2020年02月06日

【世界「倒産」図鑑−波乱万丈25社でわかる失敗の理由−】荒木 博行 読書日記1119



《目次》
戦略上の問題編
「過去の亡霊」型
Case01 そごう 「勝利の方程式」が逆回転して倒産
Case02 ポラロイド 「分析体質」が行き過ぎて倒産
Case03 MGローバー 非効率体質を改善できずに倒産
Case04 ゼネラルモーターズ 政府頼みの末に倒産
Case05 ブロックバスター 重要なタイミングを逃して倒産
Case06 コダック 希望的観測を抑え込めず倒産
Case07 トイザラス 新規事業の入り方を間違えて倒産
Case08 ウェスチングハウス 技術を過信して倒産
「脆弱シナリオ」型
Case09 鈴木商店 事業意欲が先行し過ぎて倒産
Case10 ベアリングス銀行 不正取引にとどめを刺されて倒産
Case11 エンロン 「不正のトライアングル」に陥り倒産
Case12 ワールドコム 自転車操業の果てに倒産
Case13 三光汽船 ギャンブルに勝ち続けられず倒産
Case14 エルピーダメモリ 「業界のイス取りゲーム」に負けて倒産
マネジメントの問題編
「焦りからの逸脱」
Case15 山一證券 プロセスを軽視し過ぎて倒産
Case16 北海道拓殖銀行 焦りに追い立てられて倒産
Case17 千代田生命保険 見たいものしか見ずに倒産
Case18 リーマン・ブラザーズ リスクの正体をつかめず倒産
Case19 マイカル 風呂敷を畳み切れず倒産
「大雑把」型
Case20 NOVA 規律が効かな過ぎて倒産
Case21 林原 雑な経営管理により倒産
Case22 スカイマーク 攻め一辺倒が裏目で倒産
「機能不全」型
Case23 コンチネンタル航空 経営を単純化し過ぎて倒産
Case24 タカタ 経営者が現場を知らずに倒産
Case25 シアーズ 現場不在の経営により倒産

 かつて『失敗の本質』を読んで感じたが、学びというものは成功体験の中だけにあるのではない。失敗の中にもその原因を探ることによって学びを得られることもある。あの『ビジョナリー・カンパニー』シリーズも第3弾で失敗を扱っている(『ビジョナリー・カンパニーB〜衰退の五段階〜』)。この本は、そんな企業の失敗を集めた一冊。

 企業の倒産もその理由は様々。ここではそれを「戦略上の問題」および「マネジメントの問題」に大別。さらにそれを「過去の亡霊」「脆弱シナリオ」「焦りからの逸脱」「大雑把」「機能不全」と5つのタイプに分類して解説している。よく知っている企業の例もあってわかりやすい。まず採り上げられるのはそごう。かつて勢いのあったデパートだが、土地を担保に独立法人化によって成長。しかしその勝利の方程式も地価の下落によって逆回転。トップ以外に誰も実態がわからないという状態になってしまう。指示されないと何もできない社員。大いに感じるところがある。

 新たなテクノロジーの出現によって、一瞬にしてビジネスが崩壊してしまう。今はそんな怖さがある。ポラロイドがその例として挙げられる。イノベーションのジレンマの典型事例であるが、そこから得られた教訓は重要である。
 1. 既存事業と同じ尺度で新規事業を測る危険性
 2. 市場にない新しいビジネスはほとんど分析することはできない
 3. 新しいビジネスこそ実践を通じて学習していく姿勢を大切にする

 似たような例として、ビデオレンタルのブロックバスターが挙げられる。同社は一大店舗網を築いて成功するが、ビデオの衰退に伴って消えていく一方、店舗を持たずにDVDを郵送で貸し出すというビジネスモデルで登場したNetflixが台頭する。それがインターネットの進展に伴い、今はビデオ配信でさらに拡大、成長しているのが象徴的である。

 失敗事例の中には鈴木商店という戦前の企業もあるが、これは古すぎて参考にならない。北拓の事例は、営業部隊が必死に取ってきた案件に審査部隊がNoと言い難くなって不良債権を量産したとされるが、それは現在でもスルガ銀行の例のようにまったく変わっていない。千代田生命の例では「シングル・ループ・ラーニング」という考え方が紹介される。「見たいものを見る」今の自分の考え方を一切疑うことなく、既存の物の見方の中で考え続けることは、何にでも当てはまる。

 NOVAは前金ビジネスの失敗例。前金で安堵して贅沢に走るというのは誠に愚かしい。このくらいであれば、ちょっとまともな感覚の持ち主なら回避できる。林原の例は、『破綻−バイオ企業林原の真実』『林原家』と読んで知っているのでさらりと流す。タカタはほとんど直近の事例なので、改めての感がある。経営と現場に距離があったとのこと、やっぱりこれは大事なことなのだろう。

 最後に「戦略的」とは、「考える論点の多さ」×「考える時間軸の長さ」という考え方が紹介される。なるほどと思うが、数々の破綻事例を見てくるとなおさらそう思う。自分の会社は大丈夫だろうか。破綻事例だからこそ、参考になるところ大である。もって他山の石としたい一冊である・・・




posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ビジネス/企業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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