2015年06月20日

【これから日本で起こること】中原圭介 読書日記556



第1章 アベノミクスの失敗は最初からわかっていた
第2章 アメリカ型資本主義が国民生活を疲弊させる理由
第3章 インフレ経済が日本の中間層と地方経済を苦しめる
第4章 なぜ円安でも日本経済は回復しないのか
第5章 これから何が起こるの〜2017年、日本の試練がやってくる

個人的に注目しているエコノミストである中原圭介氏の一冊。
ビジネス界で生きている以上、これから日本経済がどうなっていくかについては、興味を持たざるを得ない。
タイトルからして無視できない一冊だと感じて手に取った次第。

著者は2013年の一年間に7冊の本を書いたという。
通常は2〜3冊だというが、それだけアベノミクスに対する警鐘を鳴らしたかったらしい。
著者は、経済学者による「権威盲信」を戒める。
歴史や現実の企業の動きを考えれば、経済の予測は難しくないが、多くの経済学者たちは「ポール・クルーグマンがそう言ったから」という理由で、それまでの「常識」を疑わないと言う。
それはまるで、中世のキリスト教絶対主義のようであるとする。

経済政策とは誰のためのものか?
この問いに、著者は「普通の暮らしをしている国民のため」と答える。
一見当たり前のような問い掛けがなされ、答えが示されているのは、「今の経済政策が普通の暮らしをしている国民のためになっていない」という著者の思いがあるのだろう。

アベノミクスがうまくいかない理由を著者は2つ挙げる。
アベノミクスの目的は、
@「量的緩和で低金利を促すことにより企業の設備投資が大幅に増える」
A「量的緩和がもたらす円安により、輸出が大幅に増えて国民の所得が上がる」
であるが、これに対し、きっちりと反論する。

すなわち、
@需要が見込めない中では、企業は設備投資を増やさない
A海外の需要が減少しているため、輸出は増えず、円安が進んでも価格は下げず、賃金にも転嫁しないため国民の所得は上がらない
とする。
「Jカーブ効果」も今の日本には当てはまらないと、経済学の理論を真っ向から否定する。
もっと現実をよく見ろというのが、著者のメッセージである。

また、景気が回復しているアメリカの“成功事例”も中身の検証が必要とする。
今は株主がCEOに短期的な株価対策を求め、CEOは安易な人件費削減と自社株買いに走る。
その結果、株価は上昇して株主は潤うが、解雇された従業員は所得が減少し、結果、格差の拡大につながっている。
確かに、言われてみれば、それがアメリカでおこっている現象である。

消費税増税によって、ぐらついたアベノミクスであるが、著者は消費税が原因ではないと言う。
日本でもアメリカのように一般国民の所得が富裕層と大企業に移転しているからという。
GDP成長率よりもその中身が大事という意見は、もっともである。
そして日本人の価値観を反映した日本企業の経営姿勢は、日本が世界に誇るべきもので、アメリカ型に追随する必要はないと語る。

著者の本を次々と読み漁るのは、そのわかりやすさに他ならない。
難しい経済理論を振り回すではなく、実に簡単な理屈で理論展開する。
クルーグマンの理論についていける人は少ないと思うが、著者の理論にはみんなついていけると思わせられる。
ちなみに、今後の見通しとしては、2017年には日本経済が混迷し始めるという。
2016年中には株を手放した方がいいらしい。
今後注目していきたいと思う。

まだまだ次々に著書が出るだろう。
しっかりフォローして日本経済をウォッチする目を養っていきたいと思うのである・・・

posted by HH at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 金融・経済・株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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