2011年04月19日

【民の見えざる手】大前研一

民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論 [単行本] / 大前 研一 (著); 小学館 (刊)

プロローグ:経済学は、もう未来を語れない
第1章:“縮み志向”ニッポンと「心理経済学」
第2章:拡大する「単身世帯」需要を狙え
第3章:「新興国&途上国」市場に打って出る
第4章:真の埋蔵金=潜在需要はここにある
第5章:「人材力」と「地方分権」で国が変わる
エピローグ:そして個人は「グッドライフ」を求めよ

サブタイトルに「デフレ不況時代の新・国富論」と名打った、現在の諸問題に対する大前健一による解決策の提起である。
大前健一は数多くの著書を記しているが、大概が示唆に富むものであり、基本的に片っ端から読んでいる。
普通の個人が知る事もない、またメディアをチェックしていても身につかない知識やモノの見方を提供してくれるものであり、私にとっては貴重なツールである。
すべての意見に必ずしも賛成できるものではないが、モノの見方としては非常に勉強になるものである。

プロローグではこれからは「官の見える手」に代わり、「民の見えざる手」が重要との、この本のテーマが示される。
第1章では、日本の経営者が小粒になっているとの指摘がなされる。
経済大国とはいってみても、米紙ハーバード・ビジネス・レビューが選んだ「在任中に実績を上げた実行力のあるCEO」ベスト50に、日本の経営者は2人しか入っていない。
世界の事例から比較して、いかにも小粒な日本企業が例示される。

第2章では、これまでマジョリティとされてきた「夫婦+子供二人」という家庭モデルが、実は全世帯で27.9%で、これは単身世帯の31.2%よりも少ないのだという事実が示される。
単身世帯はただ安いだけが購買の動機とはなりえず、したがって安売りだけを目指す企業戦略は失敗すると説く。
事実に基づいた検証という点では、さすが経営コンサルタントであるが、こうした事実は言われて初めて納得する事である。

第3章ではアジアを中心とした新興国にスポットを当てる。
ここでは実にダイナミックな動きが見られ、対する日本の姿は年を取って動きの鈍くなった老人のように思えてくる。
第4章では、そんな日本でもまだまだやりようによっては大きな期待ができると、著者のアイディアが披露される。

第5章でスポットが当たるのが人材。
特に韓国の躍進が凄い。
例えばサムスン電子には、TOEIC900点未満の語学力では入社できないのだという。
楽天が社内公用語に英語を採用したと一時話題になったが、それが何だと言われるレベルだ。
それに就職氷河期が話題になっているが、アメリカの就職率は24.4%、中国が70%、イギリスは15%で、日本とは比べ物にならないくらい低い。
なのに日本では補助金まで出していると喝破する。
我々は実に視野の狭い世界に生きているのだとわかる。

そうした現状を打破するための提案が最後になされ、なおかつみんなグッドライフをめざせとまとめる。
いつもながら、こういう目の覚めるような意見を目にするのはいい刺激と言える。
ともすれば、毎日を楽に過ごせるサラリーマンの身としては、このままではいけないという思うきっかけとなる。
サラリーマンボケしないように、折に触れてこういう本に接していきたいものである・・・


    
posted by HH at 22:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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