2010年02月12日

【風の中のマリア】百田尚樹 読書日記39


風の中のマリア

風の中のマリア

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/03/04
  • メディア: 単行本




「永遠の0」に感動して手に取った著者の一冊。
驚く事に主人公はオオスズメバチ。
昆虫が主人公の小説というのも珍しい。
映画では「バズ」、「アンツ」などといったアニメーションものがあるから、考えてみれば不思議ではない。

オオスズメバチの社会は女王蜂を中心に働き蜂(ワーカー)と幼虫から成る。
女王蜂が最初に巣造りをし、最初のワーカーを生み育て、ワーカーが育つと幼虫の世話はワーカーがするようになる。
各ワーカーの寿命は成虫になってから約1ヶ月。
初夏から秋にかけて世代交代を繰り返し、やがて次の女王蜂が巣立つまでが大まかなライフサイクルとなる。

主人公はそんなワーカーの一匹として生まれたマリア。
外の世界で獲物を捕らえ、妹たち(幼虫)に食べさせるのが仕事である。
そんなマリアの戦いと他の昆虫たちとの交流によって、メスとして生まれながら一生子供を生む事なく闘い続ける運命を知る様子が描かれていく。

相当調べたのであろう、内容はかなり専門的でもあり、物語を追ううちにすっかりとオオスズメバチの生態に詳しくなってしまう。
昆虫類ではほぼ無敵。
時として巣を守るために巨大な哺乳類でさえも集団で襲って殺してしまう。
獲物となる昆虫が少なくなる秋も深まる頃には、ミツバチや他の小型スズメバチの巣をも襲い、成虫を殺し、幼虫は奪って餌にして全滅させてしまう様は凄まじい。

本来は憎まれ役になりそうなものだが、マリアの視点を通して描かれる本書からはそんな残虐さはあまり感じられない。
オオスズメバチも無敵ではなく、自然の摂理の一環の中で生きている。
そんな様子がありありと伺われる。

読み終わるとちょっとしたオオスズメバチの専門家になっているようである。
ストーリーとしても面白い。
この作家、つくづく面白いと実感させられた一冊である・・・






posted by HH at 23:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 百田尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この作家、つくづく面白い

その理由がやっぱり気になりますね。
映画化されたBOXは、アマチュアボクシングに精通するまでに(笑)。
構成の巧みさ、というか、計算高いんでしょう。
きっと百田さんの性格に違いない。と思ったら・・・。
http://www.birthday-energy.co.jp/ido_syukusaijitu.htm

風の中のマリアは、自然の一部である事もしっかり伝わりますし、
きちんとハチを知って、脚本家の経験を生かした精緻な表現が、
やっぱり魅力なんでしょう。
Posted by かおりん at 2011年08月06日 23:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック