2016年12月31日

【日本の論点2017〜18】大前研一



01 セカンドライフは8万時間の自由時間がある。何をしますか?
02 巨大ビジネス創出!わが新・経済理論「アイドルエコノミー」
03 直伝!「アイドルエコノミー」実践法
04 日本を大好きになる外国人旅行者が日本経済を底上げする
05 ビールだけじゃない、日本企業のグローバル化が“周回遅れ”の実態
06 世界的な大企業で続発!データ偽装問題はなぜ起こるか?
07 怨念を残すような“選択と集中”が東芝の不正会計を生んだ
08 ゴーン社長が三菱自動車を買う真の狙い
09 東証一部上場するも、見えない郵政三社の未来絵図
10 アベノミクスの景気浮揚効果を阻む“低欲望社会”の現実
11 伊勢志摩サミットで“後味の悪さ”しか残せなかった安倍首相
12 ホンハイの買収申し出を受け入れたシャープの甘い認識
13 日本には核兵器を開発するだけの能力があるのか
14 なぜ老人ホームや介護施設で“虐待”が増加しているのか
15 世界を席巻するポピュリスト旋風はどこまで広がるのか?
16 ドナルド・トランプの過激発言はなぜ米国民に受けたのか?
17 「世界一」だけをつくるイタリアの地方創生法
18 中国バブル崩壊から「世界大恐慌」へ飛び火する可能性
19 パナマ文書は氷山の一角、今後も続く税逃れの手口
20 大国のリーダーが一目置くメルケル首相のリーダーシップ
21 蔡英文・新総統誕生、中台関係はどう変わるか
22 “アイドル”スー・チー氏はミャンマー国民を満足させられるか?
23 ロシアはなぜ、IS掃討を名目にシリアに軍事介入したのか?
24 “Change”“Yes We Can”-オバマはアメリカをどう変えた?

昨年、『日本の論点2015-2016』を読んだが、その続編というべきか最新版が登場。早速手にした次第である。世の中は当然ながら動いており、その時々において著者のような著名人の意見を知ることは自分の考えを養う上でとても参考になることである。

2016年の世界は、トランプ米大統領の誕生、イギリスのEU離脱、ヨーロッパにおける反EU・移民排斥運動の高まり、プーチン・ロシア大統領やエルドアン・トルコ大統領のような強権的指導者が国民から強く支持され、タイで軍事政権が正当化されるなどの動きが見られた。時代はG2からG1、そしてG0へと移行しており、今やグローバリズムの理念を指導する者がいなくなっているとする。

国内では、安倍総理が「同一労働、同一賃金」を唱えているが、これを国内でやれば地方は壊滅するとする。なぜなら、体力のある会社はマーケットの大きい東京へ集まってくるからであり、それは地方の衰退を意味するからであるとする。アベノミクスの矛盾が確実に顕在化するだろうと著者は予測する。

そうした中、他人任せでなく自ら人生設計をコントロールすることが必要であるとする。そのためには、例えば老後にやりたいことを20個書き出せと言う。一人でやることを10個、仲間と一緒にやることを10個という具合にである。リタイア後にやりたいことがあったら今すぐに始めるのが正解で、何の準備もしていなければ気力も体力もついてこないし、一緒に楽しむ仲間もすぐにはできないと言う。なるほど、これは真剣に試みてみる必要があると思う。

一転して、世の中の現状について著者がコメントをしていく。もっとも参考になったのは、「アイドルエコノミー」である。この「アイドル」とは、「働いていない」とか「使われていない」「空いている」と言ったアイドリングタイムのアイドルである。代表例として、タクシー業界のUberとAirbnbが挙げられる。いずれも需要と供給を結びつける仕組みであり、世の中に台頭してきているからわかりやすい。

上記の例以外にも、専門家の空き時間をマッチングするUpwork、住宅を改修したい人と住まいの専門家を橋渡しするHouzz、オフィスの賃貸会社(事務所のサブリース)WeWorkなど聞いたこともないサービスの紹介もあって参考になる。さらに高額な機械も、複数社でシェアできれば中小企業でも導入できるなど、そのアイデアはさすがである。今や中小企業と言う概念さえ有害で、「世界中のアイドルを使えば大企業!」と胸を張っていける時代だと言う。我が社の商売でも応用化できないか考えてみたいと早速思うところである。

また、フォルクスワーゲンや東芝など世界的大企業のデータ偽装(粉飾)事件が起こったが、これは選択と集中による内部抗争が原因だとする。選ばれるための利益水増し、粉飾の正当化であるとするが、このあたりは何とも言えない。ただ、選択と集中ではGEというお手本があり、@再生するAパートナーを見つけて合併B事業の売却のいずれかから適切に対処するべしと説く。

著者が常々主張している「低欲望社会」の話はここでも登場し、日銀がいくらバズーカをぶっ放しても効果はないとする。市場のマネタリーベースを増やすという100年前のケインズ経済学は今の日本では当てはまらず、個人金融資産の1%が市場に出てくる政策をひたすらやるべしとする。具体的には資産課税と付加価値税であり、税制はこの二本立てにし、それによって所得税・法人税・相続税も不要になるとする。これは個人的には興味のあるところである。

社会問題となりつつある介護問題は、抜本的解決には移民を認めるか施設を海外に持っていくしかないとする。従来の著者の主張であるが、移民は認めたくない私としては、施設を海外にという方が好ましい気がする。ただ、自分が海外に行きたいかと考えると、そうはしたくないと思うのであるが・・・

その賛否はともかく、著者の投げかける世の中の問題を受け止めるのは、知的好奇心が大きく刺激されるところである。知らないことを知る機会になるし、自ら考える材料にもなる。こうした本には積極的に目を通して行きたいと思うところである。大前研一の本に読んでハズレのものはないと考えているが、これは世の中の定点観測としてシリーズ化していってほしいと思う一冊である・・・


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2016年12月30日

【魔法のコンパス】西野 亮廣 



1章 向かい風はボーナスチャンス!
2章 お金の話をしよう
3章 革命の起こし方
4章 未来の話をしよう

著者は、キングコングという漫才コンビをしている芸人。もともとテレビを見ない口だが、それでも家族が見ているテレビをチラ見しているから、ある程度の芸人さんは知っている。そんな私も知らない芸人だと思っていたら、なんとテレビに出ないのだという。芸人がテレビに出ないなんてと驚かされ、そしてやっていることを知って俄然著者に興味を抱かされた内容である。

著者も人並みの芸人らしい努力はしたそうである。しかし、やるだけやった結果、スターになるという成果が出せなくて、それで考えたのは「種の変更」。そのために一番便利な部分としてテレビのひな壇に出ることをやめたのだという。「お笑い芸人がひな壇に参加せずに生きて行くためにはどうすればいいだろう」という「問い」を持ち、「皆がいるような整地された場所にはあまり(「問い」が)落ちていないから、誰も踏み入れていないような足場の悪い場所に行く」としたという。このあたりは、ビジネスにも通じる考え方である。

そして著者の視点には、気付かされるところが多い。
例えばアート活動について、それは何をするにも「活動資金」が必要だが、学校の先生はお金のことを知らず、したがって学校で教えないから生徒も「資金調達=アルバイト」の発想しかないと。著者は1日50円のバイトで生活するホームレス小谷の話を紹介し、様々な可能性を説く。実際、クラウドファウンディングは小谷氏ならずとも、著者も様々な機会で利用し、その成果を実証する。ホームレス小谷氏は、1日50円で「信用」を積み重ねているという話は実に深い。

ビジネス的には「差別化」と言えるのだろうが、著者は絵本を出すことにする。しかし、プロの作家に対し、素人はまともにやっても勝てない。勝てる条件として「時間」を上げ、著者は徹底して時間をかけて絵本を作る。最初の絵本は4年半かかったそうである。さらにその考え、実践していることは、ビジネスマンにとっても見習うべき点が多々ある。

1. 通知表で言えばオール3がもっともマズい状況。他の教科が1でもいいからその時間を使って4を5にする作業をしたほうがいい
2. SNSでは「拡散希望」などとせず、こちらから自分をツイートしている人にアプローチ。「会いに行けるアイドル」ならぬ「会いに来る芸人」になる(これがクラウドファンディングに威力を発揮する)
3. DVDは3,000枚売れないとペイできないと聞き、実際にその価格構造を調べ、流通に乗せなければ90枚でペイすることを発見。流通に乗せずに1,500枚売ってNY公演をタダにする
4. 勉強は面白い。ただそれを教える先生が面白くないだけとして、世界一面白い学校「サーカス!」を作る
5. アイデアを掘り当てるまではやれることをコツコツコツコツ。近道なんてない。「本が売れてない」と嘆く作家に、「売ろうとしてねーじゃねぇか!」
6. 学校の先生は、スマホ禁止なんかしている暇があったら、スマホと共存できるスキルを身につけといた方がいいんじゃないか

そんな著者は、「町を作る」構想に向かう。毎回毎回集客に苦労していることを鑑み、お客さんをリリースするのではなく、循環させて再び戻ってくる仕組みである。また、「一日をコーディネート」するという発想で、「一度行ってみたいなぁ」と思っている場所でライブをすることも考える。例えば温泉町でのライブであり、これなら行ってみようかという気になるかもしれない。さらに、これからは「好きなことでしか生きていけない時代になる」として、親は子供に「仕事になるまで遊びなさい!」というべきかもしれないと説く。内容はともかくとして、その発想は素晴らしい。

今は著者が「分業」で製作した絵本が発売になっている。新聞の読書欄によれば、ベスト10入りしている。ぜひ買ってみたいと思うし、これから著者の活動にも注目して生きたいと思う一冊である。




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2016年12月29日

【戦略がすべて】瀧本哲史



I. ヒットコンテンツには仕掛けがある
II. 労働市場でバカは「評価」されない
III. 「革新」なきプロジェクトは報われない
IV. 情報に潜む「企み」を見抜け
V. 人間の「価値」は教育で決まる
VI. 政治は社会を動かす「ゲーム」だ
VII. 「戦略」を持てない日本人のために


 著者の本は、すでに『僕は君たちに武器を配りたい』『君に友だちはいらない』を読んでいるが、両著とも学ぶところが多く、したがってこの本を手に取るにも躊躇はなかった。そんなこの本は、タイトルにある通り「戦略」の本である。

世の中の様々な例を挙げ、そこから得られる戦略的考え方を解説しながら、その考え方を学んでいくというスタイル。最初に採り上げられるのが、「コケるリスクを排除する」という観点で「人を売るビジネス」。

このビジネスでは以下の3つの壁がある。
1. どの人材が売れるかわからない
2. 稼働率の限界(人は24時間365日働けない)
3. 売れれば売れるほど契約の主導権や交渉力がタレント側にシフトしていく

ここから「AKB48の方程式」というべき、複数のタレントを包括するプラットフォームを売るという考えが導かれる。AKB48のほか、弁護士事務所やコンサルティングファームなどがこれに該当する。この中では、(顧客から)「見える仕事」には顔となる人材を使い、「見えない仕事」にはコモディティ化された人材を使うことになる。「コモディティ」は、前著にも登場する著者のキーワードだ。

こういう形で、鉄道会社、オリンピック、RPGなどが解説されていく。特に「働き方」に関する著者の意見は鋭い。
・高い報酬を得るには、ビジネス全体を理解して「資本=儲ける仕組み」に参画しなければダメ
・自分の労働をコモディティ化させない
・どの土俵なら勝てるのかを見極め、勝てる土俵を選ぶ
・トップは異見を取り入れることで質の高い意思決定を生む
こうした考え方は、自分の意識の中にも取り入れたいものである。

そのほかにもハッとする言葉が続く。
・教養とは自分と異なる思想全てをさす
・資本主義は優勝劣敗によってシステムを新陳代謝させて「全体」の効率を高める仕組み。淘汰される企業は・・・社会的資源を無駄にしているのであり、これを保護するのは社会的に有害
・全ての自治体を生き残らせようとして全体を沈ませるのではなく、自治体同士の競争を促し、住民の移動という「足による投票」によって強い自治体への統合を目指すべき
・ある職階の中で、成績の良い者が上位の職階に上がり、成績が悪い者はその職階にとどまる(全ての人はその人が無能と判断される職階まで昇進しそこに長くとどまる)

様々な例を挙げて説明されるのは、「戦略的思考」。戦略を考えるというのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み弱みを分析して他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることだとする。

「日本という国は初期に成功を収めても戦略がないため最終的には失敗する」
「日本人の組織は意思決定のまずさを現場の頑張りでなんとか解決しようとするが、戦略の失敗を戦術で補うことはできない」
「日本のビジネスマンは、大企業に勤めていようと『高級作業員』。テンプレート化された仕事をより早くより効率よく行うルーチンワーカー」
「ぐうの音も出ない」とはこのことだろう。

どうすれば戦略的思考を身につけられるのか。著者はケーススタディを大量にこなす「擬似トレーニング」だという。身の回りに起きている出来事や日々目にするニュースに対して、戦略的に勝つ方法を考える習慣を身につけても良いと言う。果たしてなんの手ほどきも受けずにどこまでできるのかはわからないが、こういう意識を持って試みてみたいと思うところである。必要なのは、否定することではなく、認めて意識することであろうと思う。自分自身にも当てはまるところは多く、それゆえになんとかしたいとも思う。

明日と言わず今日から。自分の意識を奮い立たせてくれる一冊である・・・

    
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2016年12月26日

【ファイティング40、ママはチャンピオン】鈴木一功



 物語の語り部は、小さな劇団を率いる「50も半ばの」俳優。離婚後体調を崩した折、自宅にやってきて料理を作ってくれた劇団員の佳代子と気がつけば一緒に暮らし始め、二人の子供をもうけて現在に至っている。語り部は確かにこの俳優兼劇団長だが、話題の中心となるのはタイトルにもある通り妻の佳代子となる。

 ある時、劇団で毎年恒例の公演が行われる。そこで佳代子は勝てない女ボクサーの役が振られる。初めこそ、渋々その役を受け、役作りのためにボクシングジムに通い始めた佳代子だが、元々凝り性の佳代子はそのままボクシングに夢中になっていく。公演が終了してもその熱は冷めず、本格的にジムに通うようになる。

 やがて単独で旅公演に出た佳代子だが、3ヶ月後に帰ってくると、佳代子の体は筋骨隆々となっており、家族はど肝を抜かれる。その熱は止まる所を知らず、同じジムの男子ボクサーの世界タイトルに同行して判定に文句をつけてしまうまで至る。そしてとうとうジムの会長の思惑もあってプロデビューすることになる・・・

 物語はこんな具合に40歳のママボクサーの姿を描いていく。語り部は夫であるためか、妻の心境はわからない。それに圧倒的な実力でデビューすると、あっという間に元世界チャンピオンとの対戦が組まれるところまで行く。それは男だったら不自然なのであるが、層の薄い女子の世界ゆえに違和感はない。この違和感がないところが個人的には重要で、違和感があると多分そこで興ざめしてしまっていたであろう。

 それはそれでいいのであるが、この物語は、クライマックスが佳代子と元世界チャンピオンとの試合。デビューからわずか3戦目であり、展開が早いのなんの。紙幅の関係もあったのかもしれないが、どうにも早すぎて味が染み込む前に終わってしまったような感じである。男子の若手ボクサーをスパーリングで翻弄したりと、途中までは面白かったので、残念な気もする。

 それにこうしたスポーツドラマを小説で語る難しさとして、どうしても言葉で試合展開を説明しないといけないということがある。映画や漫画は動きをビジュアルに表現できるが、小説は言葉だけに難しい思う。同じボクシング小説でも『BOX!』などは全くそのハンディを感じさせられなかったが、この本はもう少し感が残った。

 短い小説でもあり、まぁこういう小説も箸休め的にはいいだろうと思えた一冊である・・・


   
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2016年12月23日

【ザ・会社改造−340人からグローバル1万人企業へ 実話をもとにした企業変革ドラマ−】三枝匡



第1章 会社改造1 「謎解き」で会社の強み・弱みを見抜く
第2章 会社改造2 事業部組織に「戦略志向」を吹き込む
第3章 会社改造3 戦略の誤判断を生む「原価システム」を正す
第4章 会社改造4 成長を求めて「国際戦略」の勝負に出る
第5章 会社改造5 「買収」を仕掛けて「業態革新」を図る
第6章 会社改造6 「生産改革」でブレークスルーを起こす
第7章 会社改造7 時間と戦う「オペレーション改革」に挑む
第8章 会社改造8 「元気な組織」をどう設計するか

著者は、現在ミスミグループの取締役会議長を務める方。以前、著書の『V字回復の経営』を読んでおり、何より「実話を基にした企業変革ドラマ」というサブタイトルに惹かれて手にした一冊である。『V字回復の経営』は、実例を基に創作された話であったが、今回は著者がミスミで実際にやったことが中心ということで、余計に興味をそそられたところがある。

事業再生専門家として活動していた著者は、ミスミの社外取締役を務めていたが、ある日創業社長から社長を引き受けてくれと頼まれる。当時ミスミは売上高500億円、営業利益49億円であったが、13年後には売上高2,085億円、営業利益237億円になっている。従業員も340人から9,628人というからものすごい成長と言える。その実践課程を著者自身が、第三者的な立場で追っていく形になっている。

まず手始めに著者は事業モデルの掌握から取り掛かる。「事業モデルの理解が足りないまま社長に就任すれば打ち手を間違える可能性が高まる」とするが、それはそうであろうと思う。そして著者はそれを「ミスミQCTモデル」としてまとめる。さらに経営の優劣はフレームワークの有無で決まるとする。フレームワークとは、物事の本質や構造を理解しわかりやすく説明するための枠組みであるという。なんとなく、わかったような気になるが、「何か異常を見た時、『違う』と感じたりする考え方やものの見方」と言われるとわかるような気がする。

このフレームワークだが、初めはパクリでもいいとする。大いにパクっておいて、目の前の問題に適用できるように工夫・修正を加えれば、もはやそれはパクリではなく、「自論フレームワーク」になるのだとする。このあたりは、理論的には理解できるのだが、具体的なイメージが湧きにくく、どうも隔靴掻痒の感がある。

著者は、当時主流となっていた多角化事業からの撤退を決める。どれもシナジーが効かずバラバラ症状だったという。全体戦略の欠如が原因であり、著者は「切断力」を駆使して7つの多角化事業から撤退する。そしてミスミ8つの弱みをまとめ、3枚セットのシナリオで臨む。3枚セットのシナリオとは、下記の通り。
1枚目 現実直視、問題の本質、強烈な反省論
2枚目 改革シナリオ 戦略計画 対策
3枚目 アクションプラン

そして「本業回帰」「国際進出」を方針として決め、業績悪化していた3つの主要事業部の1つを改革のモデルケースとする。すべてにしないのは、すべてで失敗すると大混乱に陥ることになるからである。そういうことからFA事業部を対象とし、改革のモデルケースとする。ここで成功したら他の事業部に広げるということで、こうした手法は参考になる。

著者は、全編を通して「戦略」を強調する。何よりも「戦略」と「熱き心」が改革の要諦ということである。そして改めて「戦略」とは、という問いに、以下のように答えている。
@「戦場・敵」の動きをA俯瞰しB自分の「強み弱み」からC「勝負のカギ」とD「選択肢」を見極めE「リスクバランス」を図りつつF「絞りと集中」によってG所定の「時間軸」内で勝ち戦を収めるためのH「ロジック」である。そして、Iその戦略の「実行手順」をJ「長期シナリオ」としてK組織内に示すものである。
何度か読み返すと、大体のイメージはつかめてくる。なるほどと思わされる。
優れた戦略の要諦とは、「絞りと集中」、「シンプルな目標の設定」、「ストーリー性」という話も納得である。

改革については、カスタマーセンターの集約の例が印象深いところであった。それが一番イメージしやすかったというところもある。中国への進出については、どうも概論的で、具体的な行動まで詳述されず、学校の講義的なところがあった。この方の作品は、『V字回復の経営』もそうであったが、具体例をぼやかしてあって、私のような素人にはわかりにくいのである。

それでも分業の弊害として「椅子職人の悲劇」の話は面白かったし、それゆえにミスミチーム制の採用は理にかなっている。新しい上位のポジションにふさわしい意識や行動が取れず、下位の仕事のスケール感で対応してしまうという「ポジション矮小化」の話も参考になった。身の丈にあったジャンプが必要というのは、まさにその通りであろう。さすがは日本を代表するプロ経営者と思うが、本によって理解できるのはほんの一部。詳細な具体例があるともっとわかりやすかったと素人的には思うし、理解しきれないところが残念なところでもある。すべて理解できるようになれば、自分自身のスキルもアップするのかもしれない。

自分も小さな中小企業では、戦略を担う立場でもあるし、少しでもエッセンスを汲み取りたいと思うところがある。難しいところではあるが、直接教えを請えるわけでもなく、せめて著書からなるべく多くを吸収したいところである。そういう意味で、しばらくしたら読み返してみたいと思わされる一冊である・・・

   
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2016年12月19日

【何を捨て何を残すかで人生は決まる】本田直之



第1章  「人生を縛る常識」を持たない
第2章 「なくてもいい物」を持たない
第3章 「必要以上のつながり」を持たない
第4章 「やらなくていい仕事」を持たない
第5章 「振り回されるほどのお金」を持たない

著者はビジネス界で実績を残し、現在は年間でハワイ、東京、ヨーロッパとそれぞれで暮らしているという誠に優雅な生活を送る成功者。そのビジネスで得た成功のエッセンスを様々な著書に記している方のようである。そんな方の著書を一冊でも読んでみようかと手に取ったのが本書。

著者がまず初めに唱えるのは、「持たない生き方」。「持たない生き方」とは、単なる断捨離のようなものではなく、「自分にとって必要なモノを見極め、それを選び取り、見た目ではない豊かさを手に入れること」だとする。そしてそのために大事なのは、「何を捨て、何を残すか」を決断する自分を取り戻すことだという。「何々だけはしたくない」と叫んでいる心の声に耳を傾けるべしとする。

「他人と自分とを比べ、『あの人のようにできない』などと考えるのは、誰かの作った価値観で自分を縛っているのと同じこと」と著者は語るが、このあたりはどうも納得しかねるものがある。「踏み出す前に『大変なリスクだ』と思っていたことのほとんどは、通り過ぎてしまえばどうということもない」とするが、まったくその通りだろう。ただし、「成功した場合は」であるが・・・

ティッシュやフリーペーパーなどの貰い物は、著者はすべて断るのだという。貰うという行為は「完全に受け身だから」というのがその理由。しかし、個人で取りに行ける情報には限りがある。時として「入ってくる情報から」ヒントを得ることもある。そう思ってティッシュをもらっている自分には、受け入れる要素のない言葉である。どうも著者とは波長が合いそうもない。

「『みんながいいと言っているから』と流されてしまうのは危険なこと」ということには同意できる。しかし、「ルーティンになっていると感じたらとにかく壊す」という部分は、「ルーティンも所によっては必要」と考える自分とはまたしても合わない。「世間の常識にとらわれてはいけない」という部分には同意できるが、それは自分にとっては「わざわざ言うほどのことでもない初歩的なこと」である。

読みながらそんなやりとりをしていたら、なんとなく読み進む集中力が欠如していってしまった。著者は、自分など足元にも及ばない凄い方だとは思うが、考え方の合う合わないは当然ある。ただ、傾聴に値するところもあって、それは素直にメモした。
1. お金を稼ぐ力とお金を持ち続ける能力はまったく別のもの
2. 変化にいち早く対応するのはいつも若い世代、彼らは批判の対象ではなく学ぶべき対象
3. 人生で大切にしている点@自分で考え続けることA過去の常識をリセットすることB実験をし続けることC少しの勇気を持つこと

著者に対しては、自分など足元にも及ばぬ成功者だし、その意見をどうのこうのと言える立場ではないが、自分の人生の指南役としてはどうも合わないと言う感じだ。それはそれで、仕方がないと思う。無理に合わせようとすれば、それこそ著者が批判する「誰かの作った価値観で自分を縛る」ことになるからである。自分に合うと思うところだけ、ありがたく拝聴したいと思う。

まさに、自分でしっかり考えながら読みたいと思う一冊である・・・


     
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2016年12月18日

【清掃はやさしさ】新津春子



序 章 空港は私の居場所
第1章 中国から日本へ
第2章 運命の決断
第3章 私の道
第4章 清掃のプロへの一歩
第5章 日本一の称号
第6章 恩人の死
第7章 2年連続世界一清潔な空港

著者は、日本空港テクノ株式会社で働く清掃員。と言っても同社で唯一の「環境マイスター」であり、清掃の実技指導を行う立場の方らしい。その仕事ぶりは、NHKの「プロフッショナル仕事の流儀」でも採り上げられたというから、清掃の「プロ中のプロ」と言える方のようである。そんな著者の自伝が本書である。

著者の父親は、日本人残留孤児。文革の最中はその事実を隠していたというが、それが判明して著者は学校でイジメにあったと言う。やがて残留孤児の帰国事業で一家は来日。言葉もわからぬまま生活を始める。そんな中で、やはり一家で清掃の仕事を始めることになったのは、「言葉がわからなくてもできるから」と言う単純な理由であった。

著者は、高校を卒業し、音響機器の会社に就職する。しかし、生活のため清掃のバイトは続ける。政府による保護を断ったため、一家の暮らしは極貧生活で、「パンの耳がご馳走」と言う状況だったらしい。そんなためか勤める一方で、著者は清掃の仕事を続ける。そして「ビルクリーニング管理」と言う一枚のポスターを見て、職業能力開発センターの存在を知り、仕事を辞めて入学する。

ここで、清掃技術を本格的に学ぶ。清掃員と言うと、当時は(今も)中高年の仕事と言う中、20代の著者は異彩を放つ。そして熱心に学び、「男性しか取らない」と言われた現職に熱心に応募して採用される。著者のこうしたエネルギーはとにかく凄い。困難な状況から這い上がろうとするバイタリティーは、全編にわたって溢れかえっている。何事も成し遂げる原動力は、こう言う「パッション」だろう。

入社後、ビルクリーニング技能士の資格を皮切りに、関連する資格を次々に取得して行く。それに伴い技術も上がって行く。そしてとうとう全国ビルクリーニング技能競技会で日本一になる。何事であれ、日本一になるくらい突き詰めていけば世界は開けていく。それがたとえ地味な清掃であっても、著者のようにNHKから取材が来るような存在になれるわけである。

最初は、がむしゃらにやっていた清掃だが、ある時恩師から「優しさがない」と言われてショックを受ける。清掃における「優しさ」ってなんだか著者はわからなかったらしい。いかにも中国的な合理主義的考えによれば当然なのかもしれない。そして著者はその意味を理解していく。清掃とはプロがお金をいただいて行うもので、これに対し、掃除とは自分の家などを自己満足のレベルで行うこととする。こう言う考え方もプロならではと言える。

自分のやっている仕事は、果たしてプロと言えるレベルだろうか。日本一と言えるくらいのものだろうか。そう言う「パッション」を持ってやっているだろうか。ついつい流されがちになる日々であるが、どんな仕事でも一流と胸を張れる仕事をしたいと改めて思う。
たかが掃除とバカにするなかれ。自分がやったらこの人を超えられるだろうか。今の自分の仕事もそんな意識でやりたいと、改めて思わされる一冊である・・・


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2016年12月14日

【ビジネス・フォー・パンクス−ルールを破り熱狂を生むマーケティング−】ジェームズ・ワット



原題:BUSINESS FOR PUNKS

1章 戦う自由人のための起業論
2章 未来を見る反逆者のための財務論
3章 迷える子羊のためのマーケティング論
4章 新時代の破壊的パンクのためのセールス論
5章 野望に燃える海賊船長のためのチームビルディング
6章 ひたむきな自由人のための時空論
7章 パンク起業家の頭の中

著者は、イギリスで2007年にクラフトビール製造会社「ブリュードッグ」を創業した人物。設立から毎年黒字を計上し、創業者2人と犬一匹で始めた事業は売上高3万ポンドから今や5,000万ポンド(70億円)に至り、従業員も800人以上になっているという。スコットランドの寂れた工業団地の一角にある倉庫で創業した会社が成功を収めた要因は、パンクの精神と哲学だというが、それを語った一冊である。

会社を始めるには、確かな意義=使命が必要だとするが、その使命は「自分たちと同じくらい世の人々をうまいビールに夢中にさせる」ことだという。実にシンプルでわかりやすい使命である。起業にあたっては、自分が情熱を注げる事をしよう、明確な使命を持とうというが、これはどんな事業でも普遍的に当てはまる事だと思う。

パンクロックとは、ただやかましいだけというイメージしかない私には、「パンクロックの精神」なんて言われてもピンとこない。しかしながら、それは「規制秩序の破壊、権威の否定、体制への反抗、虚飾がなくストレート」と解説されと、なんとなくしっかりとしたイメージになってくる。「人の話など聞く必要はない」「自己流でやるべき」「事業計画なんて時間の無駄」などという主張は、それらしい。しかし、それらの特徴は、実はビジネスにはピッタリだとも思う。

「ブリュードッグは商売ではなく、革命」だとする。立ち上げから数年は、売上高を大きくするより、全人類が手を伸ばすような世界レベルのビールを作ることだけに力を入れ、営業は忘れたらしい。このあたり「いいものを作ってさえいればいい」として、売る事を考えなくて衰退した職人の失敗とは相対立する考え方だ。まぁ、真理は必ずしも一つではない。

「顧客ではなく、ファンを作れ」ということは、これができれば強いだろうと思う。事実、ブリュードッグは資金調達に際し、自社のウェブサイトで株を売る手法を取り入れたという。そして3万人以上から1,500万ポンド(20億円)を集める。こういう株主は、まず株を売らないし、著者も「投資家とは思っていない、コミュニティーだ」と語る通り、これほど強力で確実な資金源はないと思う。

さらに販売活動には3つのルールを設けているという。
1. 商品に集中する
2. 隠さずに誠実に
3. 価格競争はしない
そんなところも、強固な支持層を作っている所以かもしれない。

そして何より「社員が愛着を感じないような事業では顧客はそもそも見向きもしてくれない。まず社員のことを考え、顧客のことはその次に考えればいい」とする考え方には、激しく同意してしまう。顧客のことを考えれば、なおさらであると思う。

事業であるから、苦労・困難はあったと思う。しかし、そこは「冷徹な楽観主義」で乗り越えたようである。「問題なんて問題じゃない」「本物の難題に直面している時にしか本当の人格は見えてこない」「自分を信じ、妥協せず、勇気を持って自分のアイデアで信念を実現する」これらの言葉は、困難に陥った時に勇気を与えてくれそうである。

タイトルにあるパンクだが、あまり意識しなくても普通に心に入ってくる。一つの考え方であって、起業に対する情熱は特殊なものではなく、誰でも持とうと思えば持てるものである。サラリーマンであっても、その精神は真似できるであろう。
ブリュードッグのクラフトビールを飲んで、著者のパンクの精神を味わってみたいと思わせられる一冊である・・・

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2016年12月10日

【キネマの神様】原田マハ



友人に勧められて手にした一冊。
主人公は、大手企業の管理職にあった円山歩。しかし、失意のまま退職し、ちょうどマンションの管理人をしていた父が入院したこともあり、臨時に管理人の仕事を手伝っている。父はギャンブルと映画をこよなく愛し、妻と娘には迷惑をかけ通し。入院してもなお、行きつけの名画座「テアトル銀幕」で何が上映されているかが気になる有様。

この父親がもう一人の主人公と言えなくもない。7歳の頃からすでに映画を観はじめたという筋金入りの映画好き。映画館には「キネマの神様」がいると語る。これがタイトルの所以。そしてギャンブル好きはもはや病気であり、今回も入院代などを知人らに借りた挙句、麻雀につぎ込んで負け、300万円の借金を作る。

しかし、そんな父ではあるが、その父がネットに投稿したことから、歩は映画の出版社である映友社に再就職することになる。映友社は、映画業界では老舗であるが、映画雑誌の販売部数は落ち続け、凋落し続けている。そんな映友社には、社長兼編集長の高峰好子がいて、3人の社員がいる。テアトル銀幕の支配人寺林新太郎(通称テラシン)、歩の後輩清音、高峰好子の引きこもりの息子興太と登場人物たちが出揃うと物語は動いていく。

きっかけは、歩が父にインターネットの使い方を教えたこと。長年のキャリアから織りなす父の映画評は好評を博していく。タイトルからもどっぷりと映画に浸かったストーリー。映画好きには余計に興味深い。父の書評も「フィールド・オブ・ドリームス」など観たことのある映画だと、そのシーンが脳裏に浮かんでくる。次々と採り上げられる映画を「観た、観た」と思いながら読んでいくのは、それだけで楽しい。

登場人物の一人、テラシンが支配人を務めるのは、名画座。ロードショーの終わった映画を二本立てで上映している映画館で、昔はあちこちにあった。物語で登場する実在の名画座「シネスイッチ銀座」にも行ったことがあるし、池袋文芸座もしかり。今はDVDで簡単に観られるようになり、かくいう自分もそれが主流となってしまっている。映画と名画座への愛が溢れるこの本を読むと、ちょっと反省させられる。

さすがに友人が勧めてくれただけあって、ラストでは涙腺が緩んでしまう。物語で、ゴウとローズバットが人生最良の映画としていたあの映画をもう一度観てみたくなった。
映画好きであれば、それだけで一読の価値はある一冊である・・・



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2016年12月08日

【空気のつくり方】池田純



第1章 最下位なのに満員なのはなぜ?
第2章 顧客の空気を知る
第3章 世の中の空気を知る
第4章 組織の中に戦う空気を作る
第5章 コミュニケーションのつくり方
第6章 センスの磨き方

著者は、横浜DeNAベイスターズの社長。DeNAが球団を買収したのを機に、2011年から就任しているとのことである。そのベイスターズは、今年とうとうクライマックスシリーズに進出。読売ジャイアンツを破ってファイナルステージに進出した。結果的に広島に負けたものの、これまで5位・6位を行き来していた事を考えると、大いなる飛躍である。

しかし実はそんな飛躍以前に、著者が社長に就任以来、観客数は65%増加し、年間の赤字は24億円から3億円へと減少し(今期とうとう黒字化したようである)、チケットは手に入りにくいプレミアムチケット化したらしい。ちなみにプレミアムチケット化しているのは、セ・リーグではジャイアンツと広島、パ・リーグではソフトバンクだけらしい。チームの戦績を考えると奇跡のようである。そんな奇跡を演出した内側を紹介した一冊である。

チームが勝てない中、集客を伸ばした原因は、以下であるという。
1. 顧客とのコミュニケーション
2. 経営の革新性・透明性
3. 横浜に密着したブランディング
特に2は、新しいことに挑戦し、その経緯を透明にしたとのこと。個人的にはこの部分は心惹かれるものがある。具体的にはハマスタ(横浜スタジアム)のTOBが挙げられている。詳しくはないのであるが、普通球団とスタジアムの運営は分かれているとのことであり、これは前代未聞の取り組みであったらしい。外から来た故に、「業界の常識」にとらわれない自由な発想ができたのであろう。

新しい取り組みに関しては、業界に馴染んだ人から反発が出るもの。しかし、過去の例、数字に囚われていてはビジネスはスケールしないと当然のごとく語る。大切なのは、今流れている空気だという。この「空気」こそが著者のキーワード。この空気を元気にし続けるには、KPI(Key Performance Indicators)が最も重要とする。(そういえば大前健一もKPIについて語っていたと思い出す)そしてクラスター分析の結果、ターゲットを「アクティブ・サラリーマン」と定義する。

野球といえば、ビール片手に男たちが観戦するものというイメージだが、野球の試合を観るためにスタジアムに訪れるのではなく、「野球をつまみに友人や家族と楽しい時間を過ごしてもらう」という風に変えたのだという。そうなると、競合は他球団ではなく、映画館や居酒屋やコンサートとなるわけで、こういう考え方が成功の要因なのだろうと思う。実に参考になる考え方である。

著者はまた読書家でもあるようである。その読書の幅は多岐にわたっていて、手当たり次第本を買っているそうである。これは、一見無関係でもどこにどんなヒントが隠されているかわからないというかららしいが、まさにここは我が意を得たりの感がある。私もかなりの乱読家だと自覚しているが、それはまさにそういう意図からである。

社員との対話を重視し、一人一人とたっぷり30分時間をとって面接。そして自分の考え、会社の方向性を的確に表現する方法を常に探し、過不足なく正しく伝える。そうした積み重ねが会社の空気を作っていくとの事で、まさにその通りなのだろうと思わせられる。

試合終了後は、なんとなく「蛍の光」を流すのではなく、いろいろ考えて「ホーム・スゥィート・ホーム」を流しているという。こういうささやかなところにも妥協がない。本当に無駄なことにはブレーキをかけつつ、有益な無駄な遊びには寛容でいいとする。ベイスターズラガー、ベイスターズエールというビールを作り、地元とともに繁栄を目指す。なんだか、ハマスタへ行って野球が見たくなってしまった。

こうした経営改革モノは個人的には大好きである。自分も目指しているところでもある。そんなサラリーマンとしての自分の力量を上げていくにも、いろいろとヒントにあふれた一冊である・・・




posted by HH at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする