、リアルタイムで見ていただけに、その裏側として面白い。
プロ野球界参入、ニッポン放送買収、衆議院選挙・・・
最後のライブドア事件は、いまだに無実だと信じているとのこと。
メディアもニッポン放送買収(=フジテレビ買収)あたりから、手のひらを返して攻撃してきたという。

世間に浸透する「悪者イメージ」も、メディアによるイメージ操作の感がある。
特に意図的に悪い表情の写真ばかりが使われたと語っているから、そういう部分は大きいのかもしれない。
iPodを見てiPhoneのイメージを思い浮かべ、ソニーを買収してそれを作ろうという考えを持っていたらしい。
そしてその後は宇宙進出をも視野に入れていたようである。

現実の裏側と、そしてホリエモンの裏側(心の中)。
そういうものに触れられるという意味で、実に面白い。
宇宙事業は今も進めているようだし、これからも注目して行きたい人物であることは間違いない。
偏見にとらわれることなく、読んでみると面白い一冊であると思う・・・
    
     
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2015年08月07日

【投資は「きれいごと」で成功する】新井和宏



第1章 「きれいごと」で成功した非常識すぎる「8つの投資法則」
第2章 「投資は科学」から「投資はまごころ」へ−「リターン」を再定義する
第3章 「経営効率の悪い小型株」で、「リスク」はチャンスに変わる
第4章 「安く買って高く売る」に必要なのは金融工学ではなく「信頼」
第5章 「格付け」よりも大切な「8つの会社の見方」−「経済指標」を再定義する
第6章 企業価値は、過去の成功ではなく「ずるい仕組み」を持っているかどうかで判断する−「ビジネス」を再定義する
第7章 金融機関の役割は、お金に眠る「つなぐ力」で社会を動かすこと−「金融」を再定義する

著者は鎌倉投信の運用責任者。
鎌倉投信のことは、少し前から世の中に貢献度が大きい会社のみに投資する投資信託として、その存在を知っていた。
投資信託は、いかにリターンを大きくするかが、鍵と思われている中で、株式の成長性よりも事業の社会性を問うやり方は異質だ。
そんな鎌倉投信の本ということで、手に取った一冊。

鎌倉にある古民家を本社とし、3つの「わ」を志とする。
3つの「わ」とは、日本の心を伝える「和」、心温まる言葉を大切にする「話」、社会や人とのつながりを現す「輪」である。
その「わ」を奏でる「場づくり」が運用会社の仕事だとしている。

「目標は勝つことではなく応援すること」とする。
投資先には、林業再生を目指すトビムシ(聞いたこともない会社である)や民事再生法によって再生に向かっている池内タオルなどがあるという。
普通の投資信託は、お金を出さないだろう。
そしてすべての投資先をホームページで紹介しているというが、これも普通は手の内を明かすことになるからやらないらしい。

著者はもともと外資系ファンドでファンドマネージャーをやっていたという。
かなり稼いでいたようである。
それが体を壊したこともあり、仲間とともに鎌倉投信を設立する。
投資先は、「いい会社」。
そのきっかけは、私も読んだことがある『日本で一番大切にしたい会社』だという。
そういう会社を、誰もが支援したいと思うだろう。

「いい会社」を見つけて投資しているから、当然外資系の投資信託などよりも運用成績は落ちる。
それでも4%のリターンを目標にし、2013年度には鎌倉投信の運用する「結い2101」は、その投資効率の良さが評価されて、「R&Iファンド大賞」に選ばれたという。
投資家も一度投資すると、やたらに解約しないらしい。

年に1回の「受益者総会」には、通常1%くらいのところ、約10%もの投資家が出席するという。
そして投資先の社長なども登壇し、投資家との交流が持たれているという。
確かに、こういう投資ファンドなら利回りよりも「温かさ」を求めて投資したくなるというものである。

金融の世界と言うと、ついついギスギスしたものになりがち。
「経済的合理性」という「効率第一」の理屈の世界であるが、そんな世界を居心地悪いと感じる人もいるだろう。
自分の投資したお金が、利益を生むと同時に世の中の役に立っていると感じるのは心地よい。
鎌倉投信の成功の理由もそんなところにあるのだろう。

すぐにでも投資したくなったが、残念ながらそんなゆとりはまだない。
いずれ受益者に加わりたい。
そんな思いになれる一冊である・・・

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2015年08月04日

【狼たちへの伝言】落合信彦



まだ社会人になって間もない頃、どういう経緯だったかは忘れてしまったが、読んで衝撃を受けた本である。
久しぶりに著者の落合信彦の名前を見かけ、本棚の奥から引っ張り出してきて、パラパラめくっているうちに読み返したくなってしまった一冊である。

書いてあることは、落合信彦氏の実体験に基づく人生観。
タイトルにある「狼たち」とは、真の男たらんとするものたちということだろう。
女性が活躍する時代というのは、基本的に平和な時代。
それはそれで素晴らしいし、否定する気はない。
だが、その中にあって、「男たるもの」とやっぱり考えてみる必要はある。

衝撃を受けたのは、著者の実体験。
中学生の時に父親は女を作って出ていく。
「お前たちも好きに生きろ」と言い残して。
そして日本に幻滅した著者は、アメリカ行きを決意する。

決意しても、貧困母子家庭に留学費用なんてない。
英語の辞書を1ページずつ破り捨てる方法で英語を学び、アメリカ大使館に行って直談判し、アメリカの大学入学試験を受けさせてもらい、奨学金も確保して合格する。
されど渡航費用がなくて、横浜の港に泊まり込んで船を捜し、頭を下げまくって臨時船員としてアメリカまで乗せてもらう。
着いた西海岸から、コーラで腹を満たしながら大学のある東海岸までヒッチハイク。
今読み返しても胸が熱くなるようなど根性だ。

男にとって大事なのは、おしゃれなんかより生き様だと語り、イイ女を抱きたかったらエキサイティングに生きろと説く。
「ケンカもできないヤツ、弱いヤツは男としてダメだ」との主張は、女性が聞いたら顔をそむけるかもしれない。
けれど、「男にとって力は絶対必要だ」という主張は、それまでの自分の意見と同じであり、激しく同意したのを覚えている。

一方で、宗教にのめり込む危険性を説くところは、のちのオウム真理教事件を暗示しているかのようだし、アメリカの戦争体質から近々の戦争の可能性を指摘している部分は湾岸戦争で実現するなど、世の中の動きも的確に語っている。
こういう視点に影響され、その後私は、国際情勢に興味を持っていったものである。

電車の中で若いサラリーマンがマンガを読んでいる姿を嘆き、きちんとした思考を持つことの重要性を語る。
これに影響を受けて、ビジネス書を読み漁るようになったものである。
若き日の私にとって、非常に大きな影響を残した一冊である。
今、あの頃に増してナヨナヨした男が多くなった気がするが、今の若い人にもこの本を読む価値は大きいと思う。

改めて読み返してみても、死語になった言葉や古い事例以外は今でも十分通用することばかりである。
読んでも響かないようなら、それは"ナヨナヨヤサ男くん"の証拠かもしれない。
たとえ女に笑われようとも、「男たる者かくあるべし」と思って読むといいと思う。
もう少し大きくなったら、息子に読ませたいと思う一冊である・・・

posted by HH at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/人生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする