2015年04月30日

【日本の論点2015-2016】大前研一



前著『日本の論点』を読んだのは、まだ半年ほど前であるが、現代の問題点はタイムリーに把握していたい。
そんな意味で、「積ん読」リストから早目に引っ張り出したのがこの本。

今の日本にとって、最大の課題は何かというと、「約1000兆円を越える巨額な国家債務をどうするかという問題に尽きる」と冒頭で述べられる。
自力で解決するには、「超倹約」か「超増税か」あるいは「両方か」しかないとする。
そのくらいは素人でもわかる。
だが、具体的にどう解決すれば良いのか。
それをこの本を読んで考えて欲しいということらしいが、まさにこちらも望むところである。

内容は、25のテーマを取り上げ、それぞれについて論評する形となっている。
傾聴に値する意見ばかりでなく、個人的には違うと思うものもある。
それはそれで、思考トレーニングになっていいと思う。
たとえば、日本を活性化させるアイディアとして、東京の大規模開発を挙げている。
通勤時間を15分短縮させられれば、約4,000万円を有効活用できるとする。
なかなかの意見だと思うが、そのためにウォーターフロントに住みたいとは思わない。
時間はかかっても、東京西部の今の住環境に満足しているものとしては、「人生はロジックだけではない」と言いたくなる。

アマゾンの成功を基に、ネット通販の王道を語る。
(ポータル、クレジットカード、物流を抑えること、豊富な会員がいればポイント還元サービスも可)
ソニーの不振原因、フランス人COOを迎えた武田薬品、日産飛躍のためにはゴーン退任がベストシナリオなどは、分析力のない身には新鮮な話である。

一方で、この方は従来から「移民・原発推進」派であり、この点ではここでも主張はかわらない。
個人的にはどちらも反対であり、大前研一氏のロジックもまったく納得できるものではない。
そこはこちらも胸を張って主張したいと思う。
ただ、「業界再編すれば電力は安定し、コストは下がる」という意見は、実に参考になる。

大前研一氏は、経済界の人だと思うが、マレーシアのマハティールやシンガポールのリー・クアンユーなど内外の政治家にもアドバイスしているから、その活躍の範囲は経済界に留まらない。
国家のあり方に対する意見も参考になる。

シリア戦に巻き込まれる可能性のある集団的自衛権、安倍流『普通の国』の危うさ、お金をムダにしない「ドイツ連邦制」の仕組み、自民党外交は政治家の“属人的な外交”になっていることから生じる問題等々はやはり、知られざる内容であり、大いに勉強になる。
「考える」ことが重要なのは言うまでもないが、そのために必要なのは、「事実を正確に知る事」。
大前研一氏の本は、「事実を知る」ということと、そこから「どう考えるか」という両面で学びは大きい。

日常生活を送りながら、考えることを続けていかないといけないが、これからも大前研一氏の本は手放せない。
そんな思いを新たにさせてくれる一冊である・・・
     
    
posted by HH at 19:26| Comment(0) | TrackBack(1) | 大前研一 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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