2014年10月03日

【日本の論点】大前研一



大前研一の本は、やはり定期的にチェックしておきたいもの。
昔から得るところは大きいのは、今も変わりない。
この本は、タイトルにある通り、現在の日本が抱えている様々な問題について、著者が独自の意見を述べているもの。
それだけで興味深い。

冒頭は著者とジャック・アタリ氏との対談。
膨大に膨れ上がった我が国の累積債務について、独特の資産課税と付加価値税による解決策を提示している。
個人的には、いかがかと思うが、こういう提案自体は考える要素として実に参考になる。

以下20の提言がなされているが、どれもこれも参考になる。
1. 全国に広がる空き屋を自治体が整備して、バケーション用の別荘のように貸し出す
これは以前から著者が提案している「心理経済学」に則って、小金持ちがお金を使う仕組みをつくろうと言うもの。
貯め込むのではなく、人生をエンジョイしようというものだ。

2. クオリティ国家10を見てこい
スイスを例に挙げて、国民一人当たりGDPは世界トップクラスで、グローバル企業も多数輩出。
その様子は確かに何かのヒントになりそうである。

3. 3,500万円を墓場に持って行くのではなく、「お金を使ったら人生は豊かになるし、子や孫からも感謝される」方向に変える。
4. 下請けなのに強い台湾企業を見習う
5. 新しい日本のお家芸を探す
6. 観光立国を目指すなら、「一泊二日」発想から脱却して「滞在」型を目指す
8. 「競争させない教育」の弊害
9. 日本の企業や若い世代は、世界の農業最適地に飛び出せ
10. 「病気を定義」し、病院への入場を制限し、救急車は有料化
11. 憲法96条は占領軍の最悪の置き土産
12. 「都構想」「道州制」が世界マネーを呼ぶ
13. 「日本版一国二制度」
14. 日本の地方分権、足りない人材は世界から補う
16. 歴史的役割を終えた省庁は解散
19. 日本人の被爆恐怖症は偏っている

どれも指摘されるとなるほどと思う事ばかり。
情報量も違うのかもしれないが、ここにあるような論点は、普通の人でも意識としてもっておきたい事だろう。
膨れ上がるばかりの国家債務に対し、消費税を少し上げる程度しか対策を打ち出せない政治家。

救急車の有料化なんて言ったら、共産党あたりから「弱者切り捨て」と真っ先に批判が出てくるだろう。
だが、膨れ上がる医療費と救急車をタクシー代わりに使う現状からすれば、ごく当たり前の解決策なのだろう。
と言っても、すべて有料化せよというのではなく、運ばれた内容によって、「これは仕方ない」というものは無料で良いとしている。
当然やるべき事なのかもしれない。

大前氏は、もともと原子力専攻だけあって、原発は賛成派だ。
安全対策は当然であるが、ここは個人的に受け入れ難い内容だ。
ただ、大した事ない被爆量を大げさに扱っているという指摘は傾聴すべき事だと思う。
是非はともかく、これらの提案を一度は自分の脳みそで考えてみるのも悪くないと思う。
問題意識を持つという意味で、一読の価値ある一冊である。
   
     
posted by HH at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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