2012年08月04日

【サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件】山口義正



プロローグ 旅先の告白
第1章   潜行取材
第2章   震えながら待て
第3章   黒い株主
第4章   怪僧登場
第5章   偽りの平穏
第6章   野村証券OBたち
第7章   官製粉飾決算

昨年世間を賑わせたオリンパス事件。
この本は、事件を掴み世間に初めて公表したジャーナリストが、その経緯を綴ったものである。

そもそものきっかけは著者のオリンパスに勤める知人深町(仮名)からの告白。
「売上高が2〜3億円しかない会社を300億円近くも出して買っている」という内容に、初めは著者も本気にしない。

しかし、知人深町から調べるようにという要請を受け、著者は腰を上げ始める。
深町からは社内情報が次々と寄せられる。
ヒューマラボ、アルティス、NEWS CHEFが問題となった3社。
なぜか買収の発表もされていない。

奇妙なコンサルティング会社が登場する。
次々に寄せられる社内資料には極秘の取締役会資料も含まれるようになる。
さらに公開買付で買収した英子会社ジャイラスの資料も著者を驚かせる。
そしてついにはオリンパスの自己資本がすべて吹っ飛ぶほどのインパクトである事がわかってくる。

著者はフリージャーナリストであり、記事の発表媒体を持たない。
伝手を辿ってメディアに接触する。
そして最終的に月刊誌のファクタに掲載が決まる。
事件は英国人のマイケル・ウッドフォードが社長に就任し、そしてすぐに解任された事から世間の知るところとなる。
我々一般人が知るのはこの時から。

世間を賑わす大騒動となるも、初めは月刊誌で掲載されていたらしいが、それは知らなかった。
個人のアンテナには限度があるから仕方がないが、こうした水面下のストーリーは興味深いものがある。

フリージャーナリストという職業も、こういう仕事をすると面白いのだろうが、いつもそううまくはいかないだろう。
事件そのものは、やがて著者の手には及ばない司直の捜査へ行く。
本のタイトルは、マイケル・ウッドフォード元社長の、「日本人はなぜサムライとイディオット(愚か者)がこうも極端に分かれてしまうのか」という言葉から取られているという。
体制側と反体制側と言った方が正しいような気もする。
組織となった時の日本人の特色なのかもしれない。

この本は、世間を騒がせた事件の水面下の話という事で多少興味が持てる本である。
ただ当事者ではないので、結局事件の首謀者たちの考えなどはわからない。
そこはやはり限界があるのもやむを得ないだろう。
まあたまにはこういう本もいいだろうと思うのである。

     
posted by HH at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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