2019年08月30日

【新聞という病】門田隆将 読書日記1066



《目次》
第一章 朝鮮半島危機に何を報じたか
第二章 報道は歴史を直視しているか
第三章 「謝罪」の後の主義主張
第四章 命より憲法という観念論
第五章 なぜ「現実」を報道できないか
第六章 “ビラ"になった新聞
第七章 自ら放棄する言論の自由

 著者は、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日』の著作もあるジャーナリスト。タイトルにもある通り、この本は「新聞」が抱えている問題点を採り上げたもので、個人的に「マスコミは信用するに値しない」と考えている自分にとっては、その再確認をさせてくれるもの。そういう意味で、興味を持って手にした次第である。

 「新聞」と言っても、実は実質的にターゲットになっているのは「朝日新聞」。朝鮮半島危機にもモリカケ問題の糾弾に忙しく、「吉田調書」を巡っては大誤報を報じる失態。ロクな裏付けも取らないやり方は悪意さえ感じられる。安倍政権をただただ「右傾化」とし、安保法制報道はもはや不安商法=B「命」と「憲法」どっちが重いのかを無視し、都合の悪い情報は報じない。ご注進ジャーナリズムに切り取り炎上手法。その姿はもはや「活動家」に成り果てたと著者は手厳しい。ただ、その通りだと常日頃感じている身としては、違和感は感じない。

 それにしても、確かに新聞全般に問題は多い。例えば、自衛隊の海外派遣といえば、一律「戦争につながる」と反対する人は多いが、ではイラン・イラク戦争時にあったように、海外の邦人救出ができない現状はどうするのかという問題に答えは出されていない。「大きな犠牲が出るまで変わらない」という意見にはゾッとさせられるものがある。もっとも、これは新聞だけではないが・・・

 それ以外でも、例えばオバマ氏広島訪問の舞台裏が報じられていなかったり、なぜ「核兵器禁止条約」に「棄権」ではなく「反対」したのか、終戦記念日には常に反省ありき、日露交渉では知りたいことが報じられない。尖閣報道ではある視点が抜け落ちており、少年実名報道の「今昔」を知ると記者としての筋の通った姿勢が失われているのがわかる。もはや通り一遍の報道しかできず、世の中の疑問の解明やタブーを週刊誌に丸投げしている。

 吉田調書の大誤報は、著者自身が綿密な取材をして『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日』を書いているからだろう、誤報と報じたところ自身も朝日新聞から法的措置を取ると脅されたことを明らかにし、怒りをにじませる。「読者は記者たちに対して、思い込みや安っぽい正義感など求めていない、欲しいのは正当な判断をするための『客観事実』だけ」という意見には大いに拍手喝采を送りたい。

 ご注進ジャーナリズムに代表されるように、「日本を貶める」ことに忙しい朝日新聞であるが、当の記者たちと話をすると「日本を貶めている」という意識はないのだという。代わりにあるのは「朝日新聞はリベラルであり、権力と対峙し、これを監視する使命を負っているのが朝日新聞」との意識を持っているのだとか。「中国や韓国を喜ばせるというよりもむしろ過去の日本を糾弾することで、「平和を愛する自分に陶酔感を抱いている」とする。「自己陶酔した記者やジャーナリズムたちは「本当にタチが悪い」と著者は語るが、その通りだろう。

 それでも最近は「民意」は揺るがないことが多くなってきたという。若者を中心に新聞を見なくなっているということかもしれない。「新聞を読まない」なんて昔は「嘆かわしい」と思っていたが、この本を読むとその考えももう当てはまらないかもしれない。少なくとも朝日新聞を読む価値があるかどうかは疑問である。では産経新聞がいいかというと、個人的にはそれも同意できず。ただ、自衛手段として「新聞に書いてあることを鵜呑みにしない」とするしかないのかもしれない。

 嘆かわしいが、「考える力」をつけられるという意味では、その方がいいのかもしれない。そんなことを考えさせてくれる一冊である・・・



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2019年08月29日

【日本共産党の正体】福冨健一 読書日記1065



《目次》
はじめに
第一章 共産主義とは、独裁政治である
第二章 そもそも共産主義とはどういうものか
第三章 日本共産党の歴史
第四章 革命家たちの物語
第五章 二〇〇四年綱領を読む
第六章 闘う民主主義への道
おわりに 参考文献

 個人的に共産党は好きではない。耳に心地よい政策などは確かに魅力的だと思うが、主張するところの大企業批判や中国・韓国寄りの過度な考え方などはどうにも受け入れ難いものがある。だが、では例えば選挙権を手にしたばかりの我が子にどう説明するかと言われると、少々言葉に詰まるところがある。そんなところに目にしたのが本書。その正体を理解すれば、説明もしやすくなるかもしれないとの思いで手にした次第である。

 内容はといえば、現在日本最古の政党と言われる共産党の歴史、位置付け、そもそも共産主義とはから現在の姿まで解説されている。欧米ではそもそも共産主義は拒否されており、旧西ドイツでは共産党は違憲判決を受けている。共産主義とは独裁政治でもあり、それに対し我が国では戦後、共産党非合法化も検討されたが、時の首相吉田茂はこれを拒否し、現在も思想・信条の自由は常に正しいと言う考えの下、その存在を認められている。

 共産主義といえば、マルクスによって唱えられた考え方であるが、「剰余価値説」等の考え方は、学問として興味深い。独特の「民主集中制」と言う考え方(方針はみんなで民主的に討議して決め、決定したらみんなで実行する)は、共産党の組織のあり方を示すもので、一見、民主的に思えるが、実は「決定されたら反対でも実行を求められる」という点で、独裁国家への道に繋がりやすいのだとか。独裁国家と言えるかどうかは分からないが、「中央委員会は中央集権型」と言うのは旧ソ連や中国をみればよくわかる。このあたりは知識として面白いと思う。

 共産党には綱領があり、1951年、1961年、2004年と改訂されてきている。51年綱領では、正式決定されていないが暴力革命論が主張され、61年綱領では「日本はアメリカ帝国の従属国」、「日本の当面する革命は人民の民主主義革命・多数者革命」などが謳われる。2004年綱領では、天皇制を否定し、自衛隊の解消を主張し、資本主義を否定している。アメリカ帝国主義と日本独占資本を倒して民主主義革命を行うとする主張であり、社会主義・共産主義への前進をはかる社会主義的変革が課題とする。そしてその変革の中心は、生産手段の社会化である。これらは現在も生きていて、ホームページにも掲載されている。

 なるほど確かに共産党の歴史を中心にしてわかりやすく解説されている。独特の革命理論などは、やはり時代がかった香りが漂う。ただ、個人的には現在の姿ももう少しページを割いてもらいたかったと思うところである。歴史的な推移も大事かもしれないが、「現在はどうなのか」が知りたかったのであり、その点ではこの本の趣旨には合わない。今もまだマルクスの考え方を信奉しているのか。ホームページはなんとなくソフトに書かれているが、それは今も変わらぬ考え方とみていいのだろうか。

 2016年時点で共産党は破壊活動防止法に基づく調査対象団体なのだという。30万人の党員、113万部の機関紙読者、2万の支部、政党への個人寄付金額では80億円を集め、これは2位の自民党の倍額以上であり、何がそこまで惹きつけるのだろうか。悪口よりもそのあたりを掘り下げて欲しかったと思う。アメリカの属国というところは確かにその通り。それを脱却しようという主張はいいと思うが、自衛隊の廃止、天皇制の廃止などはやはり受け入れ難いものがある。そのあたり、考え方はよく整理できたのかもしれない。

 一度、共産党自体がどう考えているのか、改めて知りたいと思う。いわゆる「革命」をまだ狙っているのだろうか。志位委員長のインタヴューなんかがあったらもっと面白かったのにと思わざるを得ない一冊である・・・






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2019年08月28日

【徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと】ちきりん 読書日記1064



《目次》
第1章 リフォームとリノベの違いって?
第2章 「リノベならなんでも変えられる」はウソ
第3章 リノベは共同プロジェクト型の取引
第4章 予算もスケジュールも自分次第
第5章 リノベ会社のタイプを理解しよう
第6章 リノベ会社の選び方と「個別相談」の進み方
第7章 現地調査が始まった
第8章 理想のキッチンを手に入れるまで
第9章 契約、工事、そして完成!
第10章 わかりにくいリノベ費用を顧客目線で解説!
第11章 リノベの結果、こうなりました
第12章 引っ越しとモノとの格闘を振り返って
第13章 リノベは「親の家問題」も解決する
第14章 さあ始めよう!

 これまで、いくつかの本を出してきている人気ブロガーのちきりんであるが、今度はなんとリノベの本。不動産業に携わる者としては、これは見過ごすわけにはいかない。というわけで手にした一冊。それにしても、自宅をリノベーションしたのはいいが、その経験すら本にしてしまうところも凄いと思う。

 ちきりんの家は築20年、60uのマンション。それをリノベーションしようと思い立ったが、「どこから始めたら良いかわからない」と自分自身が困ったことから、リノベーションをする人にとって、「とても役立つ実用書」を書こうと思ったのだとか。その発想もすごいなぁと改めて思う。

 そもそもリフォームとリノベとはどう違うのか。実はこれ、不動産業者でもわかっていない人が多い。単なるリフォームなのに、リノベーションと名打っているチラシをたまに目にする。そんなそもそも論から入り、実用面にと移る。実は、リノベーションをやるにしても、「床や天井、壁を剥がしてみないと(中が)どうなっているのかわからない」という問題がある。「当初の図面と現状にズレがあるのは珍しいことではない」のであるが、やっぱりそれってどうなんだと思わざるを得ない。

 リノベーションは、実は「共同プロジェクト型取引」だと著者は説明する。「問題は起こって当たり前」という中で、「それをどう共に解決するかが重要」とする。これはその通りであり、だからその都度話し合って決めないといけない。共同プロジェクト成功の鍵はコミュニケーションだと著者は語る。

 いくつかの業者を回り、話を聞き、見積もりを出してもらう。しかしこの見積もりが曲者。リノベの費用は「どのシステムキッチンを選び、どんなオプションをつけるか、どの壁紙、どの床材をどこに使うかといった品番レベルの詳細まで決まらないと計算できない」のであり、エクセルで見積もり一覧を作って比較しても意味はない。したがって、「どの会社にも同じ額を伝える」必要がある。「予算によって見せられる世界が変わる」のである。

 結局のところ、「リノベのコストを決めているのは客であってリノベ会社ではない」のは、普通の人には知る由もない。「見積額はあくまで参考」であり、いかに相性の良いリノベ会社を見つけるかが大事になってくる。すべてお任せもいいが、自分の希望を取り入れようとすれば自らも動かないといけない。しかし、ショールームに行けば(最新の良いモノが揃っていて)費用は膨れ上がってしまう。これを「ショールームの罠」と称しているが、その通りだと思う。

 費用もそうだが、実はスケジュールの自分次第。「どのくらいかかりますか?」と聞くよりも、「○ヶ月で終わらせたい」と伝えるのだとか。その他、リノベ会社の選び方から個別相談の方法等細かく経験談が書かれている。工事に入ると予想もしていなかったことが起こり、結局のところ「元気なうちにやった方がいい」とする。ビフォーアフターの写真も豊富で、プロジェクトのすべてが網羅されていて、実例として非常に参考になるだろう。

 リノベには大きな金額がかかる者であり、安易にやるよりよく勉強してからやった方がいいだろう。そういう人には、実に実用的な一冊である・・・


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2019年08月27日

【Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法】ロルフ・ドベリ 読書日記1063



原題: Think clearly The art of the Good Life 52 Surprising Shortcuts to Happiness
《目次》
・考えるより、行動しよう――「思考の飽和点」に達する前に始める
・支払いを先にしよう――わざと「心の錯覚」を起こす
・戦略的に「頑固」になろう――「宣誓」することの強さを知る
・ものごとを全体的にとらえよう――特定の要素だけを過大評価しない
・買い物は控えめにしよう――「モノ」より「経験」にお金を使ったほうがいい理由
・自分の向き不向きの境目をはっきりさせよう――「能力の輪」をつくる
・静かな生活を大事にしよう――冒険好きな人より、退屈な人のほうが成功する
・性急に意見を述べるのはやめよう――意見がないほうが人生がよくなる理由
・読書の仕方を変えてみよう――読書効果を最大限に引き出す方法
・「心の引き算」をしよう――自分の幸せに気づくための戦略
・組織に属さない人たちと交流を持とう――組織外の友人がもたらしてくれるもの
・本当に価値のあるものを見極めよう――あらゆるものの90パーセントは無駄である など

 著者は実業家兼作家。この本はサブタイトルにもある通り、「より良い人生を送るために必要な思考の道具箱」だとしている。それは、良い人生を送るために必要なのは、「たった一つの原則」と言うようなものではなく、道具箱に入っているような雑多な諸々。それを著者は52にまとめ、「思考法」として表しているものである。

 まずは、「考えるより、行動しよう」と始まる。何かを書くと言うアイデアは、「考えている時」にではなく、「書いている最中」に思い浮かぶと説く。それはブログを書いている自分自身が経験則として実感していることである。そしてこの法則は、人間が行うありとあらゆる領域の活動に当てはまる。実際、考えるより行動する方がはるかに難しい。続いて「なんでも柔軟に修正しよう」では、重要なのはスタートではなく、(途中の)修正技術だと言うのは、ちょっと驚きの新鮮な意見である。

 流石に52もあると、自分に合うもの合わないものがある。そこは合うものだけを選択して参考にしたい。
 1. 「ああいう人だから」と分からせた方が勝ち
 2. 失敗の原因を突き止めるたび、人生は上向く
 3. よい人生の基本的なルールは、本当に必要ないものを排除すること(何を手に入れたかではなく、何を避けるか)
 4. 本音を出しすぎないようにする(意識的に2番目の人格を作り上げる)
 5. モノより経験にお金を使う
 6. できることを仕事にする
 7. 自分と波長の合う相手を選ぶ
人間関係、物欲、誰にでもいろいろあるが、言われてみればなるほどというものが多い。

 まだまだ続く。
 1. 性急に意見を述べるのはやめる
 2. 嫉妬をなくす
 3. 解決よりも予防(予防措置には知識だけでなく想像力も必要)
 4. どこに注意を向けるかで幸せを感じるかが決まる
 5. 相手の立場になってみる
 6. 期待は少ない方が幸せになれる
読みながら取っていたメモがどんどん増えていく。自分自身にとっても大いにヒントになる。

 読書については、「よい本を選んで2度読む」という意見が新鮮。また、「心の引き算」というのも同様。銀メダルよりも銅メダルの方が満足度が高いのは、「メダルを取れなかった」ケースを想像するか否か。これは確かにその通りだと思う。「競争が激しいところにわざわざ飛び込まない」というのは、日頃ビジネスで意識していることである。

 著者は「内なる成功」を目指そうと語る。内なる成功とは、心の充実や平静さである。物質的な成功より内面の充実の方が大事だという意見はまったくその通りである。「墓地で一番裕福な人間になるより、今の人生を充実させる」、それこそがよりよい人生そのものだと思う。人生も半ばを過ぎるといろいろと感じるものがある。この本を20代の頃に読んでいたとしたら、あまり感じるところは少なかったかもしれない。自分にとってはいいタイミングだったと思う。

 著者の言う「内なる成功」を自分も意識したいと思わせてくれた一冊である・・・

 

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2019年08月26日

【人間失格】太宰治 読書日記1062



《目次》
はしがき
第一の手記
第二の手記
第三の手記

 この本は、太宰治の代表作であるが、これまでなんとなく敬遠してきたという経緯がある。どうにも読むと暗くなりそうなイメージが強いのである。そしてそのイメージは、間違ったものではなかった。

 内容は3つの手記に分かれている。主人公は東北地方のお金持ちの末息子である大庭葉蔵。はしがきでは、ある人物が3枚の写真を眺めている。それぞれ幼少期、学生時代、その後であるが、その3枚の写真と重ね合わせるようにして、3つの手記が続く。まずは葉蔵の幼少期から。その「第一の手記」では、「恥の多い生涯を送って来ました」という告白から始まる。それにしてもなんという告白だろうか。それが世に残った理由なのだろうかと思えてくる。

 葉蔵は幼少期から変わっている。「空腹感」とはどんなものかわからず、空腹感からものを食べたことがなく、故に家族の食事の時間が苦痛で、どうしてごはんを食べるのかわからなかったという。こうした変わった感性の持ち主だったからか、人と会話ができず、そのために考え出したのが「道化」である。バカなことをやって周囲を笑わせ、目障りにならぬようにと下男下女にまでお道化をして笑わせたという。父にお土産を買って来てやると言われてもリクエストできず、そっと欲しいものを父親の手帳に書き込むほどなのである。

 「第二の手記」は中学時代になるが、ここでも道化によって周囲を笑わせることで自分の居場所を作っていく。しかし、ある時それを竹一という友人に見抜かれ恐怖する。「人間恐怖」という言葉が登場するが、旧制高校へ進み、堀木という悪友ができ、酒とタバコと女と左翼思想とにハマっていく。そして女と心中事件を起こす。太宰治のイメージにある世界である。それにしても葉蔵はこの後も女にはよくモテる。金持ちの息子で女にもモテるなら、この世は我が世ではないかと、恵まれない男なら思うだろう。

 結局、旧制高校は放校となり、「第三の手記」となる。東京での後見人である人物から逃げ、女のところに身を寄せる。漫画を描いてとりあえず日々の暮らしは賄うも、すぐに酒に溺れ、自殺未遂をし、出会う女たちと次々と関係を持つ。そんな異常な様子は、本人も自覚するところ。それ故に「人間失格」となる。考えてみれば、精神を病む人間というのは、皆似たり寄ったりの経験をしているのかもしれないと思わされる。世間にはなんでもないことなのに、本人にとっては極めて困難だったりする。

 単なる小説、作り話として終わらせられないものがこの中にはある。身近なところでちょっと苦しんでいる人がいるからかもしれない。文章自体というよりも、やはりその内容だろうか。時代は昭和初期という感じの雰囲気だが、そんな時代にも今に通じる心の闇を抱えている人も(小説に描かれるくらいだから)いたのだろうと思う。それにしても心の動きの描写が実に真実味を帯びていて、とてもフィクションには思えないところがある。そこが名作ゆえんなのかもしれない。

 私のようにイメージだけで避けている人はいるかもしれないが、一度は読んでみてもいい作品である・・・





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2019年08月22日

【あらゆる悩み・不満・ストレスが消える!最強の人生相談−ビジネスの成功にも共通する人間関係、深すぎる40の教訓−家族・結婚・夫婦編】ミセス・パンプキン/ムーギー・キム 読書日記1061



<目次>
はじめに
協力者からのメッセージ
第1章 ささいな行き違いが大問題に発展!?「コミュニケーション」の悩み
第2章 金の切れ目が縁の切れ目!?「お金」の悩み
第3章 絶対許せない! 「浮気・不倫」の悩み
第4章 どこまで耐えればいいの!?「暴言・暴力・虐待」の悩み
第5章 いいこともあれば、悪いことも……「子ども」の悩み
第6章 もう、ガマンの限界! 「義父・義母・親族」の悩み
第7章 幸せになりたい! 「離婚後と再婚」の悩み〜離婚後の心構え、離婚後の子育て、そして再婚〜
総括――結婚関係・人間関係のベストプラクティスとは

 著者は、ミセス・パンプキンとなっているが、内容的に判断すると日本人の方のようである。なんと6年間で600件の家庭・人生相談をこなしてきたとのことで、そのすべてのエッセンスを本書に集約したとのことである。それゆえに本書は、「結婚生活の教科書」であり、「パートナー選びの教科書」であり、「人の本質を見抜くための教科書」「人間関係の教科書」であるとする。それもまぁ頷ける内容である。

 内容は、これまで著者が受けてきた相談。その典型的な例を挙げて解説をする形をとっている。家庭問題を通じた人生相談であるが、内容的にはすべての人間関係および人生に関する本質的な問題を論じているとする。個人的には家庭に悩みを抱えており、そういう意味でも興味が湧くところである。

 それぞれのケースで教訓として書かれていることはなかなか重みがある。
1. 嫌なことははじめから嫌と言うべし。家庭内で演技してはならない。
2. 相手に対して不快に思うことは伝えるのが誠意
3. 性格の不一致は解釈次第でうまくいくことも
4. 結婚生活では触らぬ神ほどたたるもの
5. 毅然とした態度で思いを伝える。離婚を切り出す前に「窮鼠猫を噛む」決意を
やはり豊富な相談経験のなせる技だろうか、「そうだよなぁ」と思わされるところが多い。

 一方、「浪費家の妻には断固自分で稼ぐことの大変さを教えるべし」なんていう、ちょっと無理ではないかと思うようなアドバイスもある。金銭感覚の違いというのは、なかなか超えられないものがあるような気がする。「ギャンブル癖は死ぬまで治らない」というのは、そうなのかもしれない。

 問題ある配偶者というのもやはり数多くいるようである。
1. 妻の出産時に最低限の誠意を見せられない夫は再起不能である
2. 「これまで我慢したから」を理由に相手の横暴に耐え続けてはならない
3. 虐待されて自尊心を貶められている時に我慢しても事態は悪化するだけ
読んでいるだけでも気の毒になるケースがある。そんな例に対し、「不幸の出口は自分で作るべし」というアドバイスは秀逸である。

 子供の教育に対して、「人生の進路はたとえ幼くても子どもの意思を尊重する」というアドバイスはどうも違う気がする。やはり親がリードすべきところだと個人的には思う。「夫は嫁姑のパイプ役をしっかり果たす」とは、言うは易しである。当たり前だが、できないから苦労しているのである。「嫁姑問題」とは言われるが、「婿舅問題」とは言われない。女は狭量な証拠である。男が苦労させられる理不尽さである。

 「子どもへの無償の愛が伝わっている限り会話が少ないのは大きな問題ではない。子どもの日常に適切に関わり、親に愛されていると言う安心感を与えよう」は、娘との関わり方に対するいいアドバイスである。参考になるものもあればそうでないものもある。参考になるものは参考にすればいいし、そうでないものは、「他人の不幸は蜜の味」で読みものとして面白い。世の中、いろいろな夫婦がいルものだし、やはり豊富な経験をバックボーンにした回答内容は考えさせてくれるものがある。

 サブタイトルにあるように、人間関係を学ぶつもりで一読すると面白いかもしれない一冊である・・・



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2019年08月20日

【ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」】アルバート=ラズロ・バラバシ 読書日記1060



原題: THE FORMULA THE UNIVERSAL LAWS OF SUCCESS THE SCIENCE BEHIND WHY PEOPLE SUCCEED OR FAIL

目次
はじめに 成功で重要なのはあなたではない。社会なのだ。
 1 レッドバロンと忘れ去られたエースパイロット
【成功の第一の法則】 パフォーマンスが成功を促す。パフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
 2 グランドスラムと大学の卒業証書――なぜ努力は(時には)成功を生むのか
 3 200万ドルの小便器――なぜ努力は成功に結びつかないのか
【成功の第二の法則】 パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
 4 そのワインの価値はどのくらいか――決められない価値を、どうやって決めるのか
 5 スーパースターと「べき乗則」――報酬に上限はない
【成功の第三の法則】 以前の成功×適応度=将来の成功
 6 爆発する子猫と靴下人形――成功をキックスタート≠キる方法
 7 好みは人それぞれ――質はどのようにして、社会に影響を与えるか
【成功の第四の法則】 チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのはひとりだけだ。
 8 カインド・オブ・ブルー――バランス、多様性、リーダーシップが重要
 9 見過ごされた科学者を見つけ出すアルゴリズム――重要なのはパフォーマンスではなく、世間の捉え方
【成功の第五の法則】 不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。
 10 アインシュタインの間違い――スキルが合わさると、なぜ最後には努力が実を結ぶのか
結論

 著者はアメリカの複雑ネットワーク研究センターのセンター長。大学教授でもある。そんな著者が解き明かした「成功の普遍的法則」とあって興味をそそられ手にした一冊。著者自ら成功法則とはいえ「セルフヘルプ(自己啓発)」ではなく、「サイエンスヘルプ」だとする。膨大なデータをもとに最先端の科学的手法を駆使して導き出したものだそうである。
 
 成功とは、「あなたが属する社会から受け取る報酬」だとする。重要なのはパフォーマンスではなく、社会があなたのパフォーマンスをどう捉えるか。第一次世界大戦時のドイツ人パイロットであったレッドバロンとフランス人パイロットであったルネ・フォンクを例に説明がなされる。どちらも似たような戦績(パフォーマンス)の撃墜王であったが、レッドバロンの方がはるかに有名なのは、「社会がそう認知したから」。重要なのは、あなたの功績に気づき、その価値を認め、より広い世界に広めるネットワークである。

 確かに、言われてみればその通り。実力はあっても人気が出ないという例はゴマンとあるだろう。また、ワインの品評会でゴールドメダルを取るのは「ほとんど運」だとか、ピアニストの評価はその演奏ではなく、「演奏する姿」に影響を受けるとか、演奏会における評価の傾向とかの例は何となく白けさせてくれる。演奏会では、「初日の一番目の女性」ピアニストの評価は、「五日目の二番目の男性」ピアニストより6つも順位が低いらしい。自分も観た映画の評価では、直前のものの方が高くなる傾向が高いことに薄々気づいていたから、この意見には納得である。

 サクラの行列にはそれなりの効果があり、アマゾン等のレビューも最初が肝心であり、だから自作自演のレビュー(ソックスパペット=靴下人形というらしい)が残念ながら効果が高いらしい。レビューは、酷評の場合は好評に覆されてしまうらしいが、好評の場合はそれに引きずられるらしい。さらに愕然とさせられるのは、チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのは1人だけという説明。これも例を聞けば納得させられてしまう。

 一流選手だけを集めても必ずしも無敵のチームとはならないのは、かつてジャイアンツがFAで各チームの4番打者を集めても勝てなかったのを思い出せばよくわかる。実作業に汗を流した者と栄誉を授かる者は別というのも過酷な事実。チームの誰の功績かを決めるのは、誰が何をしたかではなく、世間がどう捉えるか。だから優れた仕事に1人の創造者の名前をつけて呼ぶのだとか。ダーウィンの進化論(そうなのかとこれには驚かされる)とか、ジュリア・ロバーツの映画とか言った具合にである。

 それでも救われる思いがするのは、「成功の第五法則」。「不屈の精神があれば成功はいつでもやってくる」だ。85歳でノーベル化学賞に輝いた分析化学者のジョン・フェンの例が説明されるが、「創造性には有効期限がない」というのは、希望を感じさせてくれる。さすがに著者は科学者らしく、データを基にした研究は説得力がある。個人的には、「身もふたもない事実」というより、「なんとなく感じていた真実」という気がする。

 こういう事実を積み上げて検証した学説というものには、個人的には興味を惹かれる。事実がどうかということもあるが、だからどうということもない。ただ、頑張っても日の当たらないと感じている人は、知っておいて損のない話である。
 なるほど、と思わせてくれる一冊である・・・


 
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2019年08月14日

【「日本一の添乗員」が大切にする接客の作法】原 好正 読書日記1059



《目次》
第1章 サービスに「正解」は存在しない―接客の心構え
第2章 ツアーコンダクターは「旅の指揮者」―お客さまの満足度を高める方法
第3章 トラブルを「旅の思い出」に変える―トラブルへの対処法
第4章 「笑顔」に始まり、「笑顔」に終わる―コミュニケーションの作法
付録 旅をもっとお楽しみいただくために

 著者はツアーコンダクター。タイトルに「日本一の」とあるが、これは「添乗日数8100日以上」「添乗回数778回以上」「訪問国120カ国以上」に加え、「ツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー・グランプリ」「観光関係功労者国土交通大臣表彰」の2つを受賞した初の添乗員という実績をさしてのことのようである。

 内容はと言えば、タイトルにある通り著者がこれまで仕事を通じて得てきた「接客の作法」。添乗員は単なる案内人ではなく、旅の間中お客様と行動を共にし、お客様がその旅に満足できるようにサービスを提供すること。そこに「これさえやっておけばいい」という「正解」は存在しない。お客様に笑顔になっていただくための「接客の基本」を著者は「作法」と称しているのである。

 考えてみれば、提供する旅行も大変である。例えばオーロラ見学ツアーと称しても、必ずしもオーロラが見られるわけではない。あらかじめ情報を得て、どうやら見られそうもないとわかっても、すぐにそれをそのままお客様に伝えるのではなく、「雲が多いようですね」とか「でも明日もありますからね」とか、少しだけ見られないかもしれないという覚悟を促し、でも希望も残しておく。そんな対応は、やはりツアーコンダクターの役割なのだろう。

 そんな経験から得た心得の一部は下記の通り。
1. お客様の気持ちに寄り添い、あえて大げさなことをしようとしない
2. 経験不足は一生懸命さでカバーできる
3. うまくやろうと思う前にお客様のためにできることを一生懸命やることから始める
4. もしお客様が自分の親だったらと考える
これはあらゆるサービス業に通じることだと思う。

 サービス業で最も難しいのは「クレーム」だろう。これについてもかなりページが割かれている。
1. 最悪のクレームは「何もしてくれなかった」
2. 「聞きっぱなし」が不満の原因に
3. 苦情を言ってくれるのはいいお客様
4. 苦手な方ほど積極的に
特に「4」は実感として感じることである。

 「トラブルのないトラベルはない」と言われるほど、旅行にトラブルはつきもの。そんなトラブルを回避するために事前できることもなかなか参考になる。特に難しいのが、「他のお客様に迷惑をかけるお客様」だろうか。著者は、基本は誠実さだと言うが、かなりストレスも溜まるのではないかと推察される。それでももともと海外に行って仕事をすることが好きだったようで、8ヶ国語をマスターしたり笑いでお客さまをもてなす工夫をしたりとその努力はさすが日本一である。「個人的な楽しみがサービスの質を上げる」という部分にもしかしたらその秘訣があるのかもしれない。

 サービス業に従事している人なら、業界を問わずに接客のエッセンスが学べるかもしれない。そんなつもりで読んでみても面白い一冊である・・・



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2019年08月12日

【仕事と心の流儀】丹羽 宇一郎 読書日記1058



《目次》
はじめに―努力に終わりはない
第1章 逆境が心を成長させる
第2章 仕事と人生
第3章 上司と部下
第4章 組織と個人
第5章 努力とチャンス
第6章 おわりに―一歩前へ!

 著者の本はこれまでも『負けてたまるか!若者のための仕事論』『新・ニッポン開国論』を読んできた。商社の社長経験者は数多いるであろうが、中国大使に任命されたり、著作をたくさん出していたりとその中でも著者は抜きん出ていると思う。それもそのはずだと本書を読んで思う。

 この本は、働いているすべての人に送るエールだという。自らの経験をもとにした一言は心に響くものがある。
1. 絶体絶命の状況でも努力を続けることで、人は鍛えられ、強くなっていく
2. 勝者と敗者を分けるのは心の強さと平常心
3. 常識力と理解力があれば理不尽な命令にも冷静に耐えられる
4. 若い人たちが学ぶべきは「人間力」
特に「4」については、部下を持った人に対して、「心の教育が最も重要」とも説く。昨今の企業不祥事なども結局は一人一人の心のあり方に行き着くのであり、「清く正しく美しく」と表現している。

1. 失敗のない優等生ほど怖いものはない。小さな失敗をたくさんせよ。
2. 悲観的に考えて楽観的に行動する。最悪の事態を想定して準備をしたらあとはうまく行くと思って明るくいく方がいい。
3. 問題が多いことを喜べ、それは懸命に行きている証だ
4. やりがいになる仕事になるかどうかは自分の取り組み方次第
5. 夢を持ちたいなら自分の頭で考え、自分で行動しろ
6. 能力や適性に大差はない、開花するかどうかは「どれだけ努力しているか」の違いだけ
このあたりは若者向けにいい言葉である。特に「人と同じように努力しているってどうしてわかる?」「今の仕事が向いているかどうかよりも自分は本当に努力しているのか」という言葉は、本当に大事だと思う。

 そのほかにも、部下を育てる三原則「認めて、任せて、要所で褒める」は、それなりの立場の人なら膝を打つだろう。「嘘をつくと毎日が暗くなる」は、自分でも経験があるから素直に入ってくる。「空気は読んでも顔色は読むな」は、簡単なようでいて難しいのではないかと思う。著者は以前から読書の効用を説いている。その理由として、「論理的思考が身につく」「世の中を洞察する力が養われる」「自分の無知を知る」としている。人は読書で磨かれるというのは本当にその通りである。

 読書しながら書き写しノートを取っているのだとか。さらりと読んだだけではなかなか身につかない。
1. 情報は考えるという作業を経ないと知識にならない
2. 誰にだってチャンスはある、でも勉強しないとチャンスは掴めない
3. 利益の根源はどこにあるかを常に考えよ
4. 守りと攻めを同時にやれ
5. AIは壮大なる前例主義である
読書を通じて得られたであろう言葉に、やはり重みを感じる。ただ読むだけでなく、良く読むことを意識したいと改めて思わされる。

 すべての働いている人に対するエールというのはその通りだと思う。このエールを自分のためにうまく生かしたいと思わずにはいられない一冊である・・・

posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月10日

【堕落論】坂口安吾 読書日記1057



《目次》
堕落論
続堕落論
日本文化私観
恋愛論
不良少年とキリスト
FRARCE(ファルス)について
文学のふるさと
風博士
桜の森の満開の下

 ここ最近、坂口安吾の名前を『堕落論』とともに何度か目にし、読んでみるかと手にした一冊。目的の『堕落論』の他、『続堕落論』など9作品が収納されている。

 お目当の『堕落論』であるが、事前の期待から肩肘を貼りすぎたのか、さらりと読んだだけでは理解できず、もう一度読み直す。時代背景は戦後間もなく。半年間で見事に変わった世相。特攻隊の勇士が闇屋になり、未亡人が早くも次の面影を胸に宿す。それを嘆くではなく、そういうものだと語る。武士道はそんな我が国の国民の弱点を隠すためのものであり、権謀術数をこととする我が国民には、大義名分のためにも天皇制が必要だったとする。

 日本は負け、そして武士道は亡びたが、堕落という真実の母体によって始めて人間が誕生したと説く。堕落と言ってもいわゆる自堕落というようなダメなイメージの意味ではなく、原点に帰るというような意味であろうか。「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ」とし、「堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない」とする。原点に戻って再生するという感じであろうか。

 「続堕落論」ではさらに、堕ちることを「裸となり、とらわれたるタブーをすて、己の真実の声をもとめよ」とする。天皇制や武士道や耐乏の精神などを「ニセの着物」とし、それらを剥ぎ取るべしとする。堕落は制度の母胎とするのも本来の姿への回帰を意味するのであろう。総じて感じるのは、時代の雰囲気である。終戦直後の価値観の大転換の時代背景がここにはある。それゆえ、書かれていることは理解できるが、現代の感覚ではそれほどのインパクトのある内容かと言えば疑問に感じる。もちろん、読解力、感性の問題もあるだろうが、あくまでも個人のそれが感想である。

 「日本文化私観」は、戦前の日本を背景に、『「日本的」ということ』「俗悪について」「家について」「美について」をテーマにした話がなされる。ここはエッセイのようなもので、戦前の日本、特に京都の様子がちょっと興味をそそられる程度。続く「恋愛論」も時代背景の影響を強く受けているように感じる。つまり、「愛」という言葉を軽々しく語れない時代背景である。

 目的であった「堕落論」だが、期待値には届かなかった。大作家の文章を批判するつもりなどないが、1つには時代背景の違いによる感覚の違いはあると思う。終戦直後の日本人の感性と、現代の自分の感性とはそもそも価値観からして異なるし、だいぶ違いがあるだろう。読解力を批判されれば返す言葉はない。こういう文章は難しい。だが、面白いと思う一冊である・・・



posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 人生論・哲学・生き方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする