2019年09月13日

【変革のアイスクリーム 「V字回復」を生んだ13社のブランドストーリーに学ぶ】新井範子 読書日記1072



《目次》
第1章 新しいスタイルとイメージの創出
第2章 日本独特「和風」アイスの確立
第3章 成熟市場で「贅沢さ」を追求
第4章 「面白い!」が広げるアイスへの導線
第5章 BIGサイズでストレートに訴求

 アイスクリームの販売額が年々増えているという。普段、食べないことはないが、取り立てて意識したすることもない。しかし、実は10年前から右肩上がりで伸びているらしい。その理由は何なのか。主要アイスクリーム・メーカー各社が展開した商品開発マーケティング戦略をブランドストーリーで分かりやすく紹介したのが本書。著者は上智大学経済学部経営学科の教授ということで、まさに御専門領域を記した一冊である。

 V時回復の要因としては、まず外部環境から説明される。コンビニが増加し、店と家(の冷蔵庫)が近くなったこと、家庭用冷蔵庫の冷凍庫の大型化、オープンショーケースの技術の進化等によりアイスクリームの保管能力が格段に向上。その上にメーカー各社の製品開発努力が加わる。こうした要因により縮小していた市場から脱却し、拡大路線に乗ってくる。

 まず初めに紹介されるのは、森永乳業のパルム。もう店頭ではお馴染みであるが、考えてみると実は食べたことがない。コモディティ化を打開する必要があり、「大人が満足できるシンプルで上品なアイスクリーム」を目指して開発される。その結果、価格競争を脱して市場の成熟化、コモディティ化を打破する新商品となる。

 アイスクリームという成熟市場で勝負する新商品は、明らかな差別化要素を持つ必要があると著者は語る。それを満たす製品が順を追って説明される。
1. 森永乳業「パルム」:手の届くプレミアム
2. ロッテ「クーリッシュ」:「飲むアイス」による「いつでもどこでも」
3. 井村屋「あずきバー」:小豆へのこだわり
4. 丸永製菓「あいすまんじゅう」:和風アイスクリームではなく、「冷たい和菓子」
5. オハヨー乳業「ジャージー牛乳バー」:ジャージー乳というこだわり
6. 赤城乳業「ガリガリ君」:売り場に人を集める

 個人的にいつも食べている「ジャンボモナカ」も「パリパリ」に対するこだわりとして紹介されている。事実、いつも食べるとチョコレートがパリパリしてバニラとの混じり具合がなんとも言えない味わいである。個人的な好みはあるものの、総じてこの本で採り上げられているアイスクリームはどれも美味しそうである。開発する方もいろいろ考えているのだと改めて思わされる。

 結局のところ、アイスクリームが売れる要因は何と言っても「味」であり、その部分で何にこだわり、どう他の製品と差別化するかである。それを各社の取り組みとして丁寧に解説している。なるほど、成熟市場でも十分開発の可能性はあるのだと思わされる。「成熟市場だから」とこれまでのものにこだわるのではなく、それなりに工夫を重ねてみるべきなのかもしれない。今度はこの本に書かれた開発ストーリーを思い浮かべながら、ジャンボモナカ以外にも試してみたいと思わされる一冊である・・・

posted by HH at 00:00| 東京 ☀| Comment(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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