2019年10月16日

【実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた】橋下徹 読書日記1082



<目次>
第1章 まずは、人を動かす―実行のための人間関係、人事の要諦
第2章 本当に実行すべき課題はどう見つけるか―橋下流・問題解決のノウハウと、マインドの持ち方
第3章 実行し、信頼される人の条件とは―部下は結局、上司の背中を見て動いている
第4章 実行のための「ビジョン作り」と「チーム作り」―結果を出す「仕組み」はこう作る
第5章 上司を動かし、提案を通す―「トップの視界」を想像しながら仕事をする
第6章 情報を制する者は、組織を制す―強い組織は、情報共有の横串がしっかり入っている
第7章 日本と大阪を「実行できる組織」にするために―徹底的に考え抜かれた大阪都構想の実行プロセス

著者は、元大阪府知事・大阪市長。現在は弁護士をしている著名人。そんな著者が、「実行力」をテーマに、知事・市長時代の8年間、どのように人や予算や物事を動かし実行してきたかという仕事振りについて語った本である。その「実行力」については、著者は「リーダーとしてこだわってきた」と語る通り、部下を使う立場の人、リーダーシップを求められている人にとっては、参考になることが多いと思われる。

いきなり「部下との人間関係なんか気にするな」とする。それは組織マネジメントにおいて決定的な要因ではないとする。組織のリーダーに必要なものは、「仕事をやり遂げた」ことへの信頼関係だという。また、人は怒っても動くものではなく、最後は人事権があると思って静かに対応した方が良いとする。38歳でいきなり1万人以上の組織のトップに立ってしまった著者だけに、そんな四面楚歌的環境の中での知恵だったのかもしれない。

反対派は、あえて積極的にそばに置き徹底抗戦させたのだとか。それは反対意見を取り入れて修正するとより良い案になるし、最後は従ってもらうのであれば多様な意見を取り入れられるからだとする。これはリーダーに取っては聞き耳をたてるところだろう。リーダーの仕事は、部下を「やる気」にさせることというのもまさにその通り。そして「最初の衝撃」で組織の常識を壊してしまうと、意識は劇的に変わるという。

一例として大阪城の庭園でモトクロスの世界大会を開催したことを挙げている。それまでは厳密な管理で「イベントなんてありえない」という意識であったが、著者はトップダウンでゴーサインを出す。その結果、世界から観光客がやってきて、主催者からは利用料ももらえ、あらゆる面でプラスの結果となり、以降職員から様々なアイデアが出てくるようになったという。財政問題を抱えていたこともあり、これはあらゆる点でメリットがあったという。

著者もいきなりそんな能力を身につけたわけではなく、勉強もしていたようである。特に新聞を読む時に自分なりに「課題の発見」をし、常に持論を持つように思考トレーニングをしていたという。これは簡単に真似できそうであるし、ちょっとやってみたいと思う。トップだからとすべて部下に任せて「担がれている」だけでは「問題解決能力」は研ぎ澄まされないだろう。こういう姿勢も参考になる。

人がついてくる最大の理由は「共感」だという。「逆張りの法則」でビジョンを作り、トランプ政権のようなシンプルな方針を明示する。トップは「比較優位」で考えるものであり、「上の人と話すときは『一つ上の枠組みの目線』を意識せよ」ということは、部下の立場の人にいいアドバイスであろう。一部の人に政治力を握らせないためにメールを活用して広く情報を広め、逆にメールで現場の情報を吸い上げ、活用する。こうした仕事振りは普通の会社員でもすぐにできることである。

最後に大阪都構想と一連の運動について語られている。東京に住んでいるせいか、大阪都構想は人ごとであり、あまり興味もなかったが、現在大阪が抱える二重構造の問題点が明かされ、最後の住民投票に至るブロセスが解説される。そこに至る「実行プラン」は並大抵のものではなく、なぜ知事から市長に転じたのかの背景もよく理解できた。これはこれで裏話として面白い。そしてイギリスがEU離脱で大混乱に陥っているのは「実行プラン」なくして離脱を決めてしまったからだという説明もよく理解できる。結局、大阪都構想は住民投票で否決されてしまうが、大阪府民にとっては大きな損失ではなかったかと感じさせられる。

著者は、残念ながら政治家を引退してしまったが、こういう人こそ政治の世界に求められるのではないかと思われる。まだまだ若いし、「カムバック」も大いに期待したいと思わせてくれる一冊である・・・




posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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