2019年02月27日

【日本国紀】百田 尚樹 読書日記1001



第1章 古代〜大和政権誕生
第2章 飛鳥時代〜平城京
第3章 平安時代
第4章 鎌倉幕府〜応仁の乱
第5章 戦国時代
第6章 江戸時代
第7章 幕末〜明治維新
第8章 明治の夜明け
第9章 世界に打って出る日本
第10章 大正から昭和へ
第11章 大東亜戦争
第12章 敗戦と占領
第13章 日本の復興
終 章 平成

 百田直樹と言えば、今や純粋小説分野と政治的分野とに著書は分かれている。この本は、後者に分類されうる一冊である。純粋に歴史の本なのではと思わなくもないが、江戸時代までで全体の半分であり、幕末から現代までの150年ほどが後半半分の分量を占めていることから、その「言わんとしているところ」は明らかである。背後に一貫して流れているのは、祖先から受け継いだ我が国の良さを中国・韓国の歴史の歪曲に惑わされずしっかり認識しようというところだろう。

 日本ほど素晴らしい歴史を持っている国は他にないと著者は語る。神話とともに成立し、以来2,000年近く1つの国が続いた例は世界のどこにもないとする。このあたりは地理的な要因も大きいと思うが、その通りかもしれない。歴史としては何か大きな発見があるわけでもないが、随所にこれまで意識しなかった、あるいは知らなかった事項があって興味深い。

 1. 平安時代に『源氏物語』など女性によって書物が記されたが、日本以外では女性が書物を記すのは近代になってから(イスラム圏では今もできないところがある)
 2. フランシスコ・ザビエルは、当時の日本人について「これまで会った国民の中でもっとも盗みを嫌う」と記している
 3. キリスト教宣教師たちは、布教にあたり禅宗の僧たちの鋭い知性(質問)に戸惑った
 4. 江戸時代の治安は良く、京都から江戸まで女性が1人で旅行できた
等、学校の教科書にはここまでは書かれていない。

また技術面においても、
 1. 鉄砲伝来では、当時の日本人がヨーロッパの鉄砲と火薬の技術をたちどころに吸収し、量産化に成功したこと。それにより戦国時代は鉄砲保有数は世界有数(おそらく世界一)だった
 2. 秀吉の朝鮮出兵(慶長の役)では、日本軍は明軍を圧倒。巷の言説と異なり、露梁海戦でも明・朝鮮軍を破っている。
 3. 幕末、反射炉を見よう見まねで独自に造り、アームストロング砲を完成させている
 4. 同様に蒸気船も佐賀藩、宇和島藩、薩摩藩で本と図面だけで完成させている。アジア、アフリカの国も同様の状況にあったが、完成させている国はない。
戦後、世界最貧国に転落した状態から20年も経たずにオリンピックを誘致できるまでに奇跡の復興を遂げた我が国の資質がすでに現れている。

 明治末期になると、著者の鼻息も荒くなる。韓国併合については、当初国内には「朝鮮人を日本人にすると日本人の劣化につながる」と反対論が強くメリットもなかった。列強に併合を打診しても反対はなく、それゆえに政府も最後に踏み切ったとする。欧米のような収奪型の植民地経営をしなかった日本のスタンスはきちんと理解したい。また、明治の知識人たちの吸収意欲はすごく、和製漢語を次々と作り出し、それらは中国語・韓国語にも取り入れられたこと、当時世界中の文献が日本語に翻訳されており、1つの言語で世界中の本が読める国はなく、それゆえに東南アジアのインテリたちは必死に日本語を勉強したということは誇らしく思える。

 戦争中の記述では、やはり海軍と陸軍の縦割りの弊害が説明されていて暗澹たる気分になる。互いに情報を秘匿し、零戦の製造では道路の整備といったインフラの欠如に生産の足が引っ張られる。各部署がバラバラで「戦争は総力戦」という基本的な取り組みができていなかった。輸送船の護送を「くされ士官の捨て所」とバカにするなど、輸送・生産も戦争のうちということが理解できていなかった。試験に強いだけの官僚は答えのある問題には強いが前例のない事態への対応力に劣る。官僚組織の弊害として、これは今でも笑えないかもしれない。

 戦後の占領政策も、実は酷い部分が多い。そもそもハーグ陸戦条約では、戦勝国が敗戦国の法律を変えることは許されていなかったそうである。東京裁判もそうだが、「勝てば官軍」は何処も同じ。さらにWGIPによって我が国は徹底的に痛めつけられ、それは現代にも及ぶ(だから筆者がこういう本を書く)。戦時徴用も中学生や女学生たちはタダで働かされたそうであるが、朝鮮人たち(いわゆる徴用工)には正規の給料が支払われていたそうである。

 慰安婦問題などについての記述は従来通り。朝日新聞が日露戦争の講和条約反対を煽ったことから始まり、随所で国民をけしかけ、それが戦争の一因にもつながっていること。戦後は慰安婦問題で我が国を貶めていることは周知の通りで、やはりこれにも暗澹たる気分にさせられる。しかし、この本に一貫して流れているのは、中国・韓国・朝日新聞に対する批判ではなく、「我が国の良さ(本当の姿)をきちんと理解しよう」というところ。それはその通りだと思う。だからこそ歴史をきちんと学ばないといけないのである。

 改めてこの本を書いた著者の意図を感じることができるし、自分の国の歴史を正しく理解するすべとして、子供にも読ませたい一冊である・・・



posted by HH at 00:00| 東京 ☔| Comment(0) | 百田尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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