2016年09月10日

【USJを劇的に変えた、たった一つの考え方】森岡毅



第1章 USJの成功の秘密はマーケティングにあり
第2章 日本のほとんどの企業はマーケティングができていない
第3章 マーケティングの本質とは何か?
第4章 「戦略」を学ぼう
第5章 マーケティング・フレームワークを学ぼう
第6章 マーケティングが日本を救う!
第7章 私はどうやってマーケターになったのか?
第8章 マーケターに向いている人、いない人
第9章 キャリアはどうやって作るのか?

著者は、USJのCMOを務める人物。USJには行ったことがないのでわからないのであるが、USJは開業以降業績が低迷していたが、様々な施策が奏効しここ数年は爆発的な成功を収めているのだとか。なんとなく『ハリー・ポッター』が話題になっていたことくらいしか知らなかったのであるが、どうやらその業績回復の立役者となった方のようである。

そんなUSJの変化のあれこれがわかるのかと思って手に取ったこの本であるが、内容はマーケティングである。マーケティングこそビジネスを成功させるための方法論であり、マーケターでない人が読んでもわかる本を、ビジネスで成功したいすべての人に向けてわかりやすく書いたものであるという。本書の目的は、「マーケティング思考」を伝えることと著者が体得してきた「キャリアアップの秘訣」を伝えることとされている。

著者はもともとP&Gで実践を通じてマーケティングを身につけ、USJに転職。まず最初に集客低迷の原因を多くの幹部に確認したところ、過去の不祥事や映画のテーマパークとしての軸がずれたことなどが挙げられたという。直感的に違うと感じた著者は、USJを「消費者視点」の会社に変えていく。

「ゲストが喜ぶもの」と「ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているもの」は必ずしも一致せず、自然と離れていくものだという。まず著者の所属するマーケティング部が、エンターテイメント部や技術部が製作するアトラクションやイベントにダメ出しする権限をもらったという。何事も民主的なのが一番ではなく、何かを決めて動かしていくには、そうした権限があってこそであると思う。

書かれてはいないが、当然衝突もあっただろう。だが、「自分起点で周囲を説得し人を動かすことが重要」だと語る。確かにその通り。「人というものは、できるだけ他人との衝突を回避したがる性質を持ち、その結果皆の意見という利害を足し合わせて頭数で割ったような妥協案を求めがち」になるのは道理。このあたりは、「外資系」育ちの良さが出ているのかもしれない。

そうした妥協のせいかもしれないが、日本企業ではマーケティングが発達せず、技術志向に陥り、費用対効果の検証がなされない巨額広告がされたりしているという。それも日本企業の規制や終身雇用、年功序列が原因だとする。マーケティングとは「売る」より「売れるようにする」ことだとするが、本質は「売れる仕組みを作ること」という意見は、改めて重要だと気付かされる。

「消費者を大きく落胆させる商品ならば世の中に出さないほうがマシ」という考え方も、当たり前のようであるが大事なことなのだろう。USJは転売されたチケットは利用させないらしいが、一部の者が大量に買い占めて転売益を得ることを排除しているというが、聞けばそれはかなり困難を伴うことのようで、そうした取り組みも盛況を支えているのだろう。

戦略とは「目的を達成するために資源を配分する選択」としているが、たとえとして、上司から10球飛んできたとしたら、そのうち最も重要な3球を選んで打つようにしているという著者の話は参考になる。ついついすべて打ち返そうとしがちだが、それは無意味に資源を分散させているだけで、結局どの球もそこそこしか打てないで終わるというのは、確かに言えることだろう。

戦略の大きなミスは戦術ではリカバリーできず、従って企業にとって「どう戦うか」という戦術よりも「どこで戦うか」という戦略が何よりも重要とする。日本の企業は、そもそも「戦略がない」ことが多いというが、我が社のような中小企業であっても意識したいことだと思う。最後にキャリアアップについて語られる。

マーケターは「マーケティングのスペシャリスト」であり、「ビジネスのゼネラリスト」だという。これはなかなか示唆に富んでいる。今から「マーケター」になろうと思っても慣れるものではないかもしれないが、意識したいところである。そんなマーケターに向いているのは、
・リーダーシップの強い人
・考える力(戦略的思考の素養)が強い人
・EQの高い人
・精神的にタフな人
だという。自分にも一部適性はあるかもしれない。

 当初思っていたのとは異なる内容だったものの、内容は大変参考になるもの。できる限り応用してみたいと思わされる。USJの回復については、別の著書で語っているらしいので、次はそちらを読んでみたいと思う。持って他山の石としたい一冊である・・・


posted by HH at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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