2017年11月06日

【わがセブン秘録】鈴木敏文 読書日記854



第1章 懸命に「行き当たりばったり」に生きてきた
第2章 「無」から「有」を生むには「跳ぶ発想」を鍛える
第3章 「できない理由」をあげるより「実現する方法」を考えよう
第4章 「仕事の分母」には「売り手」ではなく常に「お客様」を置くと真実が見える
第5章 「判断の尺度」を「お客様」に合わせれば迷わず一秒で決断できる
第6章 ものごとの「本質」を見抜ければ仕事はうまくいく

昨年、ブチ切れ会見と言われた記者会見で井坂社長を批判してセブン&アイ・ホールディングスを退任した鈴木敏文名誉顧問であるが、その引き際については晩節を汚した感を強く感じていた。しかし、それまでの実績は疑う余地はなく、興味を持って手にした一冊。

冒頭で簡単に実績を振り返る。
1. 日本初の本格的なコンビニエンスストア「セブンイレブン」を創業
2. コンビニでお弁当やおにぎりの販売
3. 経営危機に瀕した本家本元の米サウスランド社の再建
4. セブン銀行の設立
まだまだあるのだろうが、これだけでもすごいと改めて思う。

そんな実績を振り返り、それを成し得た理由は、「無から有を生む発想力」だとする。大型スーパー全盛の時代に日本へのコンビニ導入をやろうとしたところ、学界や業界や社内からも反対の大合唱だったという。そんな中、導入を推し進められたのは、「中小の小売店の経営が苦しくなったのは大型店が原因ではなく、市場の変化に対応できなかったことにある」という考えと、過去の延長線上ではなく、未来を起点にした発想=跳ぶ発想だとする。これは示唆に富む言葉である。

著者は、60年間にわたり仕事をしてこられた理由を3つ挙げている。
1. 発想力
2. 会社と仕事は別と考える(「会社にしがみつく」という意識を持たない)
3. 判断の尺度を「お客様」に合わせる
いずれも個人的には常に自分自身で考えていることと合致していて嬉しくなる。
「未来に向かって敷かれたレールはない」という言葉が心に響く。

その人生を振り返ると、「懸命に行き当たりばったりに生きてきた」と語る。それでもいいのだと心が楽になる。セブンイレブンの導入にあたり、喉から手が出るほど見たかったマニュアルを見せてもらったら、その内容の粗末さに愕然としたというエピソードはもう何度も耳にしている。イトーヨーカ堂に転職したら話が違ったという話は初めて知ったが、失敗したと感じてもそこから逃げなかったことがすべての成功につながっているとする。「最大の失敗は最大のチャンスを掴むきっかけ」という言葉が重い。

1. 過去の経験というフィルターが未来を見えなくする
2. 実現する方法がなければ自分たちで考えれば良い
3. 「できない」という前に「できる方法」を考える
4. 売り手の好都合は買い手の不都合
5. 伝え方も聞き手の立場で考える
いい言葉が続くなぁと心底思う。

特にしばしば強調される「未来を起点にした発想」という考え方に強く惹かれる。これは本質を見抜く力に必要な発想であり、本質を見抜くためには、「本当にそうだろうかと常に問い直す」ことが大事だという。これには激しく同意してしまう。概ね、語られる言葉に自分の考えと同じものを感じる。大経営者と同じというのもおこがましいが、こっそり自負したいところである。晩節を汚した感はあるが、発想力はまだまだ現役という意識なのだろうし、それはそうなのだろうと思う。シンプルな言葉に、大経営者の言葉の重みを感じる。

サラリーマンなら是非とも身につけておきたい考え方の数々。これは特に若いサラリーマンには必読の書と言える一冊である・・・



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2017年11月02日

【HIGH OUTPUT MANAGEMENT−人を育て、成果を最大にするマネジメント−】アンドリュー・S.グローブ 読書日記853



原題:HIGH OUTPUT MANAGEMENT
第1部  朝食工場−生産管理の基本原理
 第1章 生産の基本
 第2章 朝食工場を動かす
第2部 経営管理はチームゲームである
 第3章 経営管理者のテコ作用
 第4章 ミーティング−マネジャーにとっての大事な手段
 第5章 決断、決断、また決断
 第6章 計画化−明日のアウトプットへの今日の行動
第3部 チームの中のチーム
 第7章 朝食工場の全国展開へ
 第8章 ハイブリッド組織 
 第9章 二重所属制度
 第10章 コントロール方式
第4部 選手たち
 第11章 スポーツとの対比 
 第12章 タスク習熟度
 第13章 人事考課−裁判官兼陪審員としてのマネジャー
 第14章 2つのむずかしい仕事
 第15章 タスク関連フィードバックとしての報酬
 第16章 なぜ教育訓練が上司の仕事なのか

著者は元インテルのCEO。ご本人は既に故人となっている。この本は新しく出版されたものだが、もともとは1983年に書かれたものらしい。内容が良いと言うことで、装い新たに出版されたと言うことのようである。

内容はと言うと、マネジャーかくあるべしという一言に尽きる。こういうことは、内容が良いとそれが拡散され、似たようなことを言う人も出てきて、時代を経ていつのまにか当たり前の原理みたいになっていることがある。そんな既視感を感じるところも随所にある。また、インテルは製造メーカーということもあり、生産管理などメーカー的な考えの部分もある。まぁ、リーダーは業種に関わらず、それほど変わらないので、おかしなところがあるわけではない。

冒頭に出てくるのは、朝食工場の例。トーストとコーヒーとゆで卵というメニュー構成の店で、それをどのように効率よく提供するかがわかりやすく説明される。一番時間がかかるのはゆで卵であり、ここが最も重要なステップであるとしてここを中心に流れを計画する。別にメーカーでなくてもこの考え方はいろいろと応用できる。

「マネジャーはチームのパフォーマンスとアウトプットのみによって評価される」という考え方はもっともである。ここでいう「アウトプット」とは、「自分の組織のアウトプット+自分の影響が及ぶ隣接組織のアウトプット」だとする。「自分の組織のアウトプット」はもちろんだが、「自分の影響の及ぶ隣接組織のアウトプット」という考え方は、なるほどである。これは意識したいと思う。

そしてマネジャーのやるべきことは部下の教育とモチベーションの向上だとするが、やっぱりそうなのだろうと思う。「仕事はチームでやるべきもの」という考えは言われるまでもないが、マネジャーは自分が最高のプレーヤーである必要はなく、いかにチームのアウトプットが高くなるかを考えれば、部下が最高のプレーをしてくれればそれで良いわけである。「自分の部門のアウトプットを最高にあげると思われる活動に自分のエネルギーを注ぐ」のである。

それを「経営活動のテコ作用」という別の表現でも説明している。中にはネガティブなものもあって注意しないといけないが、マネジャーはやはり部下に影響力を及ぼすことができるわけで、それによって部下の大きな力を引き出すわけである。その方法の一つに「権限移譲」をあげている。それはそうだと改めて思うが、ただ任せっきりにするのは良くなく、仕事のモニタリングは必要で、その完了には当然責任があるのである。

また、ミーティングに関しては、著者は好意的に捉えている。ミーティングは最近では効率が悪く、長時間労働の一因とされることもあるが、著者は「マネジャーの仕事はミーティングを通じてのみ遂行できる」とする。また、五月雨式に部下の相談を受けていると、常に自分の仕事が中断され非効率となりがちなので、相談を受ける時間を決めておくと良いとする。

ミーティングのやり方も組織のあり方もいろいろと書かれていて、なるほど冒頭でこの本に影響を受けたというベンチャーキャピタリストが賛辞を送っているのがよくわかる。いろいろとヒントを求めている人には、得るところは大きいかもしれない。
マネジャーのあるべき原則論として、参考になる一冊である・・・



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