2019年10月23日

【アフターデジタル−オフラインのない時代に生き残る−】藤井 保文/尾原 和啓 読書日記1084



≪目次≫
第1章 知らずには生き残れない、デジタル化する世界の本質
第2章 アフターデジタル時代のOMO型ビジネス~必要な視点転換~
第3章 アフターデジタル事例による思考訓練
第4章 アフターデジタルを見据えた日本式ビジネス変革

 「アフターデジタル」とは聞き慣れない言葉である。アフターとつくからは、今のデジタル社会の後にくる次の社会というイメージなのだと思う。ようやくデジタル社会に慣れてきたと思ったらもう次か、と思わなくもないが、まずはその内容をと興味を抱いて手にした一冊である。
 
 著者の1人は、中国のデジタル社会事情に詳しい方のようで、よく日本からクライアントを引き連れて視察に行っているようである。実は、中国ではもうオンラインとオフラインの逆転現象が起こっているという。その主はオンラインであり、従はオフラインである。中国ではIT事情は圧倒的に進化しており、アリペイ(Alipay)やウィチャットペイ(Wechatpay)などのモバイル決済は当たり前。キャッシュレス決済の普及は、チャージをしようとしたら現金を入れることのできる機械がないほどだという。

 さらにジーマクレジット(芝麻信用)では、支払い能力を個人特性はもとより、返済履歴、人脈、素行などをベースに徹底して可視化した仕組みを作り上げているという。このジーマクレジットの信用スコアを高めるため、中国人のマナーが格段に良くなったという。、中国版ウーバーであるディディでも、顧客に対してのキャンセルレートや配車リクエストを待たせた時間、GPSを利用した安全運転チェックなどで評価され、それが収入に直結するため、やはりサービス向上につながっているという。

 アフターデジタルとは、リアル世界がデジタル世界に包含されるもので、デジタルでは常に接点があり、たまにデジタルを利用したリアルにも来てくれるものだとする。アリババによるネットスーパー「フーマー」がその代表例として取り上げられている。店舗から3キロ以内であれば、ネットで注文すると30分以内に届けてくれるという。また、会社帰りに店舗に寄り、そこでオーダーして届けてもらうという利用もしているのだとか。具体例があるとわかりやすい。

 もはやオンラインとオフラインはシームレスになって溶け合い、顧客はその瞬間において最も便利な方法で買いたいだけで、それを提供するのだとか。とにかく「ユーザー思考」であり、オンラインだオフラインだという区分けは関係なくなっている。個人的にはやはり「評価システム」が気になった。ジーマクレジットやディディだけではなく、レモネードという自動車保険アプリの仕組みも面白い。

 レモネードでは、ドライバーの運転データを取得し、それを保険料に反映させているという。日本のカーシェアリングでも急加速・急減速をポイントに反映させるシステムを導入しているが、運転態度を保険料に反映させるというのが一番理にかなっていると思うし、今後は日本でも取り入れられるような気がする。広告においても、広く誰かわからないまま打つのではなく、特定の属性に向けてオススメの商品の広告を打てば購入される確率も高まる。こういう動きは要注目だと思う。

 中国がなぜこれほどアフターデジタルの世界で日本より先行しているかというと、それは新しいことに対するスタンスの違いという指摘は興味深い。すなわち、中国では「やってはいけないこと」を決める制度であり、日本では「やって良いこと」を決める制度だという。中国ではとりあえず「やってみる」ということが可能な制度であり、この差はとても大きいと思う。これからすぐに起こりうることという意味で、中国の先行事例は実に興味深い。

 アフターデジタルの世界に遅れを取らないようにしたいとつくづく思うが、そのためにも一読の価値ある一冊である・・・



posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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