2013年05月14日

【夢を売る男】百田尚樹 読書日記332



1 太宰の再来
2 チャンスを掴む男
3 賢いママ
4 トラブル・バスター
5 小説家の世界
6 ライバル出現
7 戦争
8 怒れる男
9 脚光
10 カモ

百田尚樹のまた新しい一冊。出るたびに新しいジャンルに挑戦するかのようであるが、今回の舞台は出版社。主人公はその出版社丸栄社の編集長牛河原勘治。丸栄社は出版社ながら、ちょっと変わった作家を相手に、変わった出版方法で商売している。

作家はいずれも無名の人々。新人賞に応募してきたようなそんな人々をおだてあげ、丸栄社自慢の「ジョイント・プレス方式」で出版させる。売れるのか、という心配は無用。出版費用は著者持ちであるため、丸栄社はこの費用だけでペイしている。自費出版ではないのかと思うも、自費出版と「ジョイント・プレス方式」との違いは、牛河原編集長が言葉巧みに説明してくれる。

「本を出したい」という欲望は、多かれ少なかれ誰もが抱いている。そんな欲望を巧みに絡め取り、商売に活かす。詐欺じゃないかと思うも、本を出版した人はみんな満足。痛快小説と言って良いのだろうかと、迷いつつページをめくる。

百田尚樹の本を読むと、どの本もその分野のちょっとした専門家になってしまう。この本でも、不況と言われる出版業界の状況が手に取るようにわかるようになる。新人賞の狙いや仕組み。作家と編集者の関係。楽しみながら業界事情がわかってしまうのは、この本も同じである。

「作家」をうまくあしらい、部下のコントロールをし、ライバルが出現すれば蹴落とし、時に名の売れた作家でさえ、手玉に取る。牛河原編集長は、やり手ながらとても好きになれそうにない人物である事も確か。比較的薄い本だし、最後にどんなオチを見せてくれるのかと思っていたら、さすが百田尚樹。見事なエンディング。牛河原編集長の編集長としての矜持は見事。ちょっとウルウルしてしまった。

それにしても、よくこれだけのストーリーが紡ぎ出せるものだと毎回感心させられる。こんな大作家には、ジョイント・プレス方式はもろん不要。ますます目が離せない作家である・・・

     
posted by HH at 23:12| Comment(2) | TrackBack(1) | 百田尚樹 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この本によれば、作者はいずれ消える作家だそうですが、とても面白かったです。
最後の一行まで読み終えて、読んでよかったと思える本でした。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
Posted by 藍色 at 2016年07月19日 12:02
藍色さん
コメントありがとうございました。
トラックバックさせていただきました。これからもよろしくお願いいたします。
Posted by HH at 2016年07月19日 21:56
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「夢を売る男」百田尚樹
Excerpt: 輝かしい自分史を残したい団塊世代の男。スティーブ・ジョブズに憧れるフリーター。自慢の教育論を発表したい主婦。本の出版を夢見る彼らに丸栄社の敏腕編集長・牛河原は「いつもの提案」を持ちかける。「現代では、..
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2016-07-19 11:41