2018年11月14日

【逃げる力】百田尚樹 読書日記973



第1章 積極的逃走のすすめ
第2章 人生の勝利者は「逃げる達人」
第3章 会社や仕事から逃げる
第4章 人間関係から逃げる
第5章 逃げてはいけないとき
第6章 突発的危機から逃げる
第7章 国の危機から逃れる
第8章 守るべきものがあれば、逃げられる

 最近は、小説よりも趣味や主義主張の本が多い百田尚樹であるが、この本は「逃げる」をテーマに著者がその考えを語ったもの。残念ながら「小説」分野ではなく、「主義主張」分野の一冊である。とは言え、これはこれで興味深く思い手に取った次第である。

 特に男から見ると、「逃げる」ことは「よくないこと」「恥ずかしいこと」というイメージがある。しかし、著者はそれは消極的な態度ではなく、むしろ戦うことと同じくらい積極的な行動だとする。孫子の兵法三十六計にも最後に「走為上(=走るを上と為す)」と記されていて、逃げるが最善の策とされている。「三十六計、逃げるにしかず」の語源であるが、理不尽な環境の中に置かれている人に、人生で最終的な勝利を得るための積極的逃走を著者は勧める。

 最近、ドラマで『逃げるは恥だが役に立つ』というのがあったが、これはハンガリーの諺だとか。逃げる力を持つことは、成功へと近づくことだと著者は語る。負けることにおいて最も大切なことは、「負けを素直に認めること」。「負けの原因と真正面から向き合って反省しなければ次も負ける」というのは、その通りだと思う。戦国武将や華僑、ユダヤ人の例が列挙され、わかりやすい。

 サラリーマンでは、よく左遷出向などというのがある(特に金融機関)が、そこを人生の墓場のように感じるかもしれないが、そこで元から働く人にとっては普通の職場という考え方は、言われてみればその通りである。
 1. 人生は電車ではなくオフロード車、いろんな道を走っていい
 2. 孤独や退屈を恐れるな
 3. 仲間外れになっても大丈夫
 4. 人間関係の悩みは本当は些細なこと
 5. 人間は悩み事がなくなったら、新たに悩み事を作ってしまう
「逃げる」というテーマから少し外れるが、悩める人には悩みが軽くなる考え方が列挙される。これはこれで大事な考え方だと思う。

 終盤は悩める個人から国家へと及ぶ。このあたりは、著者の真骨頂か。日本をブラック企業のサラリーマンにたとえ、「滅茶苦茶な要求をする得意先中国」、「やっかいな同僚朝鮮半島」とし、「力の均衡なくして話し合いはあり得ない」と続く。そこから逃げるとは、「親しい付き合いをやめること」とする。韓国に対しては大いに賛成したい意見である。

 最後に何よりも「幸せの絶対基準」を持つことを著者は勧める。自分にとって大切なものを守るために戦うのか逃げるのかを決めるときに、それは必要になるのだと。
「この仕事は家族の幸せを犠牲にしてまで取り組むべきものなのか」
「替えがきかないのは家族と自分」と著者は語る。最近は、仕事で鬱になったり、挙句に過労死だとか自殺だとかというニュースを耳にするが、そんな当たり前の問い掛けを忘れないようにしたいものである。
 一つの考え方として、心したい一冊である・・・



posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | 百田尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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