2019年04月02日

【サブスクリプション「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル】ティエン・ツォ/ゲイブ・ワイザート 読書日記1012



原題:Subscribed
《目次》
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第 I 部 サブスクリプション・エコノミーの到来
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第1章 製品中心から顧客中心へ――すべては顧客を知ることから始まる
第2章 小売業にまつわる誤解――古い「筋書き」を逆転させる
第3章 メディアの隆盛――新たな黄金時代の幕開け
第4章 飛行機、電車、自動車――サービスとしてのモビリティ
第5章 新聞・出版――かつて新聞を出していた会社
第6章 テクノロジー産業の復活――魚≠飲み込め!
第7章 IoTと製造業の興亡――モノを売る時代は終わった
第8章 所有から利用へ――あらゆるビジネスに広がる成長機会
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第 II 部 サブスクリプション・モデルで成功をつかむ
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第9章 企業がサブスクリプション・モデルを選択するとき
第10章 イノベーション――永遠のベータ版にとどまれ
第11章 マーケティング――4つのPが変わった
第12章 営業――8つの新しい成長戦略
第13章 ファイナンス――新しいビジネスモデルの構造
第14章 IT――製品ではなくサブスクライバーを中心に置く
第15章 組織にサブスクリプション文化を根づかせる

 「サブスクリプション」とは、最近よく耳にする言葉であるが、どんなものかと思って手にした一冊。一応、ビジネスマンとしては最低限の知識ぐらいないといけない。そんな経緯で読み始めるが、「サブスクリプション」とは、要は顧客の「利用」に焦点を当てたサービスの提供ということである。ネットフリックスやDropboxなどが例として挙げられているが、単なる「月額課金モデル」と捉えるとそれは違うらしい。

 著者は、自らサブスクリプション・モデルへのビジネス変革と収益向上を支援するSaaS(Software as a Service)プロバイダ企業のCEO。世界の中心はいま製品からサービスへ移行しつつあるというのが著者の主張。「製品」から「利用」への移行、「製品の時代」から「顧客の時代」への移行ということがこの本では盛んに主張される。そんな流れにあっては、あらゆる消費者ブランドに絶対必要なのは「顧客を知る」ということであるとする。

 例として出て来る企業は、日本でも馴染みのある企業もあれば初めて聞いた企業もある。ネットフリックスやDropbox、ウーバーは前者であり、Spotifyやムービーパス、パトレオン、リフトなどは後者である。ライドシェアサービスも車や自転車は日本でも広がり始めているが、サーフエアというのは、空のサブスクリプションで、メンバーになると月額定額制で無制限乗り放題らしい。

 著者によると、「サブスクリプション化できないものはない」とする。新聞も従来の広告モデルから購読料モデルへとシフトしているし、その例を見ていくと様々である。コマツやキャタピラーの機械については、どこにあろうとオンラインで監視していてメンテナンスのタイミングをタイムリーに知らせる仕組みを構築しているという。IoTとしても聞いている例であるが、著者の主張も大げさではないとわかる。

 ヘルスケア業界、政府・自治体機関、教育産業、さらには我らが不動産業界などあらゆる業界が対象となっている。「所有という概念は死んだ」という著者のニーチェばりの言葉が印象的である。サブスクリプション・モデルの損益計算書も説明されているが、これはイマイチである。「年間定期収益(ARR)」や「解約(Churn)」なる概念はそれらしいが、結局損益計算書は損益計算書であり、何か特別なものという感じは見受けられず、よく理解できないところであった。

 こうした1つの流れをきちんと理解しておくという意味では、ビジネスマンの基礎知識として必要だろうと思う。その入門編としてはなかなか面白い一冊かもしれない。考えてみれば、我らが不動産賃貸も、「利用」という点にスポットを当てて、月額利用料金をいただくという意味ではサブスクリプション・モデルなのかもしれないと思ってみたりする。
 何か新しいことを考えようとする時には、ちょっと頭の体操として参考になるかもしれない一冊である・・・




posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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