2019年09月04日

【キャバレー】ビートたけし 読書日記1068



第1章 新宿ナイトクイーン
第2章 旅回り
第3章 孤児
第4章 前荷
第5章 ブームの脇で

 たけしの本も真面目な本から小説まで様々であり、お笑いから映画、書籍と本当にマルチタレントな人だと思わされる。今回の本は小説であるが、フィクションと言いながらも主人公は綾小路きみまろであり、どこまでフィクションなのか興味深いところである。

 舞台となるのはキャバレー全盛期の時代。キャバレーブームは1960年代から始まり1970年代中頃まで続いたというから、おそらくその時代の話。ブーム以降はキャバレーというと「風俗店」というイメージがあるが、全盛期のこの頃は隣に女性がつきこそはするものの、お笑いと歌を見ながら酒を飲むという本来のスタイルである。そんな時代のキャバレーの舞台裏の話。

 新宿歌舞伎町にあるキャバレー「ナイトクイーン」では、雇われ支配人の多田耕平が切り盛りしている。ヤクザの高橋が出入りしていて、何かにつけて多田から金をせびっていく。ここで綾小路きみまろは司会兼舞台係として働いている。専属のバンドがいて、ジャネット北川という専属歌手がいる。ショータイムになると、まずきみまろが出て行ってネタをやり、歌を紹介するというパターンである。

 すでに漫談でケーシー高峰なんか名を売っていて、ケーシー高峰が出演するとなると、それだけで売りになる。きみまろは雲の上の存在であるケーシー高峰の舞台を見て勉強しながら己のネタ作りに励んだりする。明日を夢見るきみまろは、己の芸を磨くべく、旅まわりに出る。興味深いのはやはり当時の風俗だろう。ヤクザが平気で出入りし、芸人たちは情報交換しながら自分の芸を磨く。

 旅回りでも実力がモノを言う。売れていれば飛行機に乗れるが、きみまろは夜行列車。所属する事務所の方針で、どんなタレントだろうと和風旅館の大部屋に雑魚寝。地元のヤクザに気に入られて飲みに連れていかれる。今だったらそんなところを撮られたら大変である。のんびりした時代の懐かしい雰囲気が漂ってくる。

 そんなきみまろの奮闘努力の日々が描かれていく。ツービートも新進売り出し中として登場するし、ケーシー高峰や立川談志なんかの有名人も登場する。フィクションと断ってはあるが、たけしが体験した事実をベースにしているらしいから、ほぼ昭和の風俗史のような雰囲気である。そしてきみまろはついに自分の生きる領域を見つけていく。そうか、そういう経緯があって現在の地位があるのだなと納得する。

 これはフィクションとは断ってあるものの、綾小路きみまろの自伝のようでもあり、単なる昭和風俗小説のようでもあり、捉え方はどうあれ、純粋に読み物として面白い。つくづく、たけしの才能に脱帽の一冊である・・・

posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 有川浩 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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