2020年02月15日

【危険な弁護士】ジョン グリシャム 読書日記1120



原題:Rogue Lawyer
第一部 侮辱
第二部 ずどん・ずどん部屋
第三部 兵隊気取りの警官たち
第四部 取引
第五部 ユーホール法
第六部 有罪答弁取引

 ジョン・グリシャムといえば、法廷モノが得意な作家というイメージがある。『評決のとき』や『ザ・ファーム 法律事務所』、『ペリカン文書』といった映画化された初期の作品が記憶に残っている。最近は読んでいなかったが、久々に手にした一冊はやっぱり法廷モノである。

 原題は「悪党、ゴロツキ」といった意味らしいが、邦題は随分マイルドになっている。そんなタイトルからもわかるように、主人公の弁護士セバスチャン・ラッドは、極悪の犯罪者などの弁護を引き受ける「下位分類」に位置する弁護士である。そんな仕事ぶりからか、狙われることも多く、事務所を構えるのも危険でバンが事務所がわり、銃を携行し、危険を避けるため安モーテルに泊まり続けるのもしばしばという有様である。

 そんなラッドの活動を物語は描いていく。最初の事件は2人の少女を殺したとされるガーディーという男の弁護。漆黒に染めた髪、首から上にはピアスのコレクション、それに見合うスチールのイヤリング、首から下はタトゥーのコレクション。「誰もが一目で有罪だと断言するような出で立ち」である。もっとも他の罪はともかく、ガーディーは少女殺しは否定している。町中がガーディーとその弁護士であるラッドを敵視する中、ラッドは裁判を行う。

 ラッドには別れた妻と、間違ってできてしまった息子がいる。パートナーは弁護士補助人兼運転手兼ボディーガード。事件の合間合間に元妻や息子スターチャーのこと、それからスターチャーの美人の担任との関係が描かれる。弁護士稼業のかたわらで総合格闘技の選手のサポートもしているが、せっかく支援していた選手タディオが、あろうことか判定に腹を立てて審判を殴り殺してしまうという事件を起こす。

 下位分類の弁護士といっても、悪人と手を組んで悪事を働くというのではない。弁護の対象が裕福な企業などではなく、クズのような犯罪者というだけで、本人はきちんと弁護士の仕事をしていく。もっともどんな悪人であろうと、裁判を受ける権利は保証されているのが現代社会。法治主義国家である以上、ラッドのような弁護士は必要である。ただし、憎まれ役にはなってしまうため、検察や警官に敵が多いのも事実。

 そして事件は次々と起こる。警察の副署長の娘が行方不明となり、ラッドは「行方を知っている」という男アーチ・スワンガーから依頼を受ける。また、薬物取引の容疑者と間違われた老夫婦が深夜にSWATの襲撃を受け、妻が射殺されるという事件が起きる。それぞれの事件の弁護活動に走るラッドだが、その方法は必ずしも正攻法ばかりではない。アメリカ独特の司法制度を使いながらの弁護は単純に面白い。

 久々のジョン・グリシャムだったが、その法廷の世界は健在。アウトロー的な主人公にスポットライトを当てた物語は映画化されても面白いかもしれないと思う。まだ読んでいない他の作品も読んでみようかなと思わせてくれる一冊である・・・
  




posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする