2016年01月21日

【コーチングとは「信じること」−ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話−】生島淳



Try 1 コーチングはアートである
Try 2 アイデアをいかに生かすか
Try 3 数字を使いこなす
Try 4 勝つための組織作り
Try 5 革命の起こし方
Try 6 教育の価値を考える
Try 7 コーチング最前線
Try 8 ラグビーの世界地図-南半球編-
Try 9 ラグビーの世界地図-北半球編-

この本は、前ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズを取材して、その考えをまとめた本である。
ラグビー日本代表といえば、昨年のワールドカップで、世界3位の強豪国南アフリカを破ったのをはじめとして、史上初の3勝を上げる活躍をしたことが記憶に新しい。

何せそれまでの7回のワールドカップで、日本代表は1勝しかできていなかったのであるから、まさに奇跡のような結果である。
その原動力と言われているのが、ヘッドコーチのエディ・ジョーンズであり、その秘密を少しでも知りたいとこの本を手に取った次第である。

そのエディさん、「コーチングはアート」だと語る。
具体的には、一つには「選手一人ひとりにとって何が必要なのか、それを見極める」のだという。
さらにグラウンドでは、下位10%の選手を中位に引き上げるのが大事らしい。
具体的に知りたいところだが、それは本だけだと難しいだろう。

エディ氏は、なぜ「監督」ではなく「ヘッドコーチ」なのかというと、「監督」は「ディレクター」であり、「チームをマネジメントによって運営する者」ということらしい。
したがって、ヘッドコーチこそがグラウンドでの総責任者ということになる。
言われてみれば、なるほどである。

語られる言葉は、ラグビーの技術的なことは参考になる。
例えば、「パスとキックの比率は11対1(他のチームの平均は4対1)」というようなことであるが、技術論以外にも組織そのものに参考になることも多い。
・コーチに必要なのは最終的な到達点のイメージ
・今日やるべきことに集中しなければならないのは当然であるが、リーダーというものは常に明日何をするか
を視野に入れておく
などである。

また、日本人は「自分が向上できる部分を探す」傾向が強いという。
「否定的な部分を探すのに慣れてしまっている」
「考えない習慣、頼り切ってしまう自主性のなさ」
など日本人ならではの欠点の指摘には、なるほどと頷かされる。
そんな選手たちには、「自分の強み・長所を意識しろ」と指導したらしい。
日本は軋轢を嫌う社会であり、とことんディスカッションするエディ氏の母国オーストニーラリアのチームとの違いが語られる。

ラグビーの好きな人はもちろん、組織論的な部分でも参考になるところは多い。
エディ氏は他競技にも多く学んでいるらしい。
グラウンドだけでなく、読書もかなりしているようである。
「ジャパンウェイ」と名付けたエディ・ジャパンの躍進には、それなりの理由があったわけである。
ちなみにこの本が出版されたのは、ワールドカップの前。

最後に紹介されているエディ氏の言葉が印象的。
「驚かせるんだ、歴史を変えるんだ。
日本代表が世界の舞台で結果を残せば、日本の文化は変わる」
まさにその言葉が現実となったわけで、改めてすごいと思わせられる。

エディ氏はヘッドコーチの座を去ったが、日本代表にはそのエッセンスが残っているだろうか。
日本代表の一層の飛躍を期待したくなる一冊である・・・
   
   
posted by HH at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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