2010年10月03日

【新参者】東野圭吾

    
東野圭吾のシリーズによく登場する刑事加賀恭一郎。
その加賀刑事を主人公とした一冊である。

「新参者」というタイトルはちょっと不思議な気がした。
これは練馬署から日本橋署に転勤してきた加賀刑事が、この物語の舞台となっている人形町界隈において、自分は新参者であると語っているところからきている。

その物語はまたちょっと変わった形式を取っている。
全部で9つの章に分かれているのだが、出てくる事件は一つだけ。
小伝馬町で一人暮らしの女性三井峯子が殺される。
捜査にあたるのは警視庁。
そして地元の日本橋署がそれをサポートする。

加賀刑事は地元日本橋署の所轄刑事。
事件の捜査は地味な確認作業が大半を占める。
その“足による捜査”を加賀刑事がこなしていく。
事件の舞台となった小伝馬町のマンションを中心に、近くの聞き込みが行われる。

人形町駅に近い甘酒横丁。
(本当にあるのかどうかは知らない)
煎餅屋、料亭、瀬戸物屋、時計屋、洋菓子屋・・・
読んでいても直接事件に関わる事ではないようなエピソードが続いて行く。
しかし、それらのエピソードはちょっとほろりとさせられるものが多く、事件と何の関わり合いがあるのか疑問に思いつつ読み進めることになる。

捜査の補助方役とも言える所轄の加賀刑事ではあるが、捜査を通じた地元住民との交流は心温まるものである。
殺人事件を追う刑事ドラマという感じはまったくしない。
しかしながら個々のエピソードがすべてブレンドされて、最後に事件の真相が浮かび上がる。
そのストーリー展開は見事と言える。

ガリレオシリーズとはまた違った味わいのある加賀刑事のシリーズが、こんな形で今後も続いて行くとしたらこれは見逃せない。
東野圭吾、ますます目を離せない・・・


新参者

新参者

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/09/18
  • メディア: 単行本



posted by HH at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東野圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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