2015年08月23日

【考えよう、そして行動せよ。】福川伸次 読書日記577



序章  課題先進国から課題解決先進国へ
第1章 日本、その成長と停滞の軌跡
第2章 高まるグローバルリスク
第3章 日本社会の持つ強さと弱さ
第4章 二番手思考を超えよう
第5章 人間価値主導の経済社会を
第6章 日本から世界を変えよう
第7章 【特別対談】
    「考動」できる人づくりが勝利を呼んだ
    今ある仕事がなくなっても、次の仕事を生み出す力を
    「時には踏みならされていない道を行け」

著者は元通産事務次官、現東洋大学理事長。
個人的に親しくさせていただいていることもあって手に取ったもの。
著者のこれからの日本人に対するメッセージをしたためた一冊である。

サブタイトルに「ジャパナビリティが世界を変える」とある。
この「ジャパナビリティ」とは、「日本にある古くから大切にしてきた社会の底力」だという。
具体的に言うと、「人々の間の信頼、異文化への寛容、匠の技に象徴される探究心、自然を愛する心、慎み深さなど、他国にはない社会的魅力」ということである。

そんなジャパナビリティに加え、著者はさらに日本が目指すべき社会を「知徳創発」という言葉で表している。
「人間として知力が豊かで、徳をたたえ、これらの上に創造力を高め、世界に発信し、貢献しよう」というものである。
非常に言葉豊かな表現である。

日本の現状分析において、著者はまず問題点として「自己決定能力が乏しい」という点を挙げている。
それは政治や企業のトップに垣間見ることができる。
また、イノベーション力の弱さも指摘している。
それらは「内向き志向」という形でも現れていて、具体的には海外留学生の減少が挙げられている。
二番手思考から脱却し、「複眼的思考」をもって、「課題解決先進国」を目指さないといけないとする。

著者は言葉を巧みに操る。
19世紀の「パックス・ブリタニカ」、20世紀の「パックス・アメリカーナ」と続く21世紀は、「パックス・コンソルティス(協調の秩序)」とする。
もはやどこかの強国が世界の秩序をリードするという時代は遠のいた感がある。
国際協調秩序というものが重要になってきており、その中で日本はいかに振舞うべきであるかが問われている。

日本社会には強みがあり、そして弱みがある。
「自助共助の精神」「異文化への寛容性」「自然と共存する環境思想」などの強みに対し、「横並び意識」「論理的思考の弱さ」「戦略的、システム的思考力の欠如」「国際展開に消極的」「コミュニケーション能力が低い」といった弱さである。
特に二番手思考を脱していくには、「論理的思考(ロジカルシンキング)」と「クリティカルシンキング」が不可欠だと説いている。
これは個人的にも同感で、自分自身も常に意識していることである。

そして必要なのは「志の高さ」だという。
吉田松陰は、「志を立てることがすべての始まりである」と説いたが、それは今でも当てはまる。
企業においてもトップレベルの企業を目指すべきとする。
人間価値主導の経済社会を成功させるために、人間力を高める必要性も説く。

著者の提言は、実にエネルギッシュである。
一般論として同意して終わるのではなく、自ら意識して我が事としてとらえたい。
そう思わせられる一冊である・・・

posted by HH at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/自説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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