2017年11月26日

【ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室】キャスリーン・フリン 読書日記862



原題: The Kitchen Counter Cooking School
PROLOGUE スーパーのカートには人生が詰まっている
PART 1 泣き笑い、料理する、その心にはいつもパリ
PART 2 加工食品はもういらない、なんだってイチからカンタン
PART 3 ほんの少し買い、たくさん作り、捨てない幸せ

著者は、ライターであり、ジャーナリストであり、料理講師であり、国際料理専門家協会の理事でもある方だという。そんな著者が、料理素人の主婦に料理を教え、その人生を変えたというお話。なんとなく面白そうに感じて手に取り、なんとなく読み終えてしまった感のある本である。

きっかけはあるスーパーでのこと。買い物途中のある女性のカートの中を見て著者は衝撃を受ける。カートは半分以上埋まっていたが、「ちゃんとした食品は何ひとつ入っていない」と。興味を持った著者は、30代後半のその女性に話しかける。そしてそれから1時間ほど2人は話し込み、著者はカートに入った箱詰めの商品とそれが「真似している本物の食品」とを入れ替えて行ったのだという。この経験から、著者は料理を苦手とする女性を集めて料理を教えることを思いつく。

著者は、もともと37才でル・コンドン・ブルー(よくは知らないが、おそらくパリの有名な料理学校だと思われる)を卒業したという。そんな素養がある中で、フランスが長時間保存可能なアメリカ式の食品を受け入れたことから、フランス人が太り続けたことや、アメリカでも自炊すればするほど体重は減ることなどから、アイデアが湧いていく。そしてどうやったらもっと料理をしたいという気持ちにさせられるかについて考えを巡らせる。

そして地元のラジオ番組に出演した著者は、そこで自らの考えを述べ、希望者を募る。そこで応募者の中から10人を選び、著者の試みはスタートする。著者のちょっと変わったところは、料理のスタートは応募者各人のキッチンを訪問して見て回るところから始めたところ。各人それぞれの家庭事情とキッチンとが描写される。そうして始まった料理教室の様子が述べられていく。

どの女性も家庭で主婦の立場に立つが、当然ながら皆料理ができない。そんな状態で台所を預かるというのも恐ろしい気もするが、スーパーに行けば調理とは言えないような調理で手軽に食べられる食品が溢れており、それでなんとかなってしまうわけである。料理教室では、そもそもの食材の味をテイスティングし、本当の味を教えたりする。

アメリカに行けば真っ先に気がつくが、実にデブが多い。最初は「飽食」が原因かと思っていたが、「本物をまねた箱詰め食品」もその一因だと言われている。参加者の状況を見て、自分の母親や妻でなくてよかったと心から安堵するが、参加者も慣れない手つきで包丁の扱いを学んだりと授業が続いていく。

箱詰めでなくても安心はできない。巨大なバラックに閉じ込められ、大量のエサと少しの運動で太らされた鶏の肉に、さらに水や食塩水を注入し、重さを水増しして売る実態などが紹介される。また、買って帰った食材の1/3が捨てられているという話も紹介される。事実、メンバーの家の冷蔵庫には4年前に買った食肉が入っていたりする。単なる料理教室の話にとどまらず、現代社会の食にまつわる問題が溢れ出てくる。

やっぱり料理することは大事なのだと改めて思う。実はいつか自分も将来に備えて料理ぐらいはできるようになっておきたいと思っているのだが、その思いが強くなった。料理する楽しさが行間から伝わってきて、多分実際に作ったら楽しいかもしれないと思えてくる。なんとなくやめられずに最後まで読破してしまったのもそんなところに理由がある。

「人生を変えた」というのも、決して大袈裟な表現ではない。自分もやっぱり料理をしてみたいと思わされた一冊である・・・

posted by HH at 23:05| Comment(0) | ドキュメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする