2017年11月23日

【「週刊文春」編集長の仕事術】新谷学 読書日記861



はじめに 私が「仕事術」より大切にしていること
第1章 情報/人脈 全てのビジネスは「人」から始まる
第2章 企画/発想 予定調和はおもしろさの敵である
第3章 依頼/交渉 難攻不落の相手から「YES」を引き出す
第4章 組織/統率 ヒットを生み続けるチームはこう作る
第5章 決断/覚悟 リスクを恐れずに壁を突破する
第6章 戦略/本質 「売れない」時代のマーケティング

週刊文春と言えば、近年は不倫などのスクープで世を賑わせている。個人的にはその手のことに面白みを感じないので読んでもいないのだが、その文春の編集長の本としてはちょっと興味をそそられた。好き嫌いで言えば「嫌い」の部類に入る分野の人物が語る言葉に共感などしそうもないと思うが、「何でも食ってみるべし」の精神で手にした一冊。

冒頭はやっぱり編集長なりの基本スタンスが書かれている。「世の中で起こっている様々な出来事、あるいは話題の人びと、それらをおもしろがる気持ちがスキルやノウハウよりも大切」だとする。「不況をおもしろいものが作れない言い訳にしてはいけない」とするが、そのあたりはよく理解できる。
「週刊文春がやっていることは極めてシンプル。毎週いいネタをバンバン取ってきてフルスイングする」。
なるほどそうなのだろう。

写真などはコソコソ撮れるが、インタビューはそうはいかない。野球賭博で逮捕され、球界を追われた元巨人の笠原投手は、多くのメディアがインタビューを申し込んだがことごとく断られていたが、文春だけには応じた。その陰では、笠原氏のアルバイト先に潜り込んで仲良くなり、一緒に徹マンまでやって人間関係を築いたという努力があったのだという。
「用がなくても幅広く連日連夜日常的な付き合いをしておくことが大切」という考えは、ドキリとさせられる。

そもそもゼロの状態から人間関係を築くのは大変な事。
1. 大切なのは図々しさ
2. 情報はギブアンドテイク
3. どれだけ人に会うか、どれだけ大切にするか。用がなくてもこまめに会う
4. 敬意は表しても迎合しない
5. 折に触れてこちらからアプローチする
6. 肩書で人と付き合わない
人間関係の構築は昔から苦手としている私からすると、今さらながら苦手から抜けられない理由を突きつけてくれる。

企画についての意見はなかなか面白い。
1. みんなが右と言っている時に左を向く
2. 実現出来たら面白いなと思ったらまずやってみる
3. 「こうなったらどうしよう」と心配するより「こうなったらおもしろいな」と考える
4. 「見たこともないもの」「誰も予想がつかないもの」はマーケティングをしても意味はない

その他にも参考になる言葉が続く。
1. どうすればいいかウジウジ考えるより「やる」
2. 全ての出会いは一期一会。聞くべきことはその場で聞く
3. スピードが熱を生む。走りながら考える
4. 嘘をつかない、弱いものいじめをしない、仕事から逃げない
5. 健全な競争と共同作業のバランス
6. 編集長(リーダー)はとにかく明るく
7. 異論・反論がリーダーを鍛える
8. ネタに対してもフェア、人に対してもフェア、仕事に対してもフェア

駆け出しのころから創意工夫して身につけた「仕事術」には重みを感じる。また、それと並行して書かれる世の中に話題を提供してきた各記事についての説明も興味深い。特にマスコミは小沢一郎のような大物政治家やジャニーズなどの強い事務所からの圧力には弱いらしく、そんな業界仲間に対して苦言を呈する。政権には右でも左でもなく「ファクト」で勝負するというスタンスは、読んでいて心地よい。信念のある人に特有のオーラを感じる。

芸能人の不倫など、どうでもいいことを世の中は騒ぎすぎると個人的には思う。そんな不倫を報じる週刊文春に対する嫌悪感はこの先も消えないだろうから、買うこともないだろう。ただ、雑誌の未来を危惧し、ネットへの模索などもしているようだし、仕事に対するスタンスや考え方というものは、なるほどと思うことが書かれている。そこは食わず嫌いで敬遠しなくてよかったところである。

週刊文春に対する好き嫌いは置いておいて、読んでみるのも面白い一冊である・・・




posted by HH at 00:00| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする