2020年03月16日

【ぼく、街金やってます 悲しくもおかしい多重債務者の現実】テツクル 読書日記1132



《目次》
テツクル半生記 ぼくと街金
ぼく、埋められそうになりました
他人の不動産を担保にする男
5万円で反社の看板を外させた債務者
トンデモブローカーさん列伝
未熟な地面師
怖い人がやってきた!
完全無欠の詐欺会社
悪い人にだまされた善人の末路
6000万円を肩代わりする鬼嫁
テツクル半世記 ぼくと街金(主任編)
街金百裂拳
テツクル、債務者と語る

 どんな仕事にも内側に入ってみなければわからないものがある。働いてみてはじめてわかるということである。なんの面白みもない事務仕事もあれば、興味津々の職業というのはあるだろう。特に「非日常」の仕事であればなおさらである。金融業でもそれは当てはまるが、特にお上品な銀行融資よりも、少しアンダーグラウンドに近いサラ金、街金の方が面白いだろうし、ヤミ金はもっとかもしれない。ヤミ金は違法だから仕事とは言えないが、街金は立派に合法であり、ゆえに金貸しの話としては、銀行融資よりも面白そうである。著者はそんな街金で働いている方である。

 似たような仕事としては、以前『督促OL修行日記』というのを読んだことがある。そちらはコールセンターにお勤めの方であったので、会話はすべて電話。しかし、こちらは実際に相対しての交渉ゆえにまた独自の面白さがある。著者はもともと「借りる方」だったらしいが、借金が返せなくなって直談判に行き、そのままそこで働くことになったという。ガラの悪い人たちに囲まれ、ゴミのように扱われての街金人生のスタート。

 そもそもであるが、金貸しの中でも銀行や信用金庫はトップに君臨するお上品な世界。その下にアコムやレイクなどの消費者金融などがあって、街金はさらにその下となる。当然、お客は上から下へと降りていく。下へ行くほど顧客の属性も下がっていく。そんな人たちを相手にするのだから街金も大変である。下手をすれば回収不能となって倒産となる。そうすると綺麗事も言っていられなくなる。著者も駆け出しの頃は、ガラの悪い同業者に捕まり埋められそうになったこともあるという。

 下へ行けば行くほど反社勢力が頭をもたげてくる。しかしそんな反社勢力と付き合えば金融業社としての免許を取り消されてしまう。しかし、借りる人はそういう人たちとも(望まなくとも)付き合いがあったりする。著者も否応なしに遭遇する。姿を表す怪しげなブローカー。地面師も登場するが、一歩間違えれば貸した金は戻ってこない。幸いにしてうまく地面師をやり過ごして事なきを得たから本が書けたということもある。

 詐欺に引っ掛かって金が返ってこない。著者は相手の事務所に籠城する。まさに『ナニワ金融道』の世界である。籠城した事務所内の机や椅子や諸々を買取業者に売って回収代金に当てる。銀行員にはとても経験できない世界だろう(したいとも思わないかもしれない)。騙されて財産を失った地主。夫の債務を完済する鬼嫁。車にGPSを付けたり付けられたり。この手の本は、世間の人には窺い知れない裏側見せてくれるところが魅力であるが、その好奇心は十分に満たしてくれる。

 残念なのは、数々あるであろうエピソードが(書かないのか書けないのかはわからない)少なく、本も薄っぺらいことか。さらっと読めてしまうが、後に残るものはない。本棚に残しておくような本ではない。一時の好奇心を満たすにはいいが、それ以上にはなれない一冊である・・・





posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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