2020年01月24日

【天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ】北野唯我 読書日記1115



《目次》
ステージ1 才能ってなんだろう
ステージ2 相反する才能
ステージ3 武器を選び、戦え

 著者はビジネスマンであるらしいが、「凡人が天才を殺すことがある理由」というブログを書いたところ、公開すぐに30万PVを獲得したとのこと。この本はそれを書籍化したものだということである。内容はというと、世界には「天才」「秀才」「凡人」の3種類がいて、その三者は殺し合うことがあるというもの。その中で、どうすれば良いのか。解説は物語形式で書かれていて、具体的にイメージしやすい。

 主人公はある中小企業の広報部に勤務する青野トオル。会社はカリスマ女社長上納アンナが創業したが、最近は業績も踊り場である。カリスマの威光も衰え、今はピカピカの経歴を誇るエリート神咲が発言力を増している。悶々とする日々を過ごす青野の前に、ある日渋谷のハチ公が実体化して現れる。おかしな方言を喋るハチ公が、それから青野に色々なアドバイスを与えていく。

 ハチ公がビジネスに関する教えを様々主人公に語るというパターンは、犬と象の違いこそあるものの、『夢をかなえる象』とまったく同じである。まぁ、大事なのは内容なのでそこはこだわるところではない。さて、そのハチ公だが、人の才能には下記の3種類があると青野に説く。それが、それぞれ「天才」・「秀才」・「凡人」に該当しているというのである。
 1. 独創的な考えや着眼点を持ち、人々が思いつかないプロセスで物事を進められる人
 2. 論理的に物事を考え、システムや数字、秩序を大事にし堅実に物事を進められる人
 3. 感情やその場の空気を敏感に読み、相手の反応を予測しながら動ける人

 面白いのは、組織は最初は天才が率いる(創業する)が、やがてそれを秀才が引き継ぐというもの。「大企業病」と言われる状況を考えると痛いほどよくわかる。そんな組織に天才が入って来ても、「多数決」によって殺されてしまう。なぜそうなるのか。著者はそれを「軸」という考え方で説明する。天才は「創造性」、秀才は「再現性(≒論理性)」、凡人は「共感性」という軸で物事を評価する。したがって、お互いに理解はできない。

 大企業でイノベーションが起きない理由は、3つの軸を一つのKPIで測るからだとする。特に「創造性」は測ることなどできないわけで、それゆえに説明能力の高い秀才に対抗できない。さらに思いっきり頷いてしまったのが、「経営はアートとサイエンスとクラフト」だという部分。確かにその通りだろうと思う。そしてそれこそ大企業がつまらなくなる理由なのだろうと思う(秀才にとっては面白いのかもしれない)。

ハチ公はさらに三者のコミュニケーションの断絶を防ぐために「3人のアンバサダー」の存在を語る。
 1. エリートサラリーマン:創造性や再現性があり、天才と秀才の橋渡しをする人
 2. 最強の実行者:会社のエース、大活躍するが、革新は生まれない
 3. 病める天才:天才と凡人を橋渡しするが、構造的に考えるのが苦手
また、「主語が違う」という説明も面白い。すなわち、凡人は「自分または相手」、秀才は「知識・善悪」、天才は「世界は何でできているか、人々は世界をどう認識するか」を主語にして語るが、これが互いに話が噛み合わない理由でもある。実に納得の理論である。

 誰が天才で誰が秀才という議論もあるかもしれないが、誰でも自分の中にそれぞれの割合があるのだという説明がさらに納得感を高めてくれた。その割合によって、天才や秀才や凡人に見えるということもあるだろう。また、個人的には「人生は配られたカードで勝負するしかない」という言葉が深く心に残った。「大事なのは自分に配られたカードを世の中に出し続けること、才能は磨かれていくものであり、それが才能を使うことの最大のメリット」。この言葉は心に刻みたい。

 今度渋谷に行ってハチ公像の前を通るとき、この本のことを思い出すだろうなと思わせてくれる一冊である・・・





posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: