第1章 日本企業は今、何に苦しんでいるのか
第2章 これからの日本企業に必要な人材とは
第3章 世代別「稼ぐ力」をどう鍛えるか
第4章 産業“突然死”に備えるケース・スタディ
第5章 求む!日本と日本企業を強くする新世代人
久々に手にした“大前研一本”である。
サブタイトルに「仕事がなくなる時代の新しい働き方」とあるところが目についた。
さすがに元日本一のコンサルタントなだけに、その主張するところは今でも鋭い。
ただすべて同意できるかというとそうでもない。
冒頭に述べられている「毎年、数十万人規模の頭脳労働者の移民を受け入れるべきだ」という主張は、移民大反対論者の私としては、同意しかねるところがある。
ただ考え方は理解できる。
ユニクロが「世界同一賃金」を導入して話題となっていたが、個人的には疑問に思っていた。
国家によって物価水準だって違うからだ。
そんな漠然とした疑問に対し、もっと高いところから問題点を指摘してくれていて、こういうところはさすがだ。
“大企業のリストラはなぜうまくいかないのか”
“「人の数」だけ仕事が増える”
“本社部門がやるべき仕事を定義しなおせ”
今日本の企業が抱えている問題的を、実にわかりやすく解説してくれる。
“安倍政権「育休3年」はなぜ間違っているか”
→なるほど、言われてみればその通り。
“人にできないことをやるのが「仕事」”
“「仕事がなくなる」なら自分で創ればいい”
“多くの経営者はいくらでも採用したがっている”
→仰る通りでひと言の反論も出てこない。
“仕事の定義ができていないから、意味のない書類作りなど不要な仕事が山ほどある”
“これからのホワイトカラーは、時間ではなく、仕事で縛る”
“欧米の企業は、「社内でやる必要のない仕事は、一刻も早く外に出す」という発想”
“やりがいは誰かに与えてもらうものではない、自分でやりがいのある仕事に変えていくもの”
→「世代別稼ぐ力を鍛える」章には、はっと気付かされる事が並ぶ。
しかしそれにしても、この本にはページをめくるごとに発見がある。
世の中の最新の動きがよく網羅されている。
「東大の秋入学の無意味」と言ったちょっと前に話題になった事を一刀両断にするかと思えば、「TED TALKS」と言ったプレゼンHPや学生SNS「すごい時間割」などの話題など、知らなかった事を知らされる事が並ぶ。
「稼ぐ力」とあるものの、その前にまず「学ぶ力」がつきそうである。
会社ではベテランの域に達し、仕事でもそれほど苦労しなくなってきた。
だが、それではいけないと気付かされる。
いつ何時、“船が沈没する”かもしれない。
その時になって慌てぬ様、自らを磨き続けないといけない。
そんな身が引き締まる気にさせてくれる。
やっぱりこの人は凄いし、この人の本は折に触れて読んで、血肉にしようと改めて思う。