2016年04月03日

【株式会社タイムカプセル社-十年前からやってきた使者-】喜多川泰 読書日記644



・株式会社タイムカプセル社
・嶋明日香@大阪・心斎橋
・重田樹@東京・原宿
・森川桜@北海道・苫小牧
・芹沢将志@NY・Manhattan
・波田山一樹@東京・国分寺
・その先の光
・再スタート

著者の本は近年集中して読んでいる。
『書斎の鍵-父が残した「人生の奇跡」』『賢者の書』『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』である。
なんとなくビジネス書っぽいのであるが、教訓めいていてそれでいてちょっと心にじんわりと響いてくるという内容の物語が多く、はっきり言って心地よい。
この本も迷わず読もうと思ったのは、そんな実績があるからに他ならない。

タイトルを見て、なんだかタイムマシン系の物語かと思っていたが、実はそうではない。
株式会社タイムカプセル社とは、学校行事などでよくやるタイムカプセルについて、中のものを指定された時に届けるということをビジネスとしている会社ということである。
社会人も経歴が長くなってくると、「そんな事業採算に合うのか」などとすぐ考えてしまうが、そんな疑問を見越してか、そこはきちんと回答を与えてくれる。

主人公は、どうやら事業に失敗し、妻子にも去られた中年男の新井英雄。
心機一転再就職の面接に訪れたのがタイムカプセル社。
あっさりと採用された新井は、年下の上司内川海人の下で働くことになる。
タイムカプセル社に依頼された中で、本人宛に届かない手紙を届けるのが初仕事。

10年前に中学校の卒業記念として「10年後の自分」に宛てた手紙のうち、宛先不明で郵便配達できないもの5通。
内川と新井はともに5人を訪ねる出張に出る。
「10年前からやってきた使者」というから勘違いしてしまったのであるが、要は10年前の自分からの手紙なのである。

年を取ってからの10年と、若い頃の10年とではその変化の大きさで大きく異なる。
最初の届け先である25歳の嶋明日香も、彼氏と別れ人生の目標を失って友達の部屋に居候し、バイトで日々食いつないでいる。
そこへ届けられた10年前の自分からの手紙。
そこには無邪気に自分の明るい未来を信じ、夢を語る15歳の少女がいる。

誰でも似たような経験はあるかもしれない。
あるいは大概の人は、15歳の自分が考えていたことなど忘れてしまっているかもしれない。
月日が経つうちに、壁に当たったり、人間関係に悩んだり、ままならない諸々にいつの間にか気持ちが変わっていってしまうという事はよくある事だろう。
そんな時、無邪気に未来を信じていた過去の自分の姿は、忘れていたものを思い返させてくれる。

自分はどうだっただろうと考えてみる。
こうしたタイムカプセルこそないものの、日記を書いているから、15年くらいは遡れる。
さすがに人生も中盤戦になった頃だったので、この本の登場人物たちのような劇的な変化はないが、やっぱり心に感じる事は多い。
いい所に題材を見つけたものだと思わざるをえない。

人生もすでに後半戦。
そしてその先には終盤戦も控えている。
自分はどんな未来を描き、日々を暮らしていくのか、ちょっと考えてみるのもいいかもしれないと思った。
そこに波乱万丈は求めないが、こうありたいと思うことを今の日記に綴っておこうかと思う。

やっぱり、読んで損はない。
これからも著者のことは、「迷わず手に取りたい作家」としてみていきたいと思わせられる一冊である・・・

posted by HH at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 良い話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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