2017年04月07日

【セブン-イレブン1号店繁盛する商い】山本憲司



第1章 十六坪の出発
第2章 日々是発見
第3章 コンビニ商いの鉄則
第4章 接客の心得
第5章 一所懸命

 タイトルにある通り、著者はセブンイレブン1号店の経営者。すでにいろいろなところでこの1号店(日本のコンビニ1号店でもある)の話は取り上げられているが、改めてご本人の書を手に取る。なんでも事あるごとに書き溜めていたメモを元にしたもので、著者なりの商売心得帖が小冊子になり、本書になったという。一読してわかるが、そういうメモをとるところからも商売熱心さが伝わってくる一冊である。

 1号店のオープンは、1974年5月15日。最初の売り上げは、開店前の午前6時半過ぎに来たお客さんで、当時アメリカのセブンイレブンで売れ筋だったサングラスだったという。初日の来客の中にはダイエーの中内社長の姿もあり、ダイエーは翌年大阪にローソン1号店をオープンさせている。そんなエピソードが面白い。

 著者はもともと酒屋の長男で、明治大学経営学部の2年時に父親の健康状態が悪くなり、店を手伝うようになる。そしてそのまま父は帰らぬ人となり、著者は大学を辞めて経営に専念する。しかし、不慣れな若者の経営であり、また事業の将来性に対する不安もあり、様々なセミナーに参加するうちにコンビニの存在を知り興味を持つ。そしてイトーヨーカ堂がセブンイレブンをスタートさせると知ると、手紙を書いてフランチャイズに手をあげる。

 経営学部という素地があったのかも知れないが、こうしてアンテナを張っていた事がその後に繋がった訳で、日々目の前の仕事をただこなしているだけだったら現在はなかっただろう。そしてその熱意が認められフランチャイズ候補となるが、「結婚をしていないとダメ」と言われて親友に頼み急遽相手を探して結婚する。このエピソードにはちょっと驚きを感じる。そして母の後押しを受け、当時大金であった2,200万円の借金を背負ってスタートする。かなりのリスクテイクである。

 最初の研修では、1日3万円の費用を払って研修を受ける。質問責めで2時間も時間オーバーしたというから、その熱意たるや凄いと思う。そしてオープン後は、1日の睡眠時間が3〜4時間だったという。それでも苦痛に感じることはなく、むしろ不安だったのはいくら売り上げ、適正経費はどのくらいで利益はどのくらいがいいのかわからないことだったという。全く手探りな中で、24歳の若者が奮闘努力する様に胸が熱くなる。

 当時は夜開いている店などなかったわけで、それでも風呂の帰りにビールとつまみを買っていく客がいて、それがセブンイレブンのフランチャイズ戦略を変える発見だったり、ロックアイスやプルトップ缶の需要を発見したり、本部と一体になって新しい事業を進めていくが、このあたりは創業物語特有の面白さがある。特に欠品に対する意識は強く、「コンビニ経営の成否は(欠品を出さない)発注にあり」とまで言い切る。「少数だけど売れる商品を買うのは常連、期待を裏切って他店に行かれたら大きな損失」という意見はなるほどと思わされる。

「日々が仮説と検証の繰り返し」という努力の姿勢は志の4原則に現れている。
1. 情熱(この仕事が好きだと感じているか)
2. 努力(店で日々創意工夫をしているか)
3. 継続(お客様にとって良いことだと思ったらたとえコストがかかっても続けることができるか)
4. 勇気

 何事も一番最初というのはリスクがあるものの、うまくいけばずっと語り継がれることになる。これからも「日本のコンビニ1号店」「セブンイレブン1号店」の称号は永久に残るだろう。そしてそれは「たまたま」、「偶然」というものではなく、著者の努力がもたらしたものだということがわかる。それはその後の「日々が仮説と検証の繰り返し」という姿勢にも現れている。何かを成し遂げた人には何かがある。その思いを補強させてくれる。

 立場に関係なく、何かを成し遂げたいと思う人なら、読んでおきたい一冊である。



posted by HH at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする