2017年06月29日

【あなたの人生の意義】デイヴィッド・ブルックス



原題:The Road to Character
はじめに アダムII
第1章 大きな時代の変化
第2章 天職 フランシス・パーキンズ
第3章 克己 ドワイト・アイゼンハワー
第4章 闘いの人生 ドロシー・デイ
第5章 自制心 ジョージ・マーシャル
第6章 人間の品位 ランドルフとラスティン
第7章 愛 ジョージ・エリオット
第8章 神の愛 アウグスティヌス
第9章 自己省察 サミュエル・ジョンソンとモンテーニュ
第10章 大きい私 

 著者は、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト。本書は、ビル・ゲイツが「2015年に読んだ本ベスト6」の筆頭に選んだことで話題になり、ベストセラーにもなったと言う。そんな評判を耳にして手にした一冊。邦題のサブタイトルに「先人に学ぶ『惜しまれる生き方』」とあるように、人間の内面の重要性を説いた本である。

 はじめに、人間の美徳には2種類あると説く。「履歴書向きの美徳」と「追悼文向きの美徳」である。どちらが大事かと問われれば、たいていの人は後者と答える。しかし、現代の教育制度をはじめとして、メディアも世間の関心も前者に向けられている。ジョセフ・ソロウェイチックは、前者をアダムI、後者をアダムIIと分類している。アダムIは、職業的な成功でアダムIIは、道徳的な成功である。

 この本は、アダムIIに関する本であると著者は定義する。「私はこの本を自分の心を救うために書いた」とし、過去の偉人の人生を手本としてそれを明らかにするのが目的とされる。そしてその通りに、偉人たちがその人生とともに採り上げられる。それによって、読者には「良い人間になりたい」「この人のように生きたい」と言う気持ちに火がつくことを期待しているとのことである。アメリカでも、「自分のことを重要な人物と思うか」と言う質問に対し、1950年前後には12%だったのが、1989年には男で80%、女で77%にもなったと言う。そう言う謙虚さがなくなっていると言う危機感が背景にはあるのであろう。

 そして、フランシス・パーキンズから、モンテーニュまで10人の偉人が採り上げられる。10人の偉人たちが偉人であることは間違いない(半分は知らなかったが・・・)。ただ、著者はその人生を淡々と要所だけ解説し、さらに真理と思われる事項の解説をその合間に挟む形で話を展開する。その結果、話のアウトラインはわかるものの、登場人物たちに対する感情移入があまり沸き起こらない。

 例えば、フランシス・パーキンズは、ロビー活動により労働時間を週54時間に制限し、社会運動を天職として、のちにルーズヘルト大統領に請われて労働長官になっている人であるが、その人生を語るのに、合間にはフランクルの「大事なのは私たちが人生に何を求めるかではなく、人生が私たちに何を求めるか」といった言葉を紹介したりし、教訓めいた解説が挿入されている。言いたいことは伝わってくるが、フランシス・パーキンズに対する共感が湧いてこないのである。

 以下も同様。
「罪が罪によって大きくなる」
「底の浅い人間は、自我というごく狭い世界の中だけに生きている。だが、愛を知った人は真の豊かさが自分の中にではなく、外側にあるといったことに気づく」
「人間は強い感情が湧くとその感情を消すために行動することが多い。飢えていると感じれば何かを食べて満腹になろうとする・・・・・・・しかし悲しみだけは例外で、悲しみは悲しみを生み悲しみにくれる人間は悲しみを消すべく行動せず、悲しみだけが積もっていく」
こうした言葉は、なるほどと思わせるものであるが、偉人たちの人生への共感には繋がらない。

 偉人たちの共通点は、みんなそれぞれに欠点を抱えていたが、それぞれの欠点と闘い、困難に直面するとそれを機会に人間性を磨き成長したということ、そして全員謙虚であったことだという。個人的には、こういう「偉人に学ぶ」形であれば、『運命を開く』のように、1人の人物を徹底して追って行くタイプの方がずっといいような気がする。偉人たちがよくないというのではなく、あくまでも共感性の話である。

 誤解のないように言えば、この本が示唆するところは全く同意できるが、ただそれを「偉人に学ぶ」という割には、共感性がわかないというだけのことである。伝えられているメッセージはよく理解できたと考えている。ある意味理想に生きる生き方であり、普段からの意識が大事。それを改めて認識したのは事実である。
そういう意味では、自分もかくありたいと思わされる一冊である。



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2017年06月27日

【応仁の乱−戦国時代を生んだ大乱−】呉座勇一



第1章 畿内の火薬庫、大和
第2章 応仁の乱への道
第3章 大乱勃発
第4章 応仁の乱と興福寺
第5章 衆徒・国民の苦闘
第6章 大乱集結
第7章 乱後の室町幕府
終 章 応仁の乱が残したもの

 基本的に歴史好きである自分は、面白そうだと思うものにはなんでも手を出す方である。この本もタイトルを見ただけで即、読むことにした次第。その理由としては、歴史の授業でも学んでいて有名であり、後の戦国時代へと繋がったという事件である割に詳しいことを知らないということである。そんな興味を持ちつつ、ページをめくったのである。

 はじめに、著者自身、「応仁の乱が日本社会に残したものは何だったのか」記したいとしている。まさに自分が願った通りの狙いなわけである。応仁の乱は難解だと言われているらしいが、その理由は「なぜ戦乱が起こったのかよくわからないし、最終的に誰が勝ったのかもよくわからない」からだとする。そんな戦乱を、著者は時代を少し前に遡って丁寧に描いて行く。

 応仁の乱の38年前の1429年、奈良にある興福寺大乗院衆徒の豊田中坊と興福寺一乗院衆徒の井戸氏とが対立し、合戦へと発展する。これが大和永享の乱であるが、南北朝時代が終わったあと足利将軍は第8代義教の時代、畿内は火薬庫状態であったところに起こった事件であったらしい。これが結城合戦へと繋がり、やがて嘉吉の乱では将軍義教が暗殺されるという事態にまでなる。こうなると、将軍家の威光も地に落ちている。

 そして大乱直前には、伊勢貞親を中心とする将軍義政の側近グループと、これと敵対し義政の弟義視の将軍就任を支援する山名宗全をリーダーとするグループ、そしてその中間の細川勝元をリーダーとするグループの3つの勢力が対立するようになる。要は、将軍継承問題をめぐる争いであるが、これが御霊合戦へと進む。将軍義政による停戦命令が出され、細川勝元と山名宗全は一旦従うも再び戦火が上がる。

 これが細川勝元を東軍とし、山名宗全を西軍とする勢力の衝突であり、応仁の乱がスタートするのだが、当初は東軍側に大義名分もあり兵力も多かったが、やがて西軍に足利義視が寝返り、西幕府を宣言したことからややこしくなる。さらに井楼(物見櫓)や御構という陣地による要塞化といった戦法の変化が、乱が長期戦と化していった背景だと語られる。また、この時代に足軽が誕生したらしい。

 応仁の乱を著者は、第一次世界大戦と類似していると言う。それは、
・新興勢力(山名宗全=ドイツ)が覇権勢力(将軍家=細川勝元=英仏)に挑戦した戦いであったこと
・最初から全面戦争を意図していたわけではなく、共に短期決戦を志向していながら長期戦化したこと
・最後は補給路を絶たれた方が破れていること
などである。なるほど、面白い比較だと思う。

 一応、東軍に軍配は上がった形となるが、勝った東軍も内紛が起こり一枚岩が崩れていく。そして中央の将軍の力が衰え、その取り巻きである参戦大名も没落していく。そしてそれ以外の各大名は、京都から地方の支配地へ戻り統治力を高め、これが後の「戦国大名」となっていく。まだ、織田信長も豊臣秀吉も徳川家康も出てこない時代。何となく漠然とした時代の雰囲気がよく伝わってくる。

 正直言って、登場人物の数が多くとても覚えきれない。読んでいても誰と誰がどういう関係でというのが複雑化していき、読んでいてわからなくなることしばしば。多分、一ヶ月くらいしたら忘れてしまいそうである。気がついたらベストセラーになっている本書だが、なぜそうなったのか正直よくわからない。まぁ、大まかな流れは理解できるし、面白いことは面白い。歴史好きにはいいだろうと思う。
 
 戦国時代へと繋がる時代の雰囲気がよく伝わってくる一冊である・・・



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2017年06月19日

【幻庵(上) (下)】百田尚樹



第1章 鬼因徹
第2章 仙人の碁
第3章 天才少年
第4章 桶狭間
第5章 両国小町
第6章 天保の内訌
第7章 吐血の局
第8章 黒船来航

久しぶりの百田尚樹の小説。いつもいろいろな分野で小説を書かれているが、今度は囲碁の世界。囲碁はもともと中国発祥のものであるが、江戸時代の日本では中国のレベルを凌駕する発展を見せたという。その発展の舞台となった江戸時代後期が物語の舞台。それを担ったのは、「本因坊家」「井上家」「安井家」「林家」の4つの家元。当時の囲碁事情が語られる背景の話が興味深く、例によって小説を読み進むうちに囲碁に詳しくなっていく。

主人公の幻庵は、幼名は吉之助。服部家の当主で、後に「鬼因徹」と異名を取った服部因淑にその才能を見出され、弟子入りする。しかし、この小説の変わったところは、主人公を中心に追って行くのではないところ。前半は、吉之助が弟子入りすると、あとは当時の囲碁界の状況説明が続く。本因坊家では、碁界中興の祖と言われた名人察元が出て、その後烈元、元丈と続く。元丈には安井家の知得というライバルがいる。この2人はそれぞれ名人となるべき腕前を有していたが、名人になれるのは1人だけであったため、2人とも名人になれずに終わる。

本因坊家は元丈の跡目候補として智策という名手がいたが、病に倒れその地位を丈和に譲る。丈和は典型的な大器晩成型。智策亡き後の本因坊家で、跡目候補がいなくなったにもかかわらず、当主の元丈は丈和に対する不安感からなかなか跡目に指名しない。そして丈和は、後に幻庵となる因徹との数々の勝負を経て、ようやく跡目に指名される。しかし、そこから実力を発揮し、囲碁界最高峰の名人位を目指す因徹の前に大きな壁として立ちはだかる。この2人の対決が、物語の主軸となる。

囲碁の歴史を学びつつ、当時の実力者たちの対決が語られて行く。当時の棋譜はかなり残されているようで、その戦いぶりは現代でも「観戦」できる。それが碁の面白いところなのかもしれない。そしてそれに現代の囲碁界のプロの解説が加わったりするので、素人にもなんとなくの雰囲気はわかる。盤面の戦いは、「ハネる」「ツケる」「ノビる」「スベリ」など専門用語がならび、素人には何が何だかわからない。実際の碁面も載せられているが、もちろんそれを見ても何が何だかわからない。ただ、その迫力だけは伝わってくる。

当時の実力者たちの腕前は、現代でもすごいそうである。本因坊道策などは、今でも「史上最強の棋士」と現代の実力No.1の方も語るほどである。しかし、現代と当時とでは、「時間制限」という違いがあるという。現代は持ち時間が決まっていて、その制限内で打たないといけないが、当時は無制限。長考となれば1日では終わらず、「打ち掛け」が宣言されると翌日以降に持ち越されたらしい。この小説でも、何日にもわたる対局が描かれている。

当時の名人は、比類なき実力を持っているとみんなが認めてなれたという。したがって、四家のうち、1つでも反対があれば名人にはなれない。しかし、そういう異議に対し、実力で認めさせるという「争碁」の制度もあり、それがこの物語でも出てきて、ストーリーを盛り上げる。時代は外国船が来航する騒乱期、名人の座を目指す幻庵の戦い。実在の人物なだけに、ググれば物語の結末もわかる。ついついそういう誘惑に耐えながら読み進めて行く。

それにしても、著者がなぜ幻庵を主人公にしたのかはとても興味深い。他にも主人公になりそうな人物がゴロゴロいるのである。幻庵では不満というわけではないし、この小説も面白かったのではあるが、是非とも聞いてみたいところである。
小説以外の政治的なところで注目を浴びる著者であるが、小説はやっぱり面白い。これはこれで書き続けて行って欲しいと心から思う。

早く次が読みたい。またもそう思わせてくれる一冊である・・・




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2017年06月15日

【一言力】川上徹也



第1章 要約力
第2章 断言力
第3章 発問力
第4章 短答力
第5章 命名力
第6章 比喩力
第7章 旗印力

著者はコピーライター。タイトルの「一言力」について、著者は「短く本質をえぐる言葉で表現する能力」と定義する。一言主という「良いことも悪いこともすべて『一言』で言い表す神様」の話など紹介し、いかにもコピーライターらしい話なのだと思わせてくれる。そんな一言で本質を言い表すのに必要な能力を著者は7つ提示する。それが各章になっている。

最初の『要約力』は、文字通り短くまとめる能力。「言葉メタボ」「言葉のダイエット」などの言葉は早速ながら面白いと思う。このうち「具体的要約」について、ヤフートピックを紹介してくれる。ニュースを13字で要約しているヤフーのトップページでおなじみのやつである。例えば桃太郎の物語を13字で要約する。
「桃太郎、仲間と鬼退治に成功」
なかなか見事である。

これを「抽象的要約」にすると、
「少年が仲間と旅立ち何かを得る」
とする。そしてこれは商品企画などに応用できるとする。なるほど、である。この要約力を鍛えると得られるものは、
・仕事において何が重要かわかる
・上司や得意先の求めているポイントが何かわかる
・仕事をどのように進めて行くのが効率的かわかる
とする。話し言葉を15秒で要約する習慣をつけるというのも参考になる。

『断言力』は、
「会議を始めたいと思います」→「会議を始めます」のようにすること。「断言はサービス」という考え方が新鮮である。断言することはリスクを負うこと、リスクを負って断言するからこそアドバイスする意味があるというのは、納得である。
『発問力』は問い掛け。意見が対立した時や思いが伝わらない時、一言で視点やその場の空気を変えることができるとしているが、これは自分の経験からもよくわかる。スピーチの冒頭を質問で始めるのもツカミとしては有効だという。

『短答力』は、受けの妙。その面白さは、「視点が面白い」「表見が面白い」に分けられる。これが身につくと、かなり強力だ。ネーミングでは、3つのS(ショート、シンプル、ストレート)が大事だとする。
『比喩力』は、「距離が遠いものの中に共有点を見つけることが、第一歩。
『旗印力』で問われる「刺さるスローガン」は、「短く」「優しく」「覚えやすい言葉で」が基本だとする。

さすが普段から考え、鍛えているだけにためになる。読んだだけではすぐに身につくものではないが、やはり普段からの心がけが大事だろう。こういう本を手に取ったということは、すなわちこういうことに興味があること。「余計な一言」は得意だが、「相手を唸らせる一言」をこれからはぜひ身につけたい。そのためにも、ここに書かれている基本は意識してみたいと思う。そんな興味深い一冊である・・・


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2017年06月14日

【なぜあなたの仕事は終わらないのか】中島聡



1. なぜ、あなたの仕事は終わらないのか
2. 時間を制する者は、世界を制す
3. 「ロケットスタート時間術」はこうして生み出された
4. 今すぐ実践 ロケットスタート時間術
5. ロケットスタート時間術を自分のものにする
6. 時間を制する者は、人生を制す

著者は、もともとプログラマーとしてマイクロソフトでWindows95の開発に携わり、ドラッグ&ドロップ、右クリックの概念を現在の形にした人物であるという。現在は、起業した会社の経営をしつつ、『Life is beautiful』というブログをやっているブロガーでもあるらしい。マイクロソフトを退社する時には、CEOのスティーブ・バルマーが慰留に来たというし、ベンチャー・キャピタルが150万ドル出資してくれるほどであったというから、相当な方のようである。

そんな著者が語る時間術。まずはダメな例として、「ラストスパート志向」の人が紹介される。著者の部下にいたらしいが、これは文字通り締め切り間際になって徹夜をしたりしてラストスパートで仕事を終わらせようとするタイプで、著者の部下以外にも一般的なような気がする。原因は、最初の見積もりで、テストで言えば後半の難しい応用問題を甘く見て、最初の簡単な問題をのんびりやるからだと言う。この例えはわかりやすい。試験対策としては、最初に全体を見ての時間配分であることは経験上わかっているから、なお分かりやすい。

上司の指示も問題になると言う。「なるはや病」なるものが紹介される。これは「なるべく早くやってくれ」と言う時間の期限が曖昧な指示。著者は「なんの根拠もないただの形式的なもの」と言うが、ここは疑問に思う。「なるはや」の指示を出す立場としては、部下の手元の仕事量を慮るからだ。「早くやってほしいけど、急ぎの仕事があるならそれを優先して良い」と言う意味で、これはこれで立派な根拠がある。

一方、ミズーリ州の病院の例が印象に残る。手術の予定が常に狂うのが日常で、これを改善するには@医師の残業を増やすA手術室を増やすかと考えられるところだが、この病院は「手術室を常に1つ開けておく」という解決策をとってうまくいったという。スラックと呼ばれるたるみ、つまりバッファーであるが、それを持つことによって改善したということは、個人的に感じた大きなヒントである。

仕事が終わらない理由は、@安請け合いしてしまうAギリギリまでやらないB計画の見積もりをしないであるとする。そして、著者は自身の経験をもとに、プロトタイプを作る効果を再三強調する。多少のバグを無視してとりあえず大枠を作る。Windows95は、発売当時3,500のバグがあったという。待ち合わせの30分前にスタバでコーヒーを飲むという著者のスタンスも大事だろう。

著者はさらにこの本で、「ロケットスタート時間術」なるものを提唱する。
・まずは時間は絶対に守るものと考える
・最初の2日間でほぼ完成まで持っていく
というのがその考え方で、余裕がある(最初に)全力疾走し、締め切りが近づいたら流すという。早く仕上げても次の仕事を振られるので、忙しくなるだけという説明には苦笑してしまう。ちょっと心が軽くなる。

時間術もさることながら、著者の考え方も参考になる。
・仕事は頼まれなくても自分から喜んで残業するほど楽しいかどうかで選ぶべき
・やりたい仕事があったら上司に頼む前にまずやってみる
・今やっている仕事の中で、本当にやりたい仕事につながる共通点を見つけ出す
・「無理だ」という人の多くが、実はそのことについて実際にはほとんど何も調べていないし、考えてもいない
・自分がやりたいことが何なのかわからない人は先人に聞く

「好きなことをやる」ということは、あちこちでいろいろな人が主張している。それを否定するつもりはないが、なかなか難しいと思う。それよりも今やっていることを好きになる方が早い気もする。自分に当てはめてみると、そう思うのである。
「時間術」というよりも、仕事のやり方全般についての著者なりの経験に基づく話と理解したい一冊。昼寝は18分が良いというところも参考になる。
それなりの実績のある人の話はやはり為になると改めて思う一冊である・・・




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2017年06月09日

【むだ死にしない技術】堀江貴文



序 章 あなたは、むだ死にするかもしれない。
第1章 むだ死にしたくなければ、ピロリ菌に気をつけろ。
第2章 むだ死にしたくなければ、リスクを恐れるな。
第3章 むだ死にしたくなければ、「忙しい」を言い訳にするな。
第4章 むだ死にしたくなければ、歯医者に行け。
第5章 むだ死にしたくなければ、QOLを意識しろ。
終 章 これからの生存戦略と医療

 ホリエモンの本は読んでもハズレがないのだが、この本のタイトルを見た時は、正直読むかどうしようかと迷った。これまでの著書と毛色が違うように見えたからである。いろいろとやっている人だから、それでも何か得るものがあるかもしれないと手にした次第。

 「むだ死に」とは刺激的なタイトルであるが、「予防できる手段があるにもかかわらず何の手も打たずに病気にかかって命を落としてしまうこと」だとする。そして、「むだ死にしない技術」とは、最新の予防医療に基づいた知見だとする。これまで情報、働き方、時間、ライフスタイルとあらゆる面でむだを省き「最適化」してきた著者が、今度は医療・健康を最適化しようというらしい。そして、すでに「予防医療普及委員会」なるものを立ち上げているという。

 日本は、平均寿命が長くなる一方で、病気を事前に予防するという意識が諸外国に比べ極端に薄いという。そんな中で、ホリエモンがまず取り上げるのが「胃がん撲滅」。胃がんはその99%がピロリ菌による感染症が原因だという。よってピロリ菌の有無を検査して早めに対策をとれば胃がんで死ぬ人は格段に減るとする。確かに、それほど明確ならやらない手はない。

 日本人は、健康志向なのに予防には無頓着だというが、我が身を振り返ってみてもそれは事実だと思う。これは国策で矯正しないとダメだと著者は語る。アメリカでは、民間の保険会社が大腸がんの抑制のために内視鏡検査を受けた人と受けない人とで保険料に差をつけたところ、(みんなが検査を受けて)あっという間に大腸がんの死亡率が激減し、今や日本人よりも患者数が少なくなったのだとか。これは重要な事実である。

 そうした事実を受け、ホリエモンは保険組合の民営化を主張する。市場原理が働くことによって効果があるとする。共産党あたりは反対しそうだが、理屈的には正しいと思う。胃がんで毎年5万人が死ぬのに、ピロリ菌の検査をする人は10%だという。本人が発症しなくとも子や孫に感染させることもあるというから、これは何もしないのは罪である。除菌に健康保険がきくのは世界で日本だけだというし、やらない手はない。「ABCリスク検診」というのがあるらしい。

 もう1つ強調されているのが、歯周病。大人の80%が放置しているという。いろいろな病気の元になるらしく、歯磨きだけで予防は無理らしい。パーフェクトペリオという機能水でのうがいがいいらしいが、これも意識したいところである。ホリエモンとしては、視力矯正もレーシックをやったという。見えないストレスから解放されたかったらしい。こちらもICLという視力矯正が紹介される。米軍兵は国の予算で手術を受けられるらしい。50代で老眼が始まると多焦点レンズというのがあるらしい。

 興味を持って目を向ければ、いろいろと見えてくるのだと思う。「健康は大事」と頭ではわかってはいるものの、ではそれに対して何をしているのかと問われれば何もしていない。それではいけないのだと改めて思う。もう中年のいい歳だし、これからは少しずつ具体的なアクションを起こしていこうと思う。まずは今度の健康診断でピロリ菌検診だ。
 いいきっかけにしたいと思える一冊である・・・



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2017年06月08日

【えんぴつの約束 一流コンサルタントだったぼくが、世界に200の学校を建てたわけ】アダム・ブラウン



THE PROMISE OF A PENCIL
1 ひとと違う道を歩む
2 居心地のいい場所を出る
3 生かされている意味を知る
4 一本の鉛筆で変わる人生もある
5 名刺ひとつで大きなことができる
6 ツーリストは見物し、トラベラーは模索する
7 許可を求めない
8 ひらめきをつかみとる
9 大きな夢も、理由のない小さな行動からはじまる
10 信用は日々作られる
11 夢を口に出してみる
12 目的を持って歩く
13 幸せとは、だれかを祝うこと
14 不可能に発奮する仲間を見つける
15 ひとりだけに語りかける
16 啓示を読み取る
17 つながるために離れてみる
18 最終決定者からイエスを引き出す
19 モノよりも志に従う
20 本物になる
21 第一印象は取り消せない
22 失敗と向き合う
23 フォローアップを忘れない
24 言葉を変えれば評価も変わる
25 明確な目標だけが現実になる
26 自分を向上させてくれる人の側にいる
27 弱さをさらけ出す
28 反響を増幅させる
29 怖くなるほど大きな目標を掲げる
エピローグ 語る価値のある人生を送ろう

著者は、世界の貧困地帯に学校を建てるという活動をしている「ペンシル・オブ・プロミス(POP)」という団体のCEOを務める社会起業家である。この本は、ベイン&カンパニーという有名なコンサルティング会社に勤務していた著者が、その安定した職を捨て、POPを設立して活動していく経緯を語った一冊。

著者がそうした活動に興味を持つのは、ホロコーストの生き残りである祖母の影響があるのかもしれない。学生時代には、騙されてアフリカから連れてこられた学生2人を両親が法的後見人になって世話をする。そんな経験もあるのかもしれない。そしてきわめつけは、「セメスター・アット・シー」という活動。これは各国から集まった学生が、客船で寝食を共にしながら世界を航海するというもの。著者はそこに参加する。

一行がインドに到着した際、著者は物乞いをしていた少年に質問をする。
「もしなんでも好きなものが手に入るとしたら何が欲しい?」
著者は、行く先々で子供達にこの質問をしていたそうである。そしてインドでの少年の答えに衝撃を受ける。少年の答えは、「えんぴつ」。
「ぼくにとっては書くための道具でしかない鉛筆は、その子にとって扉を開く鍵だった」と気づく。これがPOPへと繋がって行く。

大学を卒業した著者は、ベイン&カンパニーという有名なコンサルティング会社に就職する。そのまま行けば、大金を稼げていたに違いない。しかし、発展途上国で目にした子供達への抑えきれない思いから、POPの活動を始める。なんでもエクスターンシップという社外活動が認められており、最初はそれを利用する。しかし、やがて岐路に立たされる。両立できなくなったところで著者は、安定した職を投げ打ってしまう。

「できるだけたくさん稼いで、40代、50代で世の中を良くすることに使えばいい」と「まともな」アドバイスをしてくれる人もいたようであるが、著者は動いて行く。その後も破格のオファーを蹴ってしまったりする。フルタイムのスタッフも大口の寄付者のいない活動は、その筋から見ても足りてなかったようであるが、著者にはそれを上回る情熱がある。やはりこの情熱こそがすべてなのだと思う。

実兄が見出したジャスティン・ビーバーとデビュー前から交流があり、売れてからはそのネームバリューも利用できるという幸運もあったが、本人の活動ぶりはそれだけではないものがある。そしてラオスに建てた最初の学校は、ホロコーストの生き残りである祖母に捧げる。その後の活動で、現在は400以上の学校を建てているようである。様々な人との出会い、そしてその人々たちを活動に巻き込んで行く。たった1人の情熱が、大きなうねりとなって行く。

何より人を惹きつけたのは、理念だと思う。恵まれた環境を蹴って、苦難の道を行く姿は、アントレプレナーの鏡といえよう。自分も社会起業をしたいとは思わないが、何か少しでも社会の役に立つようなことはしたいし、ビジネスでは著者の情熱をこそ真似したいと思う。
学び多き一冊である・・・


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2017年06月02日

【99%の会社はいらない】堀江貴文



第1章 日本の会社はおかしいと思わないか?
第2章 仕事のない時代がやってくる
第3章 だから「遊び」を仕事にすればいい
第4章 会社ではない新しい組織のカタチ
第5章 会社に属しているあなたへ

 個人的には、ライブドア時代以上に今の方が活躍している感のある著者。その著作を読むことはいい刺激になっている。今回もそんな刺激を求めて手にした一冊。

 「99%の会社いらない」という意味であるが、これからの時代は「自分の時間をいかに生きるか」で幸せが決まるという。会社勤めをしながら自分の時間を生きている人は100人に1人くらいであり、残り99%の会社はいらない存在であるということらしい。この本では、「他人の時間に縛られる」会社を否定し、自分の時間で生きよと説く。忙しくても楽しければなんの苦痛もないわけであり、そういう意味ではよく理解できる。

 日本の社会は差別化を知らないと著者は語る。小学生の頃から「協調性の有無」を評価され、「世界で最も成功した社会主義国家」と揶揄される。そんな社会では、「相手と意見が違う」と「相手が嫌い」がごっちゃになっている。どんなに偉い人が相手でも、ホリエモンは「それは違う」とはっきり言うから、その場の空気が凍りつくこともしばしばのようで、だからそう言うことを感じるのだろう。自分もそれはよくわかる。

 日本の会社には異端の技術者や経営者が能力を発揮できる環境がないとし、「会社の中で出世するのは、新しいことに挑戦する人間ではなく無難な選択をする人間」と言う指摘もその通りだろう。そんな社会で、「自分の時間」を生きるには好きなことをしてマイナー&高収入を目指すのがよいとする。

 お金は時間を効率化させるツールであるという考えも著者は過去に読んだ著作でも語っていた。この本もライターに依頼して書いているという。言って見ればミケランジェロが工房で創作していたのと同じだと言うが、なるほど言われてみればその通り。ファッションすら得意な人に外注して選んでもらっていると言う。家すらなくホテル住まいというところまで行くと、そのライフスタイルを真似するのも難しい。

 好きなことを武器にするというが、それは例えばドローンで遊んでいた人が、いつのまにかドローンパイロットとして引っ張りだこになるとか、YouTubeにネタを投稿してブレイクした芸人さんとかの例が語られる。ブロガーとして収入を得られるようになった人もいるし、今はいろいろな可能性があると思わされる。

・失敗は当たり前、失敗したらすぐ忘れる
・毎日続けること、真似すること
・修行する時間があったら情報収集を
・とことんハマっていくと新しい展開が拓ける
著者ならではの気づきが、示唆に富んでいる。

 今は「堀江貴文イノベーション大学」というのを主催しているという。なかなか面白そうである。イノベーションを自ら起こすのは難しくとも、ムーブメントには2人目が大事というので、ここを狙う手もある。大事なのは、「ギブアンドギブの精神」だという。「相手の心を読む前に自分をさらけ出せ」と語る。一つ一つ響いてくる。

 毎日同じような日々を過ごしていると刺激が少なくなる。自ら刺激を求めていきたいと思うが、著者の本はそのいいキッカケとなる。これまでの本もそうであったし、この本もまたしかり。これからもウォッチしていきたい人物であると改めて思わされる一冊である・・・


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2017年06月01日

【ノモンハンの夏】半藤一利



第1章 参謀本部作戦課
第2章 関東軍作戦課
第3章 五月
第4章 六月
第5章 七月
第6章 八月
第7章 万骨枯る

 個人的には歴史好きである私は、「ノモンハン事件」にはもともと興味を持っていた。戦争に負けた日本であるが、この時点でそれまでの方向変換をすれば悲劇は避けられたのではないかと言われていたからである。そんな興味を持っていたゆえに、『昭和史』の著者の手による本書を見つけて迷わず手にした次第である。

 本書が始まるのは、1939年(昭和14年)である。この年、ヨーロッパではドイツがポーランドに侵入し、第二次世界大戦が勃発する。その前夜、日本は中国と泥沼の日中戦争を展開している。すでに防共協定を結んでいたドイツから急速な接近があり、「持たざる国(日独伊)が持てる国(英米仏)とのアンバランスを解消して世界秩序を打ち立てる」との考えで、日独伊三国同盟締結の機運が流れている。中国の天津では、イギリス租界に逃げ込んだテロ犯の引き渡しをイギリスが拒み、反英のムードが漂っている。

 ノモンハン事件といっても、その背景事情も重要だということが、本書を読んでいてよくわかる。特に日独伊三国同盟締結に関する動きは、本書の記述の多くを占めている。ヒトラーは犬猿の仲であるはずのスターリンに接近し、ソ連と英仏との連携をけん制する。この時期、英仏対独伊、独対ソ、ソ対日、日対中英ソという対立模様が各所に存在している。そして国内では、三国同盟を強固に主張する陸軍と、それに反対する天皇と海軍との対立構造がある。

 街角には「三国同盟即時締結せよ」などのビラが貼られ、世論は後押しムード。反対する海軍の先頭に立つ山本五十六次官には、暗殺の噂さえ流れる。当初はすぐ終わるとタカをくくっていた支那事変が、泥沼の長期戦になったのは、それを支援するソ連とイギリスの動きがあり、ヨーロッパにおいてそれをけん制するという理由で、三国同盟推進派は突き進む。

 ソ連とは朝鮮の朝鼓峰で衝突し、日本軍は手酷い損害を被っているが、根拠のないソ連軽視が支配する。そんな中で、関東軍が事件の中心になる。陸軍も一枚岩ではなく、統帥部は天皇の意向もあり、ソ連との衝突には積極的ではない。しかし、もともとくすぶっていた満蒙国境で紛争が発生すると、関東軍は積極的に排除に動く。そして本来、天皇の統帥命令が必要なはずの越境爆撃を進言し、参謀本部は「自発的中止勧告」という曖昧な指示に終始し、これを「明確な中止命令がないからやってしまいましょう」と関東軍は実施してしまう。

 その関東軍で中心的な役割を果たすのが、司令部第一課の辻政信少佐。強硬派の少佐に率いられた関東軍は、ノモンハンに第23師団を中心とした軍を派遣する。しかし、その装備は日露戦争から進化しておらず、歩兵が持つのはシングルボルトアクションの三八式歩兵銃であり、戦車は軽戦車。以前からなんで日本軍はおもちゃのような軽戦車しかなかったのか不思議だったが、そもそも戦車は「歩兵支援」という考えに立っていたのだと解説される。戦車対戦車の戦闘という概念はなかったようである。

 実際の戦闘は、ソ連の戦車に日本兵は火炎瓶を投げつけるという肉弾戦。しかし、これで日本軍は健闘する。のちにソ連のジューコフが日本軍についてスターリンに「下士官は頑強で勇敢、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが高級将校は無能」と報告するが、まさにその通りである。第23師団の戦死傷病率は76%に及び、これは太平洋戦争でもっとも激戦だったガダルカナルの34%を大きく上回るという結果にもよく表れている。事件後には、捕虜になった将校には自決させるなどの事後処理もショッキングである。

 本来、大元帥である天皇が反対している以上、ノモンハンでの衝突はありえなかったはず。なのに「大御心が間違っている場合だってある」という雰囲気さえ出てきてしまう恐ろしさ。大敗の後すら、関東軍は「戦場掃除」の名目でさらなる攻撃を進言し、さすがに参謀本部に阻止されるが、最後の最後まで「やれる」という暴走機運がみなぎっている。そして事件を主導した人物たちは、ほとんどお咎めなく陸軍の中枢部へと進んでいく。読めば読むほど滅入ってくるし、著者の抑えた怒りも伝わってくる。こんな時代に生まれなくて良かったとつくづく思う。

 「天皇の戦争責任」を問う声をよく聞く。しかし、こうした歴史の経緯を学べば自然とそういう考えは出なくなるだろう。そういう意味で、歴史を学ぶ意義は大きい。戦争に限らず国家の崩壊を防ぐためにも、特にこの時代の流れはよく学びたいところである。
単にノモンハン事件だけではなく、現代にも生かせる教訓として、学び多き一冊である・・・



posted by HH at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする