第1章 戦略はストーリー
第2章 競争戦略の基本理論
第3章 静止画から動画へ
第4章 始りはコンセプト
第5章 「キラーパス」を組み込む
第6章 戦略ストーリーを読解する
第7章 戦略ストーリーの「骨法十カ条」
「優れた戦略の条件とは何か」
著者なりに出した結論は、「戦略がストーリーになっているか」だという。
「優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ」と著者は述べる。
この本は、そんな著者の主張を展開した本である。
戦略をストーリーとして語るという事は、「なぜその事業が競争の中で他社が達成できない価値を生み出すのか」を説明する事だという。
そして具体例が語られていく。
最初の例はマブチモーター。
技術的に成熟した小型モーターを専門に作っている会社であるが、当初は各メーカーの下請けであったモーター製造会社群の一社であった。
繁忙期と閑散期の差が激しい多品種少量生産だったが、「モーターの標準化」に挑戦。
当時は様々な抵抗にあったが、次第にメーカーの評価を得、さらに海外生産によるコストダウンにより低価格化も実現し、メーカーの支持を確たるものにしていく。
そんなマブチの戦略ストーリーが具体的に説明される。
こうしたストーリーは、「会社は誰のものか」という議論にも答えを与えるという。
すなわちそれはそもそも議論の立て方が間違っていて、経営は株主、顧客、従業員、社会すべてを満足させるべきもので、どういう順番で考えればそれが可能になるかが大事。
そしてそれを可能にするのがストーリーだという。
大手アパレルのワールドがその例として挙げられている。
ストーリーにとって大切なのは、まずコンセプト。
スターバックスは自らを、コーヒーの香りの中でリラックスできる「第三の場所」と位置付けた。
それゆえに、当時は異例だった店内禁煙を打ち出す。
注文を受けてから手間をかけてコーヒーを入れるのも、すべてこのコンセプトが根底にある。
こうしたコンセプトを活かすのはクリティカル・コアと言われる「それだけを見ると一見して非合理なのだが、ストーリー全体の中では強力な合理性を持つ」部分。
他社が追随しにくい、一見非合理的な取り組みが、あとで強力な武器になる。
当初はEコマースとは正反対にあった巨大な物流センターに巨額な投資を行ったアマゾン。
投資家には不評だったこの投資が、あとから振り返ればアマゾンの成功を支える要因となる。
コンセプトが決まれば、あらゆる打ち手はコンセプトと明確な因果関係でつながっていなくてはいけない。
つながりを説明できない構成要素はストーリーから排除しなければいけない。
こうした理屈は、企業戦略にとどまらず、身の回りの至るところに応用できそうな気がする。
500ページの厚い本ではあるものの、サウスウェスト航空、アスクル、アマゾン、デルなど身近な企業を例に取り上げ、わかりやすく解説しているため読んでいて苦にならない。
読み終えて、一皮むけた気分になれる一冊である・・・


