2016年05月30日

【ザ・チョイス】エリヤフ・ゴールドラット 読書日記663



原題:The Choice
第1章 二つの選択肢
第2章 あらためて、常識とは何か
第3章 なぜ、当たり前のことができないのか
第4章 ものごとは、そもそもシンプルである
第5章 矛盾と対立
第6章 信念を行動に
第7章 調和
第8章 決して、わかったつもりになるな(PART1)
第9章 ウィン・ウィン
第10章 決して、わかったつもりになるな(PART2)
第11章 機会はいくらでもある
第12章 販売期間の短い製品
第13章 限界なき可能性
第14章 明晰な思考とトートロジー
第15章 コンフォートゾーン(PART1)
第16章 人はもともと善良である
第17章 コンフォートゾーン(PART2)
第18章 感情、直感、そしてロジック

『ザ・ゴール』を読んで以来、すっかりファンになってしまったゴールドラット博士の一冊。もうみんな読んでいたものと思っていたら、なんと読み逃していたことを発見し、慌てて購入した次第。

今度の本は、組織や人間関係をよりよくする実践的アプローチの方法を本にまとめようとしたものだと冒頭で説明がなされる。なかなか興味深いイントロである。そして内容は、ゴールドラット博士と娘エフラットとの会話という形で進んでいく。

ゴールドラット博士は、「複雑そうに思えてもものごとはそもそもシンプルである」と語る。にわかには信じられないエフラット。そこでゴールドラット博士は、その一例として、アパレル業界でトップクラスのメーカービッグブランド社の例を挙げる。
マネージャー会議に出席したゴールドラット博士は、今後5年間で10億ドルの利益を目指そうという意欲的な目標を決めて会議が終わると、メンバーに質問する。
「10億ドルではなく40億ドルという目標は達成可能だろうか」と。

今後の目標として立てた数字(それは大抵「!00%達成可能」と言えるシロモノでは当然ない)のさらに4倍となれば、普通の感覚だと「何を言っているのだ」となるだろう。しかし、ゴールドラット博士は、既存の業務のやり方を改善、向上させることで純利益を増加させることはできないかと問いかけ始める。
そして、実は品切れアイテムの存在が、潜在的な売り上げ損失を招いていることを指摘し、実は品切れ商品を一掃するだけで、理論上年間40億ドルを超える利益が出ることを証明する。

そしてその理論を実現するためには、シーズンのはるか前からデザインを発注し、アジアで製造し、店頭に並ぶ一連のプロセスを変えなければならないと導いていく。今まで当たり前と信じて疑わなかった業務フローを、ゴールドラット博士は変えていく。そして会議は、「40億ドルの利益は控えめかもしれない」との言葉で締めくくられる。

この前半部分だけでもなかなか刺激的である。自分たちの業務フローでも似たようなことはないだろうかと考えてみる。「ものごとはそもそもシンプルであり、その考え方が受け入れられれば明晰な思考ができるようになる」と博士は語るが、この理屈は素直にその通りだろうと納得できる。

その明晰な思考を邪魔するものは次の3つ。
・現実は複雑だという概念
・対立は当たり前だと考えてしまう傾向
・問題を相手のせいにしたがること
特に問題を相手のせいにすることは、間違った方向に進むことになるとする。火に油を注ぐようなもので、調和も保てない。明晰な思考とは、「自分の目的とするところに向かって最も効率的な道を選ぶこと」だとし、いかに人と良好で調和のとれた関係を保つことができるかが大事だとする。

具体的な例として、下請け業者との関係が採り上げられる。ブランド企業のニーズとしては、「在庫を減らしたい」というものがあり、あてにならない販売予測に基づく生産体制から実際の消費に合わせた生産体制に移行するには、下請け企業と「ウィン・ウィン」の関係を築かないといけない。それには在庫の回転数を上げる一方で、価格を上げることにより下請け企業にもメリットあるやり方ができるとする。

窮状を呈した関係に直面した時、相手を責めるのではなく、ウィン・ウィンの関係が必ず存在すると信じて取り組むべきという指摘は、何事にも応用できそうである。アパレルやパンの小売がこの本では事例として採り上げられているが、いろいろな業界に応用ができそうな気がする。ゴールドラット博士になった気分で、自分の仕事についてあれこれ考えてみるのも有益かもしれない。

単なる読み物としても面白いし、ビジネスのヒント探しにもなる。『ザ・ゴール』を含めて、何度も読み返したいシリーズである・・・


posted by HH at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする