2016年05月31日

【No.2という働き方】細島誠彦



序章  なぜナンバー2を目指すべきなのか
第1章 企業におけるナンバー2とは
第2章 ナンバー2の仕事
第3章 ナンバー2の持つべき能力
第4章 ナンバー2の持つべき心
第5章 ナンバー2になるために

本を選ぶ際に、やはりタイトルは重要な役目を果たす。この本も、はっきり言ってタイトルだけで選んだ本である。
「なんでナンバー2なのか」と言う問いに、著者は明確に答える。
「起業はリスクがありハードルが高い。本当に能力があるなら、まずナンバー2を目指し、その先に起業があっても良い」と。まぁ一つの考え方であるが、起業のリスクを回避し、しかしながらそれなりに企業を動かす醍醐味を得るという点では、ナンバー2というポジションは最適であろう。

ナンバー2がしっかりしている会社は組織上強くできており、多忙な社長に代わって経営判断から末端の業務指示まで行うことができ、外部からも安心感を持って見られるとする。それは一方で、ナンバー2自身にとってもどこでも通用する人になるとする。それもその通りであろう。

ではそんなナンバー2になるためにはどうしたら良いのであろうか。
今やっている仕事を基礎に普遍性を追求し、そこに専門外の知識を積んでいく。あらゆる能力を身につけなければならず、それには「オフィスの掃除をする」といった雑用でさえ、考えてやらなければならない。
これも当然と言えば当然である。

ナンバー2は、「能力が高く」、「人に仕えることができる」人でないといけない。「能力」とは総合力であり、「バランスよくさまざまな能力を持つ」ことである。
また、「人に仕えることができる」とは、自分がどういうポジションで何をすべきかがわかっていることである。
当然、「イエスマン」ではダメで、何が会社にとって最善の方法で、さらにトップの判断に資する意見を、たとえ社長と別の意見だとしてもちゃんと述べていくことである。

理想的なナンバー2とは、
「ときにトップと戦い、ときに人に嫌われることも厭わず、組織のために働き、人に仕えるということに徹して企業を発展させることができる人」
だという。

その他にも、ナンバー2とはどういう能力を持ち、どうあるべきかが説かれていく。
ただそれははっきり言って理想的な姿であり、「そりゃそうだよね」というものばかり。「当たり前」と言えば当たり前であり、異論反論の余地はない。ナンバー2でなくてもすべてのビジネスマンに言えることとも言える。

そんな中で、個人的に心に残ったのは、ナンバー2の悪しき例として挙げられているトップを見下してしまうナンバー2であろう。「仕える」というキーワードは決して忘れてはいけないのである。私も常日頃ナンバー2になることを意識しているから、なおさら心に残ったのである。その原則さえ忘れなければ、会社を動かすダイナミズムも味わえるし、仕事も楽しくなる。ビジネスマンとしては、意識したいポジションである。

書いてあることは極めて当たり前のことであるが、そういう意識を持っている者には改めて意識付けとなる一冊である・・・

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2016年05月30日

【ザ・チョイス】エリヤフ・ゴールドラット



原題:The Choice
第1章 二つの選択肢
第2章 あらためて、常識とは何か
第3章 なぜ、当たり前のことができないのか
第4章 ものごとは、そもそもシンプルである
第5章 矛盾と対立
第6章 信念を行動に
第7章 調和
第8章 決して、わかったつもりになるな(PART1)
第9章 ウィン・ウィン
第10章 決して、わかったつもりになるな(PART2)
第11章 機会はいくらでもある
第12章 販売期間の短い製品
第13章 限界なき可能性
第14章 明晰な思考とトートロジー
第15章 コンフォートゾーン(PART1)
第16章 人はもともと善良である
第17章 コンフォートゾーン(PART2)
第18章 感情、直感、そしてロジック

『ザ・ゴール』を読んで以来、すっかりファンになってしまったゴールドラット博士の一冊。もうみんな読んでいたものと思っていたら、なんと読み逃していたことを発見し、慌てて購入した次第。

今度の本は、組織や人間関係をよりよくする実践的アプローチの方法を本にまとめようとしたものだと冒頭で説明がなされる。なかなか興味深いイントロである。そして内容は、ゴールドラット博士と娘エフラットとの会話という形で進んでいく。

ゴールドラット博士は、「複雑そうに思えてもものごとはそもそもシンプルである」と語る。にわかには信じられないエフラット。そこでゴールドラット博士は、その一例として、アパレル業界でトップクラスのメーカービッグブランド社の例を挙げる。
マネージャー会議に出席したゴールドラット博士は、今後5年間で10億ドルの利益を目指そうという意欲的な目標を決めて会議が終わると、メンバーに質問する。
「10億ドルではなく40億ドルという目標は達成可能だろうか」と。

今後の目標として立てた数字(それは大抵「!00%達成可能」と言えるシロモノでは当然ない)のさらに4倍となれば、普通の感覚だと「何を言っているのだ」となるだろう。しかし、ゴールドラット博士は、既存の業務のやり方を改善、向上させることで純利益を増加させることはできないかと問いかけ始める。
そして、実は品切れアイテムの存在が、潜在的な売り上げ損失を招いていることを指摘し、実は品切れ商品を一掃するだけで、理論上年間40億ドルを超える利益が出ることを証明する。

そしてその理論を実現するためには、シーズンのはるか前からデザインを発注し、アジアで製造し、店頭に並ぶ一連のプロセスを変えなければならないと導いていく。今まで当たり前と信じて疑わなかった業務フローを、ゴールドラット博士は変えていく。そして会議は、「40億ドルの利益は控えめかもしれない」との言葉で締めくくられる。

この前半部分だけでもなかなか刺激的である。自分たちの業務フローでも似たようなことはないだろうかと考えてみる。「ものごとはそもそもシンプルであり、その考え方が受け入れられれば明晰な思考ができるようになる」と博士は語るが、この理屈は素直にその通りだろうと納得できる。

その明晰な思考を邪魔するものは次の3つ。
・現実は複雑だという概念
・対立は当たり前だと考えてしまう傾向
・問題を相手のせいにしたがること
特に問題を相手のせいにすることは、間違った方向に進むことになるとする。火に油を注ぐようなもので、調和も保てない。明晰な思考とは、「自分の目的とするところに向かって最も効率的な道を選ぶこと」だとし、いかに人と良好で調和のとれた関係を保つことができるかが大事だとする。

具体的な例として、下請け業者との関係が採り上げられる。ブランド企業のニーズとしては、「在庫を減らしたい」というものがあり、あてにならない販売予測に基づく生産体制から実際の消費に合わせた生産体制に移行するには、下請け企業と「ウィン・ウィン」の関係を築かないといけない。それには在庫の回転数を上げる一方で、価格を上げることにより下請け企業にもメリットあるやり方ができるとする。

窮状を呈した関係に直面した時、相手を責めるのではなく、ウィン・ウィンの関係が必ず存在すると信じて取り組むべきという指摘は、何事にも応用できそうである。アパレルやパンの小売がこの本では事例として採り上げられているが、いろいろな業界に応用ができそうな気がする。ゴールドラット博士になった気分で、自分の仕事についてあれこれ考えてみるのも有益かもしれない。

単なる読み物としても面白いし、ビジネスのヒント探しにもなる。『ザ・ゴール』を含めて、何度も読み返したいシリーズである・・・


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2016年05月29日

【松本零士が教えてくれた人生の一言】宮川総一郎



第1章 意志を貫け!〜人生におけるここ一番の決断の時に〜
第2章 人生の意味を知れ!〜有限の時間を生きる〜
第3章 おおいに悩め!〜青春の時間は全て人生に必要な時間だ〜
第4章 自由を貫き通せ!〜自分の全てに責任を持って生きる覚悟〜
第5章 自分の中の血の記憶を知れ!〜過去から受け継いで来たDNAの力〜

先日、『松本零士未来へ翔び立つ名言集』を読んで妙に懐かしくなり、続けて手に取った松本零士を取り上げた一冊。

著者は、もともと漫画家を志し、松本零士のところに原稿を持ち込んだりと早くからファンであったらしい。今はゲームの会社を作り、松本零士の漫画のキャラクターなどを扱っているようである。そんな著者が、松本零士の漫画を振り返って語っている。基本的に『松本零士未来へ翔び立つ名言集』とそのエッセンスは同じである。

松本零士の漫画は、やはりその根底に流れる「信念を持った生き方」が大いに読む者の心を打つ。それをいろいろな漫画を題材に語る。
・信念を持って命がけでやるなら、できないことなど何もない
・可能性を最後まで捨てるな
第1章は、「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」から引用される。
素直にそのまま受け取れるなら、己の人生においても有益なことだと思う。

・今の自分にできないからと言ってそれが結論ではない。いつか必ずできる日が来る。
・人には生まれの不平等がある。それを乗り越えて生きろ。
・今の自分が認められていなくとも、あきらめるな。
「男おいどん」に加え、著者が松本零士ご本人から言われた言葉も紹介されている。「男おいどん」は、明日を信じて歯を食いしばって必死に生きる男であり、若い頃には特に励みになるのである。

・人に流されたり従ったことで、自分の人生を棒に振るのは愚かなこと
・リスクに怯えて縮こまるな。リスクを乗り越えて人生の成功をつかみ取れ
・他人を理解しろ。そうすれば自分の苦しみも挫折もわかってくる
若い頃は、何の疑いもなく自然に受け入れられるが、年を経て色々と経験を積んでくると段々と難しくなってくるものがある。サラリーマンになると、ついつい居心地の良いところから出たくなくなったり、出るのが怖くなったりするものである。「そうは言うけど・・・」という言い訳がついつい出てくるのである。

・自分が今を生きている事は過去の先人たちの歴史に乗っている事だ
・人は自分一人で何かを成せるわけではない。しかし、自分がまず成し遂げていかなかったら誰も代わりにはやってくれない
・今の自分が想像できる高みまでは、自分が生きているうちにたどり着く事ができる。それを信じて努力を続けていける気持ちさえあれば、必ず成し遂げられる

過去から未来へという時間の流れの意識というのも、松本零士の漫画の一つの特色とも言える。明日を夢見て頑張るという気持ちを持たせてくれるのである。「戦場漫画シリーズ」も好きな漫画の一つであるが、理不尽な環境下で死ななければならない身の男たちが語る言葉は子供の頃の私の心に響いたものである。

全編から著者の松本零士への敬慕が伝わってくる。それに接していると、昔何度も読み返した漫画をまた読みたくなってしまった。私の弟などは、全く好きでなかったから、人それぞれ好みがあるのは確かであるが、同じ好みの著者とは気が合いそうである。私の人格形成にも大いなる影響を与えた松本零士の漫画。「漫画を馬鹿にするなかれ」という私の信念を改めて確認させてくれた一冊である・・・

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2016年05月28日

【BOLD突き抜ける力−超ド級の成長と富を手に入れ、世界を変える方法−】ピーター・H.ディアマンディス/スティーヴン・コトラー



原題:BOLD/HOW TO GO BIG,CREATE WEALTH,AND IMPACT THE WORLD
第1章 さらばリニア思考
第2章 エクスポネンシャル・テクノロジー
第3章 世界を変える五つの選択肢
第4章 高みを目指す
第5章 突き抜ける秘訣
第6章 大富豪の知恵
第7章 クラウドソーシング
第8章 クラウドファンディング
第9章 コミュニティーをつくる
第10章 賞金付きコンテスト

著者は米シンギュラリティ大学の創立者であり、今はXプライズ財団のCEOであり、2014年のフォーチュン誌「世界の偉大なリーダー50人」に選ばれたという人物と、ジャーナリストのコンビである。そんなコンビが、「超ド級の成長と富を手に入れ、世界を変える方法」について語った一冊である。

そんな世界を変える方法は大きく分けて3つ。
1. テクノロジー
2. マインドセット(モノの考え方)
3. クラウドの力
である。

テクノロジーについては、「エクスポネンシャル(指数関数的)・テクノロジー」と称される。これは、少しずつ順を追って進化していく(本の中では「リニア思考」と呼ばれているものであろう)ものではなく、飛躍的に進化するそれという意味のようである。例として、写真技術を確立したコダックの例が語られる。コダックは写真技術を進化させ、一時代を築いたものの、デジタル技術を開発しながらこれをボツとし、結果としてデジタル技術の急速の進化についていけず破綻した。

今日のスマホには、世の中に出た時には現在の貨幣価値で90万ドル相当の技術(GPS、カメラ、音楽プレーヤー、百科事典等々)が普通に搭載されている。3Dプリンティングの進化もすごく、今や「メイドインスペース」の時代を迎えつつあり、世界初の地球外3Dプリンティング会社であるメイドインスペース社が設立されている。これは重力の軛から解き放たれ、製造の概念を変える可能性を秘めている。

そんな「エクスポネンシャル」な技術には、以下の分野がある。
1. ネットワークとセンサー
2. 無限コンピューティング
3. 人工知能
4. ロボティクス
5. 合成生物学

このうちネットワークとセンサーについては、銃声感知技術が目新しかった。街中で銃声を感知すると半径3メートルの範囲で場所を特定し、警察に通報するのだとか。治安維持には効果が期待できるかもしれない。人工知能は2029年にはあらゆることにおいて人間を上回り、合成生物学において、人間は100歳が60歳になるのだとか。何れにしても未来は今よりさらに暮らしやすそうに感じる。

テクノロジーと合わせて、考え方も重要。特にピーターの法則が印象的である。
1. ノーと言われたら一段階上に行け(権限はえてして上が持っている)
2. どちらか選べと言われたら両方取れ
3. 教科書通りにやろう ただし筆者は自分だ
4. 勝てなければルールを変えよ
5. 走れるときには歩くな
6. 未来を予測する最良の方法は自分で未来をつくることだ
7. 簡単なことならばすでに他人がやっている
8. 的を決めなければ絶対に当たらない
物事をなすにあたって、「どう考えるか」はやっぱり重要。心に響く言葉を持っている者は有利ではないだろうか。

最後にクラウドの威力が語られる。「クラウドソーシング」「クラウドファンディング」の力は、現代ならでは。「賞金付きコンテスト」は予想外の周知を結集する。「ゴールラインを超えるために必要なすべてのソースを調達するためのもの」という説明は大げさでもないと感じる。やる気のある者にとっては、今はものすごく恵まれているように思える。これから何かを成し遂げようとする志を持つ者にとって、必読の一冊であると思う・・・


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2016年05月22日

【官賊と幕臣たち−列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート−】原田伊織



其の一 鎖国とは何であったか
其の二 オランダの対日貿易独占
其の三 幕府の対外協調路線
其の四 幕末日米通貨交渉
其の五 官と賊

よく知らなかったのであるが、この本は『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』という本の続編であったらしい。知らないうちに、順序を違えて読んでしまったことになる。一見、幕末を舞台とした小説家と思いきや、実は真面目に歴史を研究した本であった。

まずは鎖国について説明される。実は鎖国というのはそういう政策があったわけではなく、貿易管理を目的として時間をかけて事実として出来上がったものだという説明がされる。
そもそも戦国時代、戦場では略奪が当然で、その対象は人間にも及んだという事実がある。捕らえられた人々は、奴隷として売買され、そうした奴隷の一部はポルトガル商船などによりアジアに売られたりしていたらしい。

そんなポルトガルなどの人身売買を防止するため、幕府はポルトガルを追放し、オランダとは海外の情報収集を目的として交易を認めたのだという。そして幕末の黒船騒動についても、オランダから事前に情報はもたらされていたらしい。それに対し、幕府は老中首座阿部正弘を中心に対応する。同じ日本史を扱う『逆説の日本史18』はでは、幕府の無能ぶりが説かれていたが、この著者はどちらかといえば幕府擁護のスタンスである。

逆にタウンゼント・ハリスらのアメリカ側の要人に対しては、私服を肥やす目的であったと手厳しい。有名な国富の流出についても、悪逆なハリスらの交換レート交渉に対し、水野忠徳が防戦し、「1ドル=1分と1ドル=3分」とで争ったとする。結局、したたかな米英によってうまくやられ、金の流出=「コバング漁り」を招いてしまう。『逆説の日本史18』でも「ハリスの主張は誤り」としている点では同じであるが、ハリスを「善人」と見ている点で、この本の主張とは大きく異なる。

そして倒幕の動きについては、幕府=善、長州=テロ集団というスタンスが貫かれている。坂本龍馬の活躍も後講釈であり、薩長同盟も「同盟と呼べるものではない」という主張は『逆説の日本史21』と同じであるが、それは坂本龍馬の功績などではなく、坂本龍馬はただグラバー商会の手先になって薩摩と長州貿易を行っていただけとする。
「実態はグラバー商会の意向に沿って動く、薩摩・長州の密貿易システムに組み込まれた徒党の集団に過ぎない」との表現は、坂本龍馬ファンには厳しいだろう。

事実はもちろん一つであり、不変であるが、その解釈が大きく違っている。両者とも自分なりに調べて研究しているわけで、どちらの解釈が正しいかということは私には判別できない。当事者がいない歴史の「真実」が一体何なのかは興味深いところである。
歴史的真実はともかくとして、様々な見方があるという意味で、この本は興味深いところである。
次は『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』を読んで、また『逆説の日本史』と比較して読んでみたいと思うのである・・・

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2016年05月21日

【松本零士未来へ翔び立つ名言集】松本零士



第1章 勇者の歌
第2章 友の歌
第3章 愛の歌
第4章 戦場の歌
第5章 彷徨の歌
第6章 哀愁の歌
第7章 不屈の歌
第8章 真理の歌
第9章 明日ヘの歌

子供の頃、マンガが好きだった私は、様々なコミックを買い込んでいたものである。そして、その中でも最も好きだったのが、松本零士のマンガである。
『銀河鉄道999』、『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』、『クィーン・エメラルダス』、『男おいどん』、『ミライザーバン』、『大四畳半大物語』等々数え上げればキリがないくらいである。

主人公は、大概がひ弱な少年で、ただし「強い信念を持っている」という共通項がある。少年時代の私にとっては、かっこいい二枚目ヒーローもさることながら、「男として信念を持っている」ということに強く惹かれ、そこに心地よさを発見したのかもしれない。SFのメカニックという男の子らしい興味と合わせて、そうした共通項にファンになった理由があると思う。

最近はマンガを読む機会もなかったが、ふと手にしたこの本で、久々に松本ワールドを思いだしてしまった。この本は、私が昔夢中になった松本零士の世界を久しぶりに思い出させてくれる。
「ぼくの未来や運命は自分で決めたい!!他人に指図されたくない、そのために死んでも後悔はしないぞ!!」
『銀河鉄道999』での星野鉄郎の言葉である。自分の意思に反した行動を「仕方がない」と言って甘んじてとることは、誰が見てもいいものではない。でも実際は結構あるだろう。変に妥協することが嫌いな私の心にヒットしたのは不思議ではない。

「信念に殉じた男の生涯には後悔という言葉はない」(メーテル:『銀河鉄道999』)
「ぼくだって人からお金をただでもらうことなんて恥ずかしことだと思っていた。ほしかったら働くべきだと思ったよ・・・体が動かないならともかく、少しでも動けるなら働いて自分で稼ぐべきだと・・・他人にほどこしを受けるくらいなら死んだほうがマシだと・・・」(星野鉄郎:『銀河鉄道999』)
「最後の一瞬まで、絶対、希望を捨てないのがほんとの戦闘機乗りだ・・・その信念があってこそ、空戦に勝てるのだ!!」(『戦場マンガシリーズ:ゼロ』)

マンガだからストーリーがある。その中で登場人物たちが語る言葉は、当然ストーリーの一環である。場面場面において登場人物たちの語る言葉に、「自分もかくありたい」と思うから心に響くのだと思う。そしてそれは間違いなく、私の人格形成に大きな影響を残している。

「しあわせにしてくださいともたすけてくださいとも死んでもたのみません おいどんはおいどんのやりかたでがんばるけん、見ていてください」(大山登太:『男おいどん』)
「サナギをみにくいとあざけり笑う者はサナギから生まれでる蝶の姿を知らない」(『大純情くん』)
「どんな男でもくやしいときには泣くもんさ みんなそうだったよ そしてね いずれ一人前になるのさ はずかしいことじゃないよ」(下宿館のバーサン:『男おいどん』)

どれもこれも読んだことがあるマンガばかりで、懐かしさも蘇る。兄弟でも私の弟などはほとんど興味を示さなかったから、同じものを見ても心にヒットするかどうかはその人次第で、面白いものである。ただ、私にしてみれば、こうした物語に触れられたことは影響も大きく、ありがたかったと思う。

この本のおまけとして、メーテルとクイーン・エメラルダスが双子の姉妹だったというのは個人的には衝撃の事実だった。マンガの中にはどこにも描かれていないと思うが、一応「松本零士著」となっているから嘘ではないのであろう。松本零士のマンガは、一方で「中途半端」が多く、こうした「補足」は今更ながらに面白い。

かつて読んだマンガをもう一度読んでみたくなった一冊である・・・


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2016年05月18日

【インテリア工事姉さんの“デザインリノベーション”で家賃収入UP作戦!】みなやまくみこ



序 章 私たち、デザインリノベで家賃収入がアップしました!
第1章 デザインリノベーションってなに?
第2章 魅せる部屋づくり〜予算別リノベーション〜
第3章 デザインリノベーションの発注とコスト
第4章 ケーススタディ デザインリノベーションで家賃アップ

著者はデザインリノベーション専門デザイナーとのこと。仕事柄、リノベーションには興味を持っており、迷わず手にした一冊。

まずは実際の施工例が紹介される。「ボロ戸建(6LDK)から2世帯アパート(2LDK✖2)へリノベーション」、「風呂なしトイレ共有のボロアパートを共有シャワールーム・家具家電付にして家賃1万円増」という二つの事例に目を惹かれる。こういうところは、芸術の域でもあり、本で読んだからといって真似できるものでもない。著者にすごく興味を持つ。

そもそもであるが、「リノベーション」とは近年になって登場した言葉である。「リフォーム」は一般的であるが、「リノベーション」と「リフォーム」とは違う。不動産業者でもこの違いがわかっていなくて、ごっちゃに使用している例も目につくが、著者は「リノベーション」とは、「デザイン性を持ってより価値を上げていく工事」であるとする。今は選ぼうと思えば数かぎりない物件がある。その中で「選ばれる」ためには、この「デザイン性」という観点は重要である。

やってはいけない勘違いリノベーションとして、「統一感のないデザイン」と「生活動線の無視」が挙げられている。また、水周りのリノベーションは配管等の作業も入り、実は費用がかかる。費用対効果という点では慎重になるべきとする。全体的にこの方は、「費用対効果」の考え方を随所で示している。大家さんとしては、ただ金をかければ良いというものではなく、そういう点でいいアドバイザーだと感じる。

リノベーションをする前に、
1. ニーズ・・・何を求められているのか?
2. コスト・・・どこまでお金をかけられるのか?
3. バリュー・・・それをやる価値があるのか?
をしっかり考えないといけないとする。
そうでないと、必要不可欠な修繕すら渋ったり、リフォーム業者の勧めに従い必要以上にお金をかけ過ぎてしまったりしてしまうという。それはその通りであろう。

予算別リノベーションも参考になったところ。予算100円から10万円くらいまでの「スポットリノベ」、予算100万円くらいまでの「バリューアップリノベーション」、100万円以上の「プランニングリノベーション」とあるのは、なかなか親切である。「スポットリノベ」では、アクセントクロス、収納、照明、インテリアシールなど、まさに工夫のしようという感がある。

最後に著者が手がけたデザインリノベーションの例が紹介されているが、これは文字だけではイージしにくいリノベーションを理解するのに役に立つ。本では白黒なのが残念なところであるが、ホームページではカラーで見られるので良しとしたい。
私のように仕事で関係する人はもちろん、すでに大家さんになっている人も知識として知っておいて損はない内容。薄い本ではあるが、大いに参考にしたい一冊である・・・


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2016年05月16日

【ベテラン弁護士の「争わない生き方」が道を拓く】西中 務



著者はタイトルにもある通り御年74歳になられるベテラン弁護士。その大ベテランの弁護士先生が、自身の弁護士としての活動を通じて得た境地についた語った一冊。

弁護士といえば、争いごとで登場する職業といえる。そんな職業の方が、「争って勝利を手にするよりも、争わない方がずっと幸せだ」と語る。争いを職業とする人が「争うな」と説くのは「罪滅ぼし」だと著者は言うが、数多くの争いごとを見てきたからこその境地なのであろう。

この方の依頼者の中には、何度も同じような争いを起こす人がいたという。その原因は、その人の生き方、考え方にあるという。つまりそういう生き方、考え方を変えない限り何度も争いが起こるということである。
・法律では人の争いをなくすことはできない
・「法律さえ守れば何をやってもいい」という考え方が争いの原因
・幸せになるためのルールは、法律では定められていない
実に当たり前のことである。

・他人の悪いところが目についたら、それは自分の中にもあるという証拠
・満場一致の判決は危うい
・一切の悩みは、人と比較をすることから生じる
・人間の価値は、地位ではなく、どんな生き方をしたかで決まる
なかなか深い内容の項目が続く。

「争わない人は、相手を責めずに自分の気持ちを伝える」という考え方は新鮮である。他人の行動で悩んでいる時、普通の人はなんとかその行動をやめさせようとする。方法は様々であるが、だいたい「圧力をかけて止めさせる」というものではないかと思う。だが、そうではなくて、自分が相手の行動で困っているから助けて欲しいと伝えるのだという。実際に効果があるのかどうかはわからないが、今度試してみたいと思う。

・生きていることは借りを作るということ
・人様への感謝ができる人から、幸せになっていく
・見返りを期待しない人間関係が、よき友を作る
・人にやさしくするには勇気が必要
・おいしい饅頭は、一人で食べてはいけない
そうだよなぁと一々納得するが、では実践できているか、できるかと問われると答えに窮する。

・完璧な人ほど相手に劣等感を与え、抜けている人ほど愛される
・トップを目指すのではなく、トップに押し上げられる人になる
・不満やグチの多い人は、トラブルに見舞われやすい
・すぐに効果の現れないことでも、大海の一滴である
・逃げずに向き合うことで、運命は切り拓かれる
一つ一つの言葉が重みを持っている。

どれもこれもその通りだと思う。されど明日から実践しようと思ってもなかなか難しいものもある。それはすなわち自分自身に問題を抱えていることだということだし、まだまだ修行の余地があるということでもある。「華やかな人生を歩んでも、どのように死を迎えるかが大切」という。まだ残りの人生も長いし、ゆっくりと着実に修行していきたいものである。
折に触れ、人生の先輩のこういう言葉に触れるのも大事なことだと思わせられる一冊である・・・
   
   
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2016年05月15日

【カエルの楽園】百田尚樹



百田尚樹の作品は、どれもこれも面白く、発売されたものはほとんど読んでいる。そんな百田尚樹は、実は政治的な発言も多く、最近はツイッターなどでそちらの方が目につくようになっている。もちろん、批判者も数多い。そんな政治的な意見がついに書籍化されたのが、『大放言』であった。そしてまた小説の世界に戻るのかと思ったら、今度はその政治的なメッセージを小説の世界に持ち込んでしまった。それがこの一冊。

タイトルにあるように、物語はカエルの世界。子供向けの感があるが、百田尚樹には『風の中のマリア』という実績もあり、大人でも十二分に耐えうる。そんなわけで抵抗感なくカエルの世界に入っていける。もっとも読み終えてみると、カエルの世界にしたのは秀逸だと感じるところがある。このあたりは流石である。

主人公は、アマガエルのソクラテス。ある春の日、平和に暮らしていたソクラテスたちアマガエルの世界に凶悪なダルマガエルの群れがやってくる。凶悪なダルマガエルによって仲間たちが次々に食べられていき、ソクラテスは60匹の仲間たちとともに安住の地を求めて旅に出る。しかし世界はどこも危険で過酷であり、ようやくツチガエルの世界ナパージュに着いた時、ソクラテスの仲間はロベルトだけになっていた。

それでもナパージュは平和で安全であり、この世の楽園にも思われる。外の危険な世界とのあまりに対照的なその世界。そこでは「カエルを信じろ」「カエルと争うな」「争うための力を持つな」という「三戒」があり、それで平和が守られていると教えられる。その平和な精神に心酔するロベルトと、どうしても疑問を禁じえないソクラテス。2匹はナパージュを隅々まで探索し、その姿を知るようになる。

ナパージュの外には、やはり危険なウシガエルの住む世界がある。しかし、ナパージュには実は鷲のスチームボートが住んでいて、睨みを利かせている。ウシガエルたちはそれ故にナパージュに近寄らないのであるが、ナパージュの住民は「三戒」のおかげだと信じている。もちろん、「三戒」の精神は大事だとしつつも、現実論を説くグループはいるが、「三戒」を信じる者たちとは徹底して意見が合わない。やがてスチームボートも高齢により力が衰え、相互に守り合うことを提案してくるが、「三戒」絶対派のカエルたちは猛反対する。そんな中、とうとうウシガエルたちが南の崖に登ってくる・・・

平和なナパージュが我が国のことであり、スチームボートがアメリカ、ウシガエルが中国、ナパージュのカエルたちが信じる「三戒」が憲法第9条と置き換えれば、現在の我が国が置かれている状況そのものだということがよくわかる。昨年の安保法案改正をめぐる動きもそのままであるし、SEALSを意識したと思われるフラワーズというグループも登場する。自分たちの祖先が犯したとされる残虐な罪を反省し、「三戒」を守っていれば平和が保たれると信じている。ハンニバルという名の体の大きなカエルは、自衛隊に当たる。「三戒」派に疎まれながらひそかにウシガエルの侵略を阻んでいるが、「三戒」派はその動きを封じようと躍起になる。

そんなナパージュに対し、第三者であるソクラテスは冷静なる第三者の目で眺めている。「三戒」派の主張と行動がいかにおかしいかとわかるのだが、当事者たちにその意識はない。やがてスチームボートがナパージュを去って行き、追い出した「三戒」派は高らかに勝利宣言する。そしてそれと同時に、南の崖にウシガエルが集まってくる・・・

今まで平和が保たれてきたのは「三戒」を守ってきたからだと疑わないカエルたち。スチームボートが去った後のナパージュには、予想通りの事態が訪れる。だが、怖いのはむしろ「三戒」派たちの行動である。ただひたすらに、どんな事態になっても信念を曲げない。巷でよく言われる「ゆでガエル」たちの姿がそこにある。そしてそれは、現実の護憲派の人たちの姿に他ならないのかもしれない。

読み終えて、くだらない寓話だとバカにする気にはなれなかった。あまりにもリアリティに富んでいるからである。しかし、ではナパージュのカエルたちはどうすればよかったのか。「三戒」を破棄する道を選べば正解だったかというと、果たしてそれもどうだろうかと思わざるをえない。「どちらが良いか」ではなく、「どちらがマシか」という世界であろう。我が国はどのような未来を選ぶべきなのか。ひょっとしたらそこには「どちらが良いか」という選択肢はないのかもしれない。ナパージュに起きたような事態が起こればなおさらである。そんな未来が来ないことを祈りつつ、一方では選択肢についてよく考えておきたいものである。

政治的なメッセージを含めた物語の世界。次はもう少し心穏やかに読める物語を綴って欲しいと願わざるをえない一冊である・・・


posted by HH at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 百田尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月14日

【「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告】エマニュエル・トッド



1. ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
2. ロシアを見くびってはいけない
3. ウクライナと戦争の誘惑
4. ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
5. オランドよ、さらば!-銀行に支配されるフランス国家
6. ドイツとは何か?
7. 富裕層に仕える国家
8. ユーロが陥落する日

著者はフランスの歴史人口学者・家族人類学者だというが、正直言ってその肩書きはよく分からない。どういう人がどういう立場で主張しているのか、よく分からないところが読む前に不安に思ったところである。そんな本書は幾つかの論文をまとめたものらしい。刺激的なタイトルに惹かれて手に取った一冊。

タイトルにある通り、ドイツの脅威を謳った内容であるが、二つの世界大戦で敗戦したドイツは確かに経済的には大国に入るのだろうが、現在ではどうもピンとこない。しかし、著者によれば、現在のヨーロッパはドイツがコントロールしているという。そしてフランスのオランド大統領は、「ドイツ副首相」だと手厳しい。「ドイツというシステム」は、驚異的なエネルギーを生み出しうるとする。同じことは日本やスウェーデンなどについても言えるらしいが、それは「フランスには制御できない」とする。

ヨーロッパは「ドイツ圏」であり、今後20年の間にアメリカとドイツの間に紛争が起こるだろうとしている。力を持つとドイツは非合理的に行動し、ロシアが崩れればウクライナまで「ドイツシステム」が広がり、だからこそアメリカにとってロシアの崩壊こそ恐れなければならないとする。ウクライナ問題の原因はロシアではなく、ドイツであるという。このあたりの主張は、そのまま受け入れていいものかどうか躊躇を感じるところである。

そんな著者は、かつて「乳幼児死亡率」の上昇からソ連の崩壊を予測したらしい。現在のロシアは乳幼児死亡率は低下し、出生率が上昇している。広大な国土に大勢のハイレベルの科学者たちを要するロシアは無視できない存在で、米露の協調こそ世界安定の鍵だとする。ロシアが好戦的になることはありえず、そんなロシアを含むヨーロッパにとってもアメリカなしでは安定できないという。

著者は自国の大統領にも手厳しい。オランド大統領は「マルク圏」の「地方代表」に過ぎず、民間金融機関は、「政府債務を発明」し国家をコントロールしている。それはドイツもしかりで、真の権力中枢はメルケルではなく、ドイツ経済界だとしている。フランス人が発明したユーロは、ドイツが利用し、今やドイツの最大の貿易黒字はユーロ圏内にて実現している。

ピケティも主張した格差の拡大も明らかで、「市場とは最富裕層のこと」、「政府債務は富裕層の集金マシーン」とし、1%の富裕層に奉仕する国家が出来上がってしまっているとする。そんな諸悪の根源がドイツであり、ドイツ経済がヨーロッパの民主主義を破壊する危険もあり、ストップをかけるのがフランスの役目だと主張する。

確かに主張されているところは理解できるところもある。ただ全体としてどうなのかはよく分からない。ヨーロッパとの距離の差が、温度差を招いているところがあるかもしれないし、日本でも異論を吐く人はいる。ただ、日本については記述が幾つかあり、それには興味を惹かれた。
・日本とロシアの接近はエネルギー的、軍事的視点から見ても論理的
・ドイツの輸出力は途轍もないとはいえ、技術の面で日本のレベルには及ばない
・日本社会とドイツ社会は、元来の家族構造も似ており産業力が逞しく経済面でも類似
・日本の文化は他人を傷つけないようにする、遠慮するという願望に取り憑かれている

ドイツに対する批判はともかくとして、一つの意見としては実に参考になる一冊である。今後ニュースを見る時に、頭の片隅に置いておくにはいい一冊である・・・

posted by HH at 12:58| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする