2016年09月07日

【ザ・町工場】諏訪貴子



序 章 未来が描ける町工場に
第1章 「応募者ゼロ」からの大逆転
第2章 “見守り”で新入社員を育てる
第3章 「人材マップ」で若手を育てる
第4章 「頼むね」の刷り込みで幹部を育てる
第5章 ベテランを「最高の教官」に
第6章 「女将」のコミュニケーション論


 少し前に、『町工場の娘』を読んだが、この本は同著者の二冊目の本。前作に感銘を受けたこともあり、「もう一冊」となったものである。

 今回の内容は、一言で言えば「人材戦略」とでもいうべき内容。父から受け継いだ町工場で、どうやって若者を増やして育て、高齢者の多い従業員構成を変えたのかが語られる。内容的には、前著と重複する部分が多いが、致し方ないところだろう。初めはハローワークに求人票を出すが応募がない。そこで応募者の目線、さらにその親の目線を意識してパンフレットやホームページを作成する。こうした取り組みは、いい意味で「素人感覚」が生きている。

 マッチングフェアでは、他社と違い唯一社員が全員でガッツポーズを取っている写真を掲載、以後このスタイルの写真が広まる。経験者ほど挫折する傾向が強く、ならばと業界未経験者を採用し、ゼロから育てる。そのヒントは、生え抜きの社員の一言。社長自ら毎日工場に顔を出し、従業員と接する中から次々と課題に対するヒントをつかんでいる。この姿勢なのだろう。

 若手が一旦入社したら、今度は辞めないように見守る。若手社員の中から「若手生活相談係」を指名し、新人が気軽に相談できる体制を作る。仕事面では、「教育係」がフォローする。教育はもちろんOJT。本物の製品をいきなり作らせることで、緊張感とやりがいとを与える。さらに社長自ら交換日記によって新人の様子を掴み、適宜周りにフォローさせる。

 社員全体では、QC発表会を開催し、若手にチャレンジさせる。ベテランに褒められた社員は自信を得て成長していく。独自の「人材マップ」を作り、社員の技能レベルを把握する。年功序列と成果主義をミックスした給与体系で、社員の給与面での不満をなるべく取り除くようにする。

 社長の人材対策は、ベテランにも及ぶ。生産設備の導入では、ベテランに機械を選ばせ、やる気と責任感を植えていく。副工場長を選抜し、年上のベテランとの関係構築にも社長が一肌脱ぐ。自ら経営の軸に添えるのが「社員とのコミュニケーション」という通り、社長の意識はほとんどここにあるようである。「問題の多くはコミュニケーションによって解決する」としているが、その通りなのだろうと思う。社員旅行で、社員に「一生ついていく」と言われ、一人号泣したと告白しているが、突然の社長就任からの苦労のあとは、ビジネスのヒントに溢れている。

 どんな企業でも、創意工夫と情熱とでうまくいくような気がする。問題は、具台的に何をするか、己の立場で己の答えを見出すことだろう。自分の会社なら、どう応用するか。そんなことを読みながら考えてみた。求める人にはヒントになる一冊である・・・

    
posted by HH at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス/経営者の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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