2014年06月18日

【変身】東野圭吾



東野圭吾のミステリーである。
東野圭吾の作品は、最新刊はもとより、暇があれば古いのも読んでいる。
この本も目についてはいたが、先送りしてきた。
というのも、実は 映画の方を先に観ていて、その映画が今一だったため原作に手が伸びなかったのである。
たまたま実家の本棚にあったのが、読むきっかけであった。

主人公は平凡な青年成瀬純一。
ある日、不動産屋を訪れた時、たまたま凶悪犯罪に巻き込まれ、銃で頭を撃たれてしまう。
生死の境を迷うも、世界初の脳移植手術によって一命を取り留める。
そして順調に回復し、退院する。

しかし、それもつかの間、純一は異変を感じ始める。
もともと画家志望で優しい性格だったが、絵を描こうとしても描けない。
恋人の恵に対しても、自分の愛が本物かわからなくなる。
職場に復帰するも、それまで何でもなかった同僚たちの怠惰な態度が我慢できなくなる。
自分でもおかしいと感じた純一は、移植された脳のドナーの事が気になり始める・・・

ガリレオシリーズや加賀恭一郎刑事シリーズが魅力的な東野圭吾のミステリーだが、こういった単発モノも結構好きである。
そんな単発モノには、近未来モノとでも言うべき一群( 「プラチナ・データ」 「パラドックス13」)があるが、“世界初の脳移植”を扱ったこの作品も、そんな一群に整理されるだろう。

ストーリーは脳移植によって次第に性格が変わっていく主人公を描いていくもの。
と言っても、良い方向に変わっていくなら問題はないが、移植されたのが凶悪犯の脳で、自分の性格が悪い方向へ変わっていくとなれば、これはなかなか恐ろしいものである。
それと同時に、ここでは一つの大きな問題が提起される。
「脳が入れ替わった場合、それはどちらの人間なのか」という問題である。
Aという人間の脳が、Bという人間の脳に入れ替わった場合、その人物は果たしてAなのかそれともBなのか。
かなり哲学的な問題である。

かつて『秘密』では、母と娘の中味が入れ替わってしまった事が描かれたが、ここでは脳移植によって少しずつ凶悪犯のドナーに心を乗っ取られていく恐怖が描かれる。
かつてあった「トワイライトゾーン」というシリーズでも同様な内容のものがあったが、実に面白いと思う。

読み始めると途中でやめられなくなるのは、東野圭吾作品の特徴。
この本もその調子で一気に読んでしまった。
まだまだ読んでいない作品は多いし、 加賀恭一郎刑事シリーズ ガリレオシリーズだけでなく、これからも片っ端から読んでいこうと考えている。
次は何にしようかと迷う楽しさを味わえのが、ありがたいところである・・・

   

posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 東野圭吾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック