2015年08月27日

【ブラックオアホワイト】浅田次郎



浅田次郎の作品は、目につくたびに手に取るようにしている。
感動モノはいくつもあったし、そうでなくても読んで損したということがないからだろう。
もちろん、ほどほどというものもあるから、常に面白いというわけではないが、まぁ好みにあっていると言える。
この物語も、ほどほどの範囲だ。

“私”は都築君とともにいる。
都築君は、祖父から3代にわたる商社マンだった男だが、今は引退して親の残した資産で悠々自適に暮らしている。
そんな都築君が“私”に語る不思議な夢の話。

最初の話はスイスのとあるホテル。
まだ若かりし頃の都築君がホテルに着き、なかなか寝付けぬ夜、バトラーに硬い枕を要求する。
バトラーは白と黒の二つの枕を持ってきて、都築君に尋ねる。
「ブラックオアホワイト?」

「ホワイト」と特に理由もなく枕を選んだ都築君は、枕を変えた途端、深い眠りに陥る。
夢には恋人と(といっても実在の恋人ではない)死んだ祖父が登場する。
ちょっとスリリングな逃避行とビーチでの甘い逢瀬。
満足して目覚めた都築君は、次の晩、今度は黒い枕を選択する。
そして同じような夢なのに、今度は恐ろしい展開に悲鳴とともに目覚める。

その後、商社マンとして世界各地に出張した都築君は、パラオ、ジャイプール、北京、そして京都とそれぞれの地で、白と黒の枕で夢を見る。
白い枕の時は良い夢を、そして黒い枕の時は怖い夢を。
パターンがわかってくれば、白い枕だけを選んでも良さそうだが、そこは巧みに黒い枕が入ってくる。

夢と現。
どちらが夢で、どちらが現か。
都築君の夢の話にいつのまにか引き込まれていく”私”。
それは” 読む私”も同様である。
不思議系の物語が多い浅田次郎だけに、どこか不思議の雰囲気が漂う。
そして、何だか夢を見ているような気分で物語は終わる。

特段大きなインパクトがあるというほどではないが、読んでいるひと時を楽しむことはできる。
やっぱりそこは浅田次郎ならではの世界が感じられる一冊である・・・

posted by HH at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 浅田次郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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