2012年10月26日

【ロスジェネの逆襲】池井戸潤 読書日記287



少し前に読んで非常に面白かった 「下町ロケット」
それに味をしめて、店頭に山積みされていた同じ著者の本を手に取った。

今度は金融の世界。
主人公は東京中央銀行から証券子会社の東京セントラル証券に出向中の部長半沢直樹。実は、『オレたちバブル入行組』以来続く「半沢直樹シリーズ」の一作である。東京セントラル証券は親銀行からの出向者と、直接採用されたプロパー社員とが混在している。しかし、出向組が幅を利かせ、プロパー社員は隅に追いやられ不遇を囲っている。
よくありがちな状態である。

そんな東京セントラル証券に、IT企業の雄、電脳雑伎集団の平山社長からライバル会社である東京スパイラルを買収したいとの相談が持ち込まれる。上場企業同士の敵対的買収。アドバイザーに就けば巨額の手数料収入が転がり込んでくると、社内は色めき立つ。しかし、編成された特別チームは、出向者で固められ、もともと電脳雑伎集団の担当者であった森山は、プロパー社員の悲哀か、チームから外されてしまう。

ところがチームの意気込みとは裏腹に、最初のプレゼンで電脳雑伎集団のワンマン社長平山にダメ出しをされ、東京セントラル証券はあっさりとアドバイザーを解任される。
そして代わりにアドバイザーに就任したのは、なんと親会社の東京中央銀行の証券営業部であった・・・

さすが元銀行員だけあって、親会社と子会社、行内の人間模様、人事を巡る動きなどがリアルに面白おかしく描かれている。
「実際、こういうタイプいるなぁ」と思わず思ってしまう事もしばし。
そんな中で、権力におもねず己の信じるところに従って行動する半沢。
その言動が心地良い。

「サラリーマンは−いや、サラリーマンだけじゃなくて全ての働く人は、自分を必要とされる場所にいて、そこで活躍するのが一番幸せなんだ。会社の大小なんて関係ない。知名度も。オレ達が追及すべきは看板ではなく、中味だ」
こんなセリフが飛び出してきたりする。
「下町ロケット」同様、実に痛快な物語だ。

そんな男義のある半沢と正反対なのが、銀行証券営業部の面々。
読んでいてこんな人間にはなりたくないなと思わせられる。
しかしながら、こういう人たちは、実は少なくない。
それどころか、自分は本当に違うだろうかと素直に省みた。
そうありたくはないものである。

痛快な物語を楽しみつつ、自分も誇りをもって仕事をしたいなと思ってしまう。
こんなの所詮フィクションだと片付けるのではなく、今の自分にできる事から始めてみようという気にさせてくれる。単なるエンターテインメントにとどまらず、「ビジネス書」に分類してもいいかもしれない。そんな一読の価値ある一冊である・・・

     
    
posted by HH at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 池井戸潤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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