2019年10月28日

【たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場】吉川圭三 読書日記1086



《目次》
第1章 日テレ快進撃の前夜に出会った「怪物」たち
第2章 たけし・所と『世界まる見え』で大逆襲
第3章 さんまと『恋のから騒ぎ』
第4章 所ジョージの品格と「ダーツの旅」
第5章 テレビはどこへ向かうのか

 著者は、元日本テレビのプロデューサー。現役時代は「世界まる見え!テレビ特捜部」や「恋のから騒ぎ」を手がけたらしい。そんな元プロデューサーが、明石家さんま、ビートたけし、所ジョージらとともに活躍したかつての時代を振り返りつつ、テレビの今後のあり方について語った一冊。

 著者は、テレビが最も妖しい魅力を放つのは次の3つだという。
1. 狂気を孕んだ時
2. 公序良俗に反することやタブーが暗喩として上手に表現できた時
3. 予測不可能な展開が起こった時
 かつての時代はそれがあったが、近年テレビを取り囲む環境は激変し、それによってテレビは飼い慣らされた大人しいメディアになってしまっているという。あまりテレビを見ない身としては、ちょっとピンとこない。

 『シン・ゴジラ』ならぬ「シン・テレビ」を目指すには、既成概念をひっくり返すような新しい映像コンテンツに変化することが待たれているというが、一体どんなものなのだろう。こういう考え方は、デレビ業界だけではない気もする。そう語る著者だが、まず始めは明石家さんまとのエピソード。当時、日本テレビの大物プロデューサーの対応のまずさから日本テレビは明石家さんまと仕事ができない状態だったのだとか。それを著者は毎週ラジオの収録現場に訪れ、オフアーの機会を待ったという。

 やがて、明石家さんまがシャレで言った「プールを持ってこい」という言葉を実現させ、気に入られたのだとか。当時、台本がきちんとあるのが当たり前だったらしいが、明石家さんまはフリートークの天才であり、それを著者は自分の番組では活かしたのだとか。そのほかビートたけしや所ジョージの数々のエピソードが語られる。ただ、そのあたりは人気タレントの舞台裏から見た顔というだけで、面白いと言えば面白いがそれだけである。

 個人的には、やっぱりタレントの裏側から見た顔という話よりも、自らの仕事の苦労話の方がなんとなく心地よい。「テレビマンとして一番鍛えられた体験は」という質問に、著者はある番組での海外ロケだという。予算がない中、面白いものを探し出し、それをどうすれば魅力的にできるかを瞬時に考えるということだったらしい。このあたりをもっと詳しく聞きたかったと思う。

 「自己発信力のビートたけし」、「反射神経の塊である明石家さんま」「空派を作り出す所ジョージ」という大御所3人の知られざるエピソードは確かに興味深いが、逆に言うと「それだけ」と言う気もしなくもない。あるいはテレビをよく見ている人なら、それなりに面白いのかもしれないが、例えば「ダーツの旅」の話が出てきても、どんな番組だったのかわからないからなんとなく話に乗れなかったところはある。それが証拠に、「恋のから騒ぎ」については、イメージが良くできて面白く読めたところである。

 テレビ番組を企画するにあたっては、「みんなが群がるものには成功の種は埋蔵されていない」と言う。それはどこの業界でもそうだろうと思う。著者は、今はドワンゴに転身していると言うが、テレビ業界はネット業界に学ぶところが多いと言う。やり方次第ではいかようにでもなると、最後は真面目な提言で締めくくられる。期待したいと言いたいところもあるが、今後もあまりテレビを見ることはないだろうから微妙である。

 それにしても、やっぱり大御所3人のエピソードが面白い一冊である・・・



posted by HH at 00:00| 東京 🌁| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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