2017年11月16日

【2030年ジャック・アタリの未来予測 不確実な世の中をサバイブせよ!】ジャック・アタリ 読書日記858



第1章 憤懣が世界を覆い尽くす
第2章 解説
第3章 99%が激怒する
第4章 明るい未来

著者のことはこれまでまったく知ることもなかったが、フランスではサルコジ大統領時に政策委員会委員長を務め、オランド大統領にも政策提言を行い、マクロン大統領を抜擢して大統領に押し上げたほどの方らしい。そんな方とはつゆ知らず、最近未来予測関連の本に興味を抱いているというただそれだけの理由から手にした一冊。

冒頭で著者は、「起きるわけがないと決めつけても、どんなことだって起こりうる。そうした最悪の事態を予測することこそが最悪を回避する最善の手段」と語るが、内容はまさにその通りのものとなっている。まずは現状についてであるが、これは順調に見える面が列挙される。
1. 向上し続ける生活水準
2. 続伸する平均寿命
3. 減少する極貧
4. 新たなコミュニケーション手段の普及
5. 技術進歩によって減る苦役
6. 環境問題に対する意識の高まり
等々

一方で、多くの重要なことが悲惨な状況になりつつあるともする。
1. 高齢化する世界人口
2. 医療サービスの乏しい世界での人口爆発
3. 地球環境の悪化
4. 加速する富の偏在
5. 貧困化する先進国の中産階級
6. 膨張し続け制御不能に陥る公的債務
7. 国家を牛耳る大企業
8. 吹き荒れる保護主義の嵐
等々

これらの現状と問題に対し、著者は「市場」と「相互依存意識」を解決策として提示する。すなわち、市場はイノベーションをカスタマイズされた財やサービスの開発を導くとし、他者の失敗で利益を得る者はいないという意識だとする。このあたり、それ事態は間違っていないと思うが、「解決策として正しいのか」は、素人にはよくわからない。

不均衡な人口増、悪化する公害、枯渇する水資源、悪化する世界事情、移民の増加、富の集中・・・問題点を改めて挙げられていくと暗い気持ちになる。せいぜいドローンが警察の監視や追跡、危険な場所への突入支援といったところで使われるのが技術進歩の良い印象を与えてくれるが、問題点に比べれば小さい。

その上さらに、「最悪の事態が起きる可能性は極めて高い」と著者は語る。また、続けて著者は「民主主義はまもなく幻想になると覚悟しておく必要がある」とまで言う。それに対する著者の提示する解決策は、「利他主義」である。「他者の幸福は他者の悲しみよりも有用である」とする。まるで稲盛さんのようであるが、正直言ってちょっと拍子抜けしてしまう。それが本当に未来を救うのかと。

さらに著者が「非論理的でない」とする10個の提案とフランス政府に対する10個の提案をしている。これも個人的にはどうもピンとこない。著者の立派な経歴を見ると、とてもイチ素人が批判できる筋合いのものではないのだが、素人的には理解が難しいのかもしれない。
「未来予測」というタイトルに惹かれて手に取った一冊であるが、ちょっと求めるものとは少し違っていたというところが正直なところの一冊である・・・




posted by HH at 00:00| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする