2011年05月08日

【カッコウの卵は誰のもの】東野圭吾

カッコウの卵は誰のもの [単行本] / 東野 圭吾 (著); 光文社 (刊)

    
作家というものは、実にいろいろな物語を生み出すものである。
「ストーリーで読ませる作家」と私が個人的に思っている東野圭吾は、まさにそれを実感させられる作家である。
ミステリーというジャンルでは、この本も同じなのかもしれないが、東野圭吾の代名詞でもある「ガリレオシリーズ」や「加賀刑事もの」とも違う。
「今度はどんな話なのだろう」という期待感を抱かせてくれる。

主人公は元アルペンスキーのオリンピック選手緋田。
娘の風美もまたその跡を継ぎ、アルペン選手としてオリンピックを目指している。
そして優れたスポーツ選手には遺伝的な繋がりがあるとして、研究をすすめる新世開発とその中心人物である柚木。
柚木は、自らの研究の格好のモデルである緋田親子に協力を求めるが、緋田は非協力的。
実は緋田親子には血のつながりがなく、しかもその事実を知っているのは緋田一人。
そこには自殺した妻が残した大きな秘密がある。

同じように遺伝情報からクロスカントリーの選手としてスカウトされた青年
苦しい家庭事情からクロスカントリーをせざるをえず、嫌々ながら練習に励む。
父親の雇用と引き換えに、ミュージシャンに憧れる気持ちを抑えているのである。
二組の親子が新世開発という企業を挟んで描かれていく。
そして「事件」が起こる。

カッコウという鳥は、他の鳥の巣に卵を産みつけそのまま子供を育てさせる。
「托卵」というその習性が登場する二組の親子とかけあわせてタイトルになっている。
なかなかうまいネーミングだと思う。
例によって最後まで謎解きは保留され、ページをめくるスピードがついつい早くなる。
こうしたテーマでさえ、読ませられるところは、やっぱり「ストーリーで読ませる作家」だと思う。

東野圭吾が読んでハズレのない作家である事には変わらないが、相対的に比べたら「中程度」というレベルの作品だというのが正直な感想。
と言ったからと言って、これからも愛読したいと思う作家であることにはまったく変わらない。
次回作を楽しみにしたい・・・


     
posted by HH at 22:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 東野圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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