2020年06月23日

【「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか】丹道夫 読書日記1163



《目次》
第1章 なぜアルバイトにボーナスを出すのか
第2章 富士そばが誕生するまで
第3章 人を育てるにはどうすれば良いか
第4章 商売のコツとは何か
第5章 経営者の役割とは何か
第6章 富士そばでは、なぜ演歌が流れているのか

 著者は、「名代富士そば」の創業者。タイトルにもあるが、富士そばではアルバイトにもボーナスを支給するのだという。アルバイトする身になればなんともいい会社である。なぜこれまで知らなかったのか、ちょっと残念である。そんな富士そばの創業者が、自らの人生を振り返り、創業に至るまでの経緯と創業後の経営に関する考え方について語った一冊。

 まず始めに富士そばにはマニュアルがないという。正確に言えば、「細かいマニュアルがない」らしい。たとえば蕎麦を茹でた後、湯切りを何回やるかは現場で「うまくやってくれればいい」という感じらしい。「人間は自分の意欲に従って動いている時が最も自発的になり良いサービスを提供できる」との考え方があり、「マニュアルは本質ではない」とする。これは従業員の立場に立って考えてみるとその通りである。従業員の考え方をよく理解したいい経営者ただと思う。

 そんな考え方からだろう、商品開発も現場主体で、提案してきたメニューは基本的に全部店頭に出すそうである。それゆえに「トーストそば」や「丸ごとトマトそば」(フライドポテトをのせた)「ポテそば」なるものもあるらしい。従業員のやる気を削ぐような言葉は決して発せず、報奨金は年間で1,000万円支給し、社費で海外旅行にも行かせるらしい。「ほどほどに儲けて精神的な余裕がある状態が一番」と考えてのことらしいが、誠に羨ましい。

 なぜアルバイトにもボーナスを出すのか。それは給料が安ければ仕事にほころびが出ると自らの経験に基づいて考えるから。「利益はみんなに還元する」との考えで、だからアルバイトにも有給休暇を与え、「従業員こそ内部留保」と語る。採用にあたっては、前職にはこだわらず、成果主義も取らない。年功序列も否定するが、一方で社内を分社化して競争をもたらす。

 実は、24時間営業を始めたのはセブンイレブンよりも早かったらしい。駅には半歩でも近い方がいいとの考えで、富士そばは不動産業とも語る。サラリーマンでも気軽に寄れるスナックのようにしたいとし、ランチはワンコインで食べられることを意識する。これは著者が不動産業を営んでいた経験もあるのだろう。

 そんな経験からか、「運とは情報」とし情報を持っておくことで運は拾えるとする。その情報は人付き合いの中から得られる。これは確かにそうなのだろうと思う。経営者の仕事は究極的には「どうしたら従業員の意欲が出て働きやすくなるか」を考えることだと語る。ここに至り、アルバイトにもボーナスを支給する考え方もよく理解できる。

 さらに個人的には、「これで稼ぐと決めたら腰を据えて勝負する」という言葉に心惹かれた。やはりいろいろな経験を積んできている方の言葉は重い。これまで富士そばはあちこちで見かけたことがあるが、利用したことはない。今度ぜひ近くの富士そばでランチを食べてみたいと思う。経営に携わる人には、一読の価値ある一冊である・・・




posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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